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太田豊太郎

彼女はとても美しかった。

太田豊太郎

ミルクのように白い顔は燈火の明かりでうす紅色に染まっていた。

太田豊太郎

手足は細く、しなやかであるのは、貧しい家の少女とも思えなかった。

太田豊太郎

老婆が部屋を出た後に、少女は少し訛りのある言葉で言った。

エリス

許してください、あなたをここまで連れてきてしまった浅はかさを

エリス

あなたはきっとよい人に違いありませから、私を悪く思わないでください

エリス

父の葬儀は明日に迫り、

エリス

頼りに思っていたシャウムベルヒ、

エリス

あなたは彼を知らないでしょう

エリス

彼はヴィクトリア座の座長です

エリス

彼の劇団に所属してもう二年になりますが、

エリス

何かと私たちを助けてくれたと思っていたら、

エリス

人の弱みにつけこんで、無理難題を言ってくるなんて……

エリス

どうか私を助けてください

エリス

お金は、例え私の食費を削ってでもお給料から返しますから

エリス

そうでなければ、私は母の言うとおり……

太田豊太郎

彼女は涙ぐんで体を震わせた。

太田豊太郎

その見上げた瞳には、嫌とは言はせない魅力があった。

太田豊太郎

この目の働きを、彼女自身は知っているのだろうか、

太田豊太郎

それとも天然なのだろうか……。

太田豊太郎

俺の財布には2、3マルクの銀貨があったが、

太田豊太郎

それでは足りる訳もなかったので、俺は時計をはずして机の上に置いた。

太田豊太郎

とりあえずこれを質屋に持っていて急をしのいでくれ

太田豊太郎

質屋には、モンビシュウ街三番地の太田というものの持ち物だと伝えてくれれば、あとは何とかするから

エリス

っ!!

太田豊太郎

少女は驚き、感謝している様子が見えて、

太田豊太郎

俺が別れのために差し出した手にキスをしたが、

太田豊太郎

ぽろぽろとこぼれ落ちる熱い涙を俺の手の上に降らせた。

太田豊太郎

ああ、この出来事が不幸の元凶だったのだ……

豊太郎の身に、何が起きたのか。続く

日本の名作シリーズ 舞姫(完結)

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