日向
………
無垢の音さえ聞こえない空間。
1人ぼっちになった。
?
日向。
日向
……………………
日向
…………………………あぁ、及川さんですか。
及川
そう、ねぇ、なんでこんな所にいる訳?
日向
……それは。
俺は全て話した。
何があったか、
烏野に嫌われた事も、
これから、烏野に居たら苦しむ事も。
及川
…………頑張ったね。
及川
辛かったでしょ?
日向
…………はい。
及川
こんな見境ない感情で、傷つくなんて、救いがなさすぎる。
日向
そう……なんですかね。
及川
………ねぇ、日向。
及川
俺が、俺なら救いになれる。
なんでこの時、及川さんの言うことが真実だ
と思えたんだろう。
及川
青葉城西においで?
日向
…青葉城西。
及川
日向の心を傷つけた奴らなんて、
及川
捨てよっか、 捨てて、俺たちの所においで?
希望だ、俺には目の前の人が、
手を差し伸ばした使いに見えた。
及川
このまま烏野に生きていて、涙を堪える必要はない。
及川
…俺ね、知ってるよ?
及川
日向が、ここまで苦労したこと。
及川
これからさ、俺と…青葉城西の人達と幸せになろ…ね?
日向
………………
日向
それも…いいのかも知れませんね。
もういい、俺はもう、楽になりたい。
今となってはその気持ちしかない。
日向
……分かりました。
日向
及川さんの所に行ったら、楽になれるんですよね?
及川
うん、そうだね。 楽…になると思うよ、
及川
影山の事も、眼鏡くんの事も、爽やか君の事も。
及川
全部、全部全部、忘れよう、ね?
日向
行きます、青葉城西に。
及川
………ありがとう。
日向
あと数日、我慢したら行けるんですよね?
及川
数日? 明後日にはもう青葉城西に行けるよ?
日向
ならよかった……です。
及川
改めて、青葉城西バレー部主将、及川徹。
及川
俺を、青葉城西を選んでくれてありがとう。
及川
これから、徹底的に守ってあげる。
及川
これ以上、日向の苦しむ姿なんて見たくない。
及川
心臓を突かれても、打たれても、潰されたとしても。
及川
俺は…俺が守ってあげる。
及川
……ほら、今日はもう帰りな?
日向
あっ………はい。
日向
あの……ありがとうございます。
及川
……………………
及川
いや〜、こんなスラスラ物事が進むなんて、思ってなかったな。
及川
罪悪感と優越感が入り交じって、最高な気分!
及川
可哀想、可哀想だね、日向は。
及川
主犯格の人にすがるしかないなんて。
及川
いや、これから1層、楽しくなりそう。