テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
主。
主。
主。
主。
At様に叶わぬ想いをこっそり吐き捨ててから数日が経ち、 オレは日課の掃除をしていた
一通り屋敷の掃除を終えて残すところはAt様の寝室のみであるので、 オレは見慣れたふすまをガラリと開けてAt様の寝室に取りかかろうとした、が
At
Mz
流石に寝ている人の近くで掃除を行うのは良くないと判断し、 オレが今日はこの部屋の掃除は控えておこうとAt様の寝室から出ようとする
すると、ん、とAt様が身じろぎをしてゆっくりとまぶたを開き、 その左右で色の異なる綺麗な瞳をあらわにした
At
Mz
オレがそう答えるとAt様は何よりも愛おしいものを眺めるように目を細める
Mz
At様に思いを寄せている身としてはその表情にドキッとしてしまうのは 仕方のないことではあると思うが、その愛が向いているのは 自分ではないこともわかっているので胸がぎゅうっと締め付けられた
At
彼は何よりも幸福な夢を見ているかのようなふわふわした声でそうこぼし、 優しい手つきでオレの髪をそうっと撫でる
そのとろりと溶けている甘い目線が、オレの髪を撫でるあたたかい手が、 Mzという名のオレとそっくりな巫女へのAt様の深い愛情と その巫女がAt様の中の大部分を占めていることの何よりもの証明だった
Mz
At
At
大好きな片想いの相手が紡ぐ偽りの甘い言葉に胸が高鳴るが、 きっとオレの気持ちが彼に届くことなんて一生ない
オレは涙をこらえながらも、笑って彼が求めているであろう言葉を返した
Mz
彼の言葉を聞いてそれに返事をしているのはオレなのに、 At様はきっとオレを通してあの人を見ている
今ここにいるオレになんか、微塵も興味はないのだろう
Mz
そう思うとこらえきれなくなって、涙が頬を伝って流れてしまう
それを見たAt様は目を見開いて、心配そうに尋ねてきた
At
Mz
At
At様はそう言ってオレの目元を優しく拭ってくれた
Mz
At
Mz
At
At
At
そう言ってオレを見ているAt様の瞳は、今は確かにオレを映していた
Mz
At
At
Mz
At
At
At
Mz
Mz
At
Mz
At
Mz
At
そこまで言うとAt様は目を見開き、自分の胸を押さえながら嘘だ、とつぶやく
Mz
At
At
At
俺が見ているのは、本当に目の前のMzなのかな?
Mz
Mz
At
Mz
オレが彼の言葉の意図を尋ねると、At様はよくわからない答えを返してきた
At
At
彼はオレの問いにそう答えると、遠くを見ながら独り言のようにこぼす
At
彼の言わんとしていることがうまく汲み取れずオレが首を傾げていると、 At様はその綺麗な瞳でオレの瞳を射抜いて、 妖艶な笑みを浮かべながらこんなことを言ってきた
At
Mz
Mz
At
At
Mz
At
At様は楽しそうに笑いながらそう言ってくるが、 個人的には少し反応に困ってしまった
At
Mz
At
At
Mz
慣れない褒め言葉にオレは真っ赤になってぐるぐると目を回していたので、 刺激の強すぎる大人っぽい神様にそう返すので精一杯だった
At
At
Mz
オレは正座をしていた畳から立ち上がって、 まだ少し熱い頬を冷やしながらAt様の部屋を後にした
新入りの巫女が去り一人で残された部屋の中で、 神である俺はさてと、とつぶやいた
自分の頬に触れるとそれにはまだかすかに愛が生み出す熱が残っていて、 自身の鼓動もいささか普段より速いように感じる
覚えのあるその体の反応にこれが恋心であるというのは いとも簡単に判断できるが、その愛は誰に向けられているものなのか、 それがすぐにはわからなかった
At
もし俺が、「好きな人は誰ですか?」と聞かれた時に 真っ先に思い浮かぶのは誰だろう
これが数ヶ月前なら俺は、満月が穏やかな光を注ぐ中庭で幸せそうに微笑む 俺が愛した初めての人間を思い浮かべたに違いない
でもここ最近、俺が買ってやったくしを 嬉しそうに眺めている彼の姿もちらつくようになってきた
だけど、やっぱりもうこの世に存在しない彼の影が消えることはなくて、 俺が思い浮かべる人間はその時の俺の心持ち次第で変わってしまう
At
ぐらぐらと揺れている俺の気持ちが結果どちらに傾くかなんてわからないが、 なんにせよできるだけ早く答えを出すに越したことなんてないということは 自分自身が何よりもよくわかっていた
At
そうは言っても誰かの心というのはどうも形が曖昧で、 自分の気持ちを明確に判断することなど今の俺には到底できそうにない
好きな人、と聞いて俺が思い浮かべるのが 2人のどちらかであるということは明らかでも、自身の愛情が どちらにより多く注がれているのかなんて皆目見当もつかないのだ
At
1人でぼそりとつぶやいて再びぽすんと敷布団に倒れ込んだ俺が 目を閉じて考えにふけっている間に、 どこからか聞き覚えのある愛しい声がして俺の意識は少しずつ離れていく
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
そんな元恋人の言葉が聞こえてきたのを最後に、 俺は眠りの世界に落ちていった
At様に「もう少し待ってほしい」と言われた夜に、 オレは不思議な不思議な夢を見た
Mz(三百年前)
オレと似たような声の持ち主がオレに話しかけていて、 それを疑問に思ったオレはゆっくり目を開ける
そこに立っている鏡の向こうの自分と言われれば信じてしまいそうなほど オレとそっくりな青年に、オレは目を見開いて固まった
Mz
Mz(三百年前)
彼は目を見開いたオレを見て楽しそうに笑っており、 その表情はどことなくAt様に通ずるものを感じる
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
オレがそう尋ねると、彼は楽しそうな笑顔を崩さずに続けた
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
相手の意図をなんとか汲み取ろうと奮闘しているオレを見て、 目の前のオレより大人びたオレとよく似た青年はおかしそうに笑っている
Mz
Mz(三百年前)
Mz
Mz
Mz(三百年前)
オレの言葉に彼はそう返しながらそっと目を伏せ、 いつまでも忘れない何よりも大切な記憶をそっとのぞくようにいった
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
彼はすっと深く息を吸い込んで、 寂しそうな微笑を浮かべてこんなことを言ってくる
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz
Mz
Mz(三百年前)
彼はその蜂蜜色の瞳でオレの瞳をじっと覗き込みながら、 オレの全てを見抜くようにいくつか覚えのある小さな違和感を口にした
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
オレの回答を聞くと彼は優しい笑顔を浮かべて続ける
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
不敬にもそう返したオレに彼は特に咎める様子を見せることなく、 薄く笑ったままで言葉を続けた
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
彼はにこりと笑って、オレの手を握ってこんなことを頼んでくる
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
彼の言葉に目を見開いているオレをみながら、 彼はその蜂蜜色の瞳を少しだけ溶かして今にも泣いてしまいそうな表情で オレにこんな言葉を送ってくれた
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
Mz(三百年前)
オレが届けられなかった分まで、あいつに__ 。
そこまで言うとオレとそっくりな彼の声はパタリと途切れ、 その姿も何かの未練が浄化されていくように少しずつ透き通って消えていく
瞳から涙がこぼれ落ちてオレの心の中心にあった“誰かの気持ち”が ゆっくりとオレの心に吸収されていくのを感じた頃には、 彼の姿はもう見えなくなっていた
Mz
あなたのためにも、彼のためにも、自分のためにも。
そう1人でつぶやいてオレが静かに目を閉じると、オレとそっくりな彼の声で 「よろしくね。見えなくてもずっと見守ってるから、、、2人のこと。」と 聞こえてきた気がした後、オレの意識がふっと浮上した
コメント
2件
えぇーー😭300年前のまぜ太くん大人すぎません?今のまぜ太くんにかける言葉が素敵すぎるし何百年も愛しているあっとくんを譲って応援するなんてかっこよすぎますよ…🥲これはあっとくんと今のまぜ太くんの行動が気になりますね!😏