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矢野 結衣
今日のお兄ちゃんは何処か元気がなかった気がする。
気のせいだと良いんだけど……。
矢野 結衣
矢野 結衣
約一年、私はお兄ちゃんを無視し続けている。
きっかけはほんの些細なことだった。
お父さんは亡くなって、お母さんは家に居なくて、頼れるのはお兄ちゃんだけだった。
そしたら自然とお兄ちゃんと一緒にいることが多くなった。登下校も、買い物も、お兄ちゃんに付いていった。
私は頼れる人が兄しか居ないのもあり、ブラコンになっていたのだ。
ある日、友達にお兄ちゃんと仲が良いことをイジられた。
兄妹でずっと一緒にいるのは普通じゃないって。それは恥ずかしいことなんだよってイジられた。
それが普通だと思っていた私はなんだか急に恥ずかしくなり、ムキになった私はお兄ちゃんを無視するようになった。
私が無視するとお兄ちゃんはもっと私に構ってくれるようになって、私も嬉しかった。
けど、それが始まりだった。
気づいたときには、止めるに止められない状態だった。
長い間無視してると、どうやって話しかければいいのか分からなくなっていった。
今までのは全部冗談だよ。なんて今更になって言えなかった。 言って嫌われるのが怖かった。
そして話しかけれないまま、一日、一週間と日は過ぎていき、気づいたら一年経っていた。
話せなくて辛いって思ってる自分が嫌いだった。
少しの勇気が出せない自分が嫌いだった。
矢野 結衣
矢野 結衣
矢野 結衣
時計を見ると、8時を過ぎていた。
矢野 結衣
特に二階から音は聞こえない。
矢野 結衣
矢野 結衣
もしかして喋るチャンス …?
そう思うと急に心臓がドキドキしてきた。
矢野 結衣
矢野 結衣
起こそうと階段を上り始めるのは、約20分後だった。
階段を上り、お兄ちゃんの部屋の前に立った。
早鐘を打つ胸に手を添え、深呼吸をする。
恐る恐るドアをノックした。
矢野 結衣
返事はなかった。
矢野 結衣
ドアノブに力を入れ、ドアを開ける。
矢野 結衣
そこには昔よく遊んだお兄ちゃんの部屋があった。
少し内装は変わっているけど、雰囲気は何も変わっていない。
感傷に浸っていると、ベッドで寝ているお兄ちゃんを見つけた。
よく見ると、目が少し腫れていることに気がついた。
矢野 結衣
矢野 結衣
頼られてない事に少し傷付く。 頼るも何も、私のせいなのに……自己中だな私。
矢野 結衣
そのまま起こそうとする寸前で、少し欲が出てしまった。
矢野 結衣
寝ているお兄ちゃんの手に、私の手を重ねる。
矢野 結衣
肌が少し触れただけなのに、体全体が安心感に包まれる。
もっと、この時間が続けばいいのに……。
矢野 聖也
矢野 結衣
矢野 聖也
急いで立って、手を後ろで組む。 私は無意識に視線がキョロキョロと泳いだ。
矢野 聖也
矢野 聖也
矢野 結衣
何か、言わなきゃ。
お兄ちゃんと話せるチャンスなのに。
矢野 聖也
そう言って、お兄ちゃんは無理に笑みを作りながら部屋を出ていった
矢野 結衣
矢野 結衣
お兄ちゃんと私に対するやるせなさが胸に残った。
お兄ちゃんの足音が次第に遠くなり、聞こえなくなる。
部屋に残ったのは静寂と私。
昔二人で遊んだ部屋で、ただ一人何も出来ずに突っ立っている。
矢野 結衣
ーーその日は静かな夜だった。
#妹