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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

サジーが魔法で沈黙の人形を 消滅させた翌日

いつの間にか学園中に噂が広まっていて

前代未聞の魔法の使い手を ひと目見ようと

たくさんの人が教室を出入りしていた

あの子が例の?

へぇ、なんだか
そんな風には見えないね

どれほどの魔力なんだ?

サジー

あっもしかして私の事!?

サジー

いやぁ〜こんなに人気者だと
照れちゃうな〜

サジーは満更でも無い様子で

教室の入口に向かって 手を振っていたが

サジー以外のクラスメイトは いつも通り

「我関せず」といった様子で 静かに過ごしていた

サジー

やっぱ私って天才なのかな!?

マリーニ

……騒がしいわね…

ゼーデラ

マリーニとゼーデラも 変わらずの態度

サジーが少ししょんぼりしていると

ガミスが2人の取り巻きを連れて 近づいてきた

ガミス

調子に乗ってるわね

ガミス

たかが沈黙の人形を
消滅させたくらいで…

「たかが」なんて言っているが

ガミスは酷く悔しそうな 顔をしていた

サジー

調子って…そんな訳じゃ

取り巻きの片方が口を開く

リリーナ

あら、ガミス様の
ことですもの!

リリーナ

沈黙の人形を消滅させる
方法が分からなかっただけで

リリーナ

きっとガミス様の方が
その才能だってあるはずですの♡

その取り巻きは キッとサジーを睨む

リリーナ

貴方ですの?
魔力で沈黙の人形を
消滅させたのは

サジー

私……なのかな…?

正直、昨日のことは 自分でも実感が持てなかった

曖昧な返事をしてしまう

リリーナ

ふぅん

リリーナ

貴方、魔力値は
どのくらいですの?

サジー

あの

サジー

私、自分に魔力があるかとか
まだよく分からないんだけど

その言葉を聞くと

今度はもう1人の取り巻きが 口を挟む

ジュベア

あらあら…

ジュベア

この町に住んでいるのなら
魔力くらい測っているはずよ?

ジュベア

魔力も測れないほど
貧乏なの?

ジュベア

それとも委員長のように
魔力皆無な訳?

ジュベアは教室の隅に目をやる

ゼーデラはこちらに 振り返りもしない

ゼーデラ

……

リリーナ

もう〜ジュベアったら

リリーナ

本当のこと言ったら
可愛そうですの♡

サジー

委員長、魔力無いの?

ジュベア

らしいわよ

ジュベア

なんでも
魔力が無い国の出身で

ジュベア

しかも孤児院育ち

リリーナ

も〜可哀想ですの♡

サジー

そこまで言わなくても…

戸惑うサジーを横目に 取り巻きのふたりは続ける

ジュベア

私はジュベア・ポーテ

ジュベア

正直あんたの事なんて
どうでもいいけど

ジュベア

ガミス様に危害が及ぶような
事があれば招致しないから

リリーナ

私ぃ、リリーナ・フェザー

リリーナ

私もアイドルですの♡

サジー

そうなの!?

サジー

実は私も…

リリーナ

知ってるわ

リリーナ

転校初日にあれだけ
馬鹿みたいに宣言していればね♡

リリーナ

ところで

リリーナ

あなたはどこの事務所の
所属ですの?

サジー

サジー

その…

サジー

そういうのはこれからで…

リリーナ

これからですって?

リリーナ

まぁまぁ…♡

リリーナ

お話になりませんの♡

リリーナはサジーの耳元に近づくと

その声がワントーン低くなる

リリーナ

よろしくて?

リリーナ

このクラスにアイドルは
2人もいりませんの♥

リリーナ

痛い目を見たくなければ

リリーナ

さっさと手を引いた方が
賢いですの♥

サジー

自分の全身に鳥肌が立つのを感じた

ガミス

ふふっ

ガミス

リリーナ、お止めなさい

ガミス

次の音楽の授業で

ガミス

魔力を測ってもらえばいいわ

ガミス

それでこの子もやっと
自分の無能さに気づくはず
だから

リリーナ

それもそうね〜

ジュベア

ガミス様の言う通りだわ

ガミス達はサジーを睨みつけると 教室を出ていった

サジー

やな感じだなぁ…

サジー

私も音楽室に行かなきゃ

サジーは立ち上がる

サジー

あれ

サジー

私、音楽室行ったことない

サジー

どうしよう…

マリーニとゼーデラはいつの間にか 出ていったようだ

話しかけられそうな人がおらず おどおどしていると

ダエル

付いてこいよ

ダエル

案内してやる

サジー

ダエル…

ダエル

いやー!

ダエル

何事もなくてよかったぜ

ダエル

お前が取り残されたと
聞いた時は心配したんだぞ

歩きながら口が止まらないダエル

心配?

サジーは心に引っかかるものがあった

サジー

なんであの場にいたの?

ダエル

えっ

突然の質問に ダエルは分かりやすく動揺する

ダエル

ダエル

そりゃあお前のことが心配で

サジー

昨日廊下で話した時にさ

サジー

「沈黙の人形を倒せたら
諦めてやる」って言ってた

ダエル

ダエル

オレが仕組んだとでも
言いたげだな

サジーは真っ直ぐにダエルを見つめる

サジー

違うの?

ダエル

…っ

サジー

(図星なんだ…)

サジーはそう確信すると

ほ幅を広げ足を速める

ダエル

おい待てって!

ダエル

誤解だって!!

後ろからダエルの叫び声が 追いかけてくるが

サジーは振り向かなかった

オリヴィア

遅いですよサジーさん

オリヴィア

私を待たせないで

2人が音楽室に到着すると

入口でオリヴィアが仁王立ちしていた

その目はサジーを真っ直ぐに 睨みつけている

ダエルは何事も無かったように

オリヴィアの横をすり抜け席に着く

サジー

すみませんでした…

サジー

(ダエルには怒らないんだ)

サジーも空いている隅の席に座った

オリヴィア

全員揃いましたね

オリヴィア

まず、連絡ですが

オリヴィア

予定通り、明日の午後は
大ホールにて

オリヴィア

実力発表会があります

オリヴィア

今回はバイオリニストの
舞台になりますので

オリヴィア

マリーニさん

マリーニ

はい

オリヴィア

あなた「実力は」
素晴らしいから

オリヴィア

期待しているわ

マリーニ

…はい

「実力は」

その部分が妙に強調されていた

サジー

実力発表会…?

サジーが呟くと

オリヴィアは大袈裟にため息をつく

オリヴィア

あぁもう…

リリーナ

あらあらあら♡

リリーナ

ほ〜んと何も知らないん
ですのね!

リリーナ

実力発表会はその名の通り

リリーナ

この学校に通う生徒の
実力を披露する
イベントですの♡

リリーナ

バイオリンならバイオリン

リリーナ

アイドルならアイドルと
部門別にわかれて

リリーナ

定期的に大ホールで
開かれますのよ♡

リリーナ

底にはプロの方や
楽団の代表

リリーナ

アイドル事務所の代表
なんかも来るから

リリーナ

運が良ければそのまま
プロの道に…

リリーナ

なんてことも
よくありますの♡

サジー

そうなんだ!

サジー

教えてくれてありがとう!

リリーナ

ふん

リリーナ

その貧乏脳に叩き込んで
おくといいですの♡

教師の前でも堂々と見下す姿勢を 崩さないリリーナ

いや、きっと教師も 「あちら側」なのだろう

オリヴィア

ありがとうリリーナさん

オリヴィア

サジーさんはそのくらい
自分で調べなさい

サジー

はい…

さてと… と、オリヴィアは仕切り直す

オリヴィア

サジーさん

オリヴィア

今から貴方の魔力値を
測ります

サジー

えっ

サジー

ここでですか?

オリヴィア

早く来なさい

皆が見守る中 黒板の隣に立たされる

まるで公開処刑だ

ガミス

8組の全生徒の前で
恥を晒すなんて…

ガミス

いくら何でも可哀想

そうガミスはオリヴィアに目をやる

オリヴィアはガミスの目を見ると 口角を上げる

可哀想なんて言いつつガミスが 仕組んだのだとサジーは直感した

オリヴィア

この水晶の前に
手をかざしなさい

オリヴィア

魔力が無ければ
光らない

オリヴィア

魔力があれば青か黄色に
光るわ

オリヴィア

高ければ高いほど
明るくなるのよ

ガミス

光らなくても
発狂しちゃダメよ?

リリーナ

いや、いっそ発狂して
退学にでもなれば
好都合ですの♡

ジュベア

どうでもいいけど
早くやってくれる?

ダエル

見ものだな

マリーニ

ゼーデラ

サジー

初めて知る自分の魔力

昨日のことがあっても 自分の中に魔力がある実感なんて無い

…だけど

サジー

(魔力があれば)

サジー

(何か変えられるかな…)

他の生徒が見守る中

サジーは恐る恐る 水晶に手をかざした

と、同時に

ガミス

きゃっ!

ダエル

うわっ!?

リリーナ

なんなのっ!?
眩しすぎて何も…

どこまでも真っ白な光が 教室全体を包む

音楽室全体がパニックに陥る

マリーニ

こんな眩しい魔力
見たことないわ…

ゼーデラ

何が起きているか理解できないのは サジーも例外ではなかった

サジー

何この光!?

サジー

まさかこれが私の…

10数秒経ち 光は少しずつ弱くなっていき

視界が開ける

ようやく光が完全に消える

オリヴィアも他の生徒も

全員が放心状態でサジーを見ていた

やっとオリヴィアが口を開く

オリヴィア

魔力値

オリヴィア

100%…ですって…?

水晶の土台の魔力計は

紛れもなく100%の目盛りを 指している

ダエル

ひゃ…!?

ガミス

100%!?

リリーナ

何かの間違いですの…

ダエルとガミスは青ざめる

リリーナは顔を真っ赤にして震える

その表情が

魔力によってカーストが決められるような このクラスの異常さを物語っていた

サジー

(私、魔力の
天才だったんだ!)

サジー

(でも魔力ってそんなに大切
なのかな…)

そんな彼らの反応を

サジーは異様に感じていた

オリヴィア

サジーさん

オリヴィア

あなた、歌えるかしら?

オリヴィア

それほどの魔力であれば
すぐにトップに行けるはずよ

サジー

ホントですか!?

オリヴィア

いい機会だから

オリヴィア

アイドルを目指すその腕前を
見せてくださる?

サジー

わかりました!歌います!

これだよこれ!

夢を掴むためのレッスン

こんな授業が受けたかったの!

サジーは目を輝かせる

〜♪

オリヴィアがピアノを弾き始める

この街の誰もが知っている 童謡のような曲

サジーは大きく息を吸い

最初のフレーズを歌う

サジー

アァァァアア〜♪

マリーニ

えっ

ゼーデラ

えっ

酷く外した音程

めちゃくちゃなリズム

歌声…というより 怒鳴り声と言った方が正しい

その場にいる全員が 凍りついた

つづく!

キャラクター紹介

ムゲンダイ!HOPE SONG

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コメント

20

ユーザー

サムネイラストが変わっている〜!!可愛い…

ユーザー

見るのが遅れてしまったああ………(後悔)リリーナちゃんツンデレですか?!ツンデレですか?!(黙 新キャラがどんどん増えていって可愛い〜……

ユーザー
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