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CO2
23,400
数日が経った
ユイは、部屋の隅で膝を抱えている
飲まず食わずでずっと
シン
シンが目の前にしゃがみこむ
ユイ
シン
シン
ユイ
シン
シンが手を伸ばす
ユイ
殴られる…っ
咄嗟に思った身構えるようにぎゅっと目をつぶる
だがその手は、優しく頬に触れる
シン
手を引き抱き寄せる
暖かい……
シン
頭を撫でながら
ユイ
なんで
私に触れれるの……?
なんで優しく撫でてくれるの…?
ユイ
シン
ユイ
シン
シン
ユイ
シン
待っている呼ばれるのを…
ユイ
ユイ
パッと明るく笑い
シン
名前を呼んだだけなのに
なぜそんなに優しく笑うの?
でも…何より
私の持っていないものを持ってるあなたは…
私には、眩しすぎる
夜中
静かだったはずの夜が
ふと…重くなる
ユイの意識が浮かび上がる
浅い眠りから急に引き上げられるように
ユイ
息を吸う
喉が酷く乾いている
ユイ
胸の奥がざわつく
さっきとは違う不穏な感覚
夢を見ていた気がする
思い出せない
ただ──
嫌な感覚だけが残っている
ゆっくりめを開ける
ユイ
ベットに目線を向ける
シンが静かに無防備に眠っている
規則的な呼吸
心拍
食べたい
あなたを
食べたい
ベットの前…ユイはシンを見下ろしている
ユイ
「ユイ…」
暖かい声静かで低い
頭の中で響く
ユイ
ユイ
離れなきゃ
ここにいたら…
初めて優しくしてくれた人なのに
名前をくれた人なのに…
ユイ
自分の手首を噛む
包帯越しにも関わらず血が滲む
ユイ
グチャッ
ポタポタ…ポタ…
離れなきゃ
この人を傷つける前に…
また…食べてしまう前に…
ユイは、外に飛び出す
宛もない
森を…
止まらない
止まれない
ここにいたらダメ…
もうこれ以上
誰も傷つけたくない…
夜の空気が肌に刺さる
冷たい
でもその冷たさすら遠い
走る
ただ走る
ユイ
森の中へ
足元なんて見ていない
枝か当たる
草が絡む
それでも止まらない
離れたい
離れなきゃ
足は、止まらない
傷つけたくないっ
頭の中で繰り返す
叫びたいのに声は、出ない
呼吸だけが荒れていく
暗い森
どこに向かっているかも分からない
方向も距離も
全てがぐちゃぐちゃになっていく
それでも
止まるわけには、行かなかった
止まってしまえば
戻ってしまう気がするから
ユイ
転びそうになっても手を付きまた走る
白い髪が夜に散る
その姿は、追われているようだった
自分自身に
静かな部屋
さっきまでの気配が少しだけ残っている
シンの目がゆっくり開き
天井を見たまま数秒
何も言わない
ただ──
その場の空気をそのまま受け取る
シン
少し息を吐き起き上がる
ベットの端に腰掛け
ほんの少し考えるように目線を下げる
シン
責めるわけでも残念がる訳でもない
静かに立ち上がり
近くにあった羽織を肩にかける
シン
足音は、静か
止まる気配も迷う気配もない
扉に手をかけふと手が止まる
シン
シン
シン
当たり前のように優しく言う
独占も執着も
普通のように
扉を開ける
夜の冷たい空気が流れ込む
だがシンの表情は、変わらない
迷わず歩き出す
足取りは、静かで
確信している
見つけることを───