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ある日 旅をしている、冒険者三人組

レイリィ

なかなか、次の村まで辿りつかないわねぇ・・・

マイク

この辺で、休憩するか?

ショコラ

そうね、賛成

ショコラ

ちょっと疲れたし・・・

レイリィ

分かったわ。二人とも、水飲む?

マイク

俺は大丈夫だ

ショコラ

私、いただくわ

深い森。

魔物がいないのは幸いだが、まもなく夕暮れだ。

マイク

近くに川でもあれば、野宿できそうなんだが・・・

マイク

俺、見てくる

ショコラ

よろしく~

レイリィ

すぐ日が暮れそうだし、早く戻って来てね

マイク

10分くらいで戻るよ

レイリィ

分かったわ

10分後

ショコラ

ねぇレイリィ、マイク遅くない?

レイリィ

確かに、もう10分すぎたわ。

レイリィ

彼、いつもは時間に正確なのに・・・

ショコラ

まさか、ここに来て魔物が現れたとか?

レイリィ

マイクはそんなに弱くないわ。その可能性は低いと思う

ショコラ

じゃあ、他の何かに巻き込まれたとか・・・?

レイリィ

・・・可能性は、否定できないわね

ショコラ

様子見てみない?日が沈んだら、探せなくなるし

レイリィ

そうね。心配だし、辺りを探しましょ

一方 マイクは・・・。

マイク

いててて、何だ?ここは・・・

マイク

マイク

あれ、ここ見覚えがある場所だな

さっき、俺は深い森の中で、川を探していたはずだ。

でも、今は市街地にいる。一体、いつ移動したのだろう。

ロレッタ

あら?マイクじゃない。どうしたの?

マイク

マイク

君は、

マイク

ロレッタ・・・なのか?!

ロレッタ

ええ、そうよ。どうしたの?マイク、寝ぼけているのかしら

マイク

ロレッタ、無事だったのか!!

マイク

良かった、本当に・・・!

ロレッタ

ちょっと、何抱きしめてるのよ!痛いわ!

マイク

離さないよ、二度と・・・!

ロレッタ

もう、やめてったら。

マイク

・・・でも、なんで街は無事なんだ?

マイク

ドラゴンは?来なかったのか?

ロレッタ

何の話をしているの?マイク

ロレッタ

夢でも見たの?

マイク

マイク

あれは、夢だった・・・?

マイク

街が燃えたのも、君がケガして回復しないのも、すべて

マイク

夢だった・・・?

ロレッタ

何、そのタチの悪い夢は?

ロレッタ

私も、この街も見ての通り、無事よ

ロレッタ

いつもと変わらないでしょ?

マイク

ああ、本当だ

マイク

マイク

良かった、本当に

夢を見ていたのだ、俺は。

ドラゴンにより街が燃え、彼女は怪我をし、目が覚めなかった。 それは、すべて夢だった。

マイク

何もなくて、良かった・・・

ロレッタ

ロレッタ

あ、そうだ。今日、一緒に夕飯食べない?

ロレッタ

いい鶏肉が手に入ったから、丸焼きにするか、グラタンにするか悩んでるんだけど・・・

マイク

うん、食べたいなロレッタの手作りご飯。どっちも好きだよ

ロレッタ

じゃあ、6時になったら私の家に来てね。それまでに、メニューを決めておくわ

マイク

分かった。必ず行くよ

実は、俺は地元の学校を卒業してから、一度も定職についていない。

父のコネを使えば、どこにでも就職できるのだが、自分の力で勤め先を決めたかったのだ。

マイク

選り好みしてる場合じゃないって、分かっているけれど

マイク

親父の力じゃなく、自分で未来をつかみたいんだ。

マイク

そのあかつきには、ロレッタと・・・

一方、レイリィとショコラは・・・

ショコラ

あー!やっぱり罠にかかってるじゃない!

レイリィ

何?この罠。私はじめて見たわ

ショコラ

「この箱の中には、あなたが一番、輝いていた時の思い出が入っています。その思い出から出るには、本当の現実を受け止める必要があります」だって

レイリィ

・・・厄介ね

ショコラ

え?なぜ?

レイリィ

そっか、あなたはマイクが旅する理由を知らないんだっけ

ショコラ

うん、知らない

ショコラ

マイクに一切興味ないしね。

レイリィ

この際だから、彼のこと少し話しましょうか?

ショコラ

いや、いい

レイリィ

え?

ショコラ

過去にすがりついて、この罠から出られなかったら、マイクはそれまでだよ

レイリィ

ショコラ・・・

ショコラ

あと30分待ってみよう。それでも、もしマイクが出てこなかったら

ショコラ

私はマイクを置いていく。

ショコラ

弱い人は、いらないもの

レイリィ

・・・・・・

そして、30分後

ショコラ

タイムオーバーね。

ショコラ

ちょうど、あたりも暗くなったし、近くに川はなさそうだけど

ショコラ

今日はここで野宿しましょう。

ショコラ

明日、夜が明けたら出発する

レイリィ

ショコラ・・・

レイリィ

レイリィ

ダメよ

ショコラ

え?!

レイリィ

私、マイクを助ける

ショコラ

何で・・・?

レイリィ

出発は明日朝でしょ?それまでにここへ、戻ってくればいいだけの話だもの

ショコラ

・・・まぁ、そうなるかもしれないけど、

ショコラ

・・・私は甘くない。翌朝、あなたも、マイクも戻って来なければ二人とも置いて行くわ。それでもいいなら、好きにして

レイリィ

分かった

レイリィ

ショコラ、ありがとう

レイリィ

無事に戻ってきたら、いろいろ話をさせてちょうだい

ショコラ

別に、そういうのはいいって

レイリィ

ふふっ、じゃあ、また後でね

レイリィは、自ら罠のかかった箱に飛び込んだ。

ショコラ

あーあ、レイリィったら本当に行っちゃった。たった一人で夕食を食べるハメになったじゃない・・・

ショコラ

ちょっとだけ、寂しい・・・

ショコラ

ショコラ

マイクはどうでもいいけど、レイリィ、あなたは

ショコラ

必ず戻って来てね・・・!

その頃 マイクは・・・

マイク

まもなく6時だ

マイク

柄じゃないけど、花も買ってみた・・・

マイク

・・・よし!

緊張した面持ちで、ロレッタのところへ向かう。

レイリィ

先には、行かせないわ

レイリィ

マイク

マイク

君は・・・誰だ?

レイリィ

忘れたなんて言わせない

レイリィ

私はレイリィ

レイリィ

あなたと共に旅をしている冒険者よ

マイク

旅?なんの話をしている?

レイリィ

あなたは、眠ったままのロレッタを治すため、薬を探す旅をしている。

マイク

は・・・?

レイリィ

私は、あなたに魔法を教えるかわりに、あなたから剣術を教えてもらっているわ

マイク

そんなこと言って、俺をだますつもりだな?!何が目的だ!

レイリィ

騙すなんて事はしないわ。

レイリィ

私は真実を言っているだけ

マイク

金が欲しいのか?

レイリィ

違う!

レイリィ

・・・これは、夢なの

マイク

夢?

マイク

そんなわけあるか!

レイリィ

・・・誰かが、森に罠を張っていたみたいなの。

レイリィ

「その人が、一番輝いていた頃の思い出を見せる罠」

レイリィ

・・・タチが悪いわよね。

レイリィ

誰が、こんなことしたのかしら

マイク

おい!勝手に色々言うんじゃない!

マイク

仮に、その話が本当だとしたら、お前はどうなんだ?!

レイリィ

え?

マイク

一番輝いていた思い出に、お前がたどり着くなら

マイク

ここは、その場所じゃないはずだ!!

レイリィ

・・・ああ、そういうことか。

レイリィ

私に、輝いていた頃なんて一切ない

レイリィ

これからも、一生、そんなこと起きるはずないわ

マイク

・・・?

二人が言い合いをしている時だった。

ロレッタ

マイク、遅いわよ!待ちくたびれちゃった

ロレッタ

迎えに来たわよ

マイク

ロレッタ・・・

ロレッタ

さあ、部屋に入って。寒いでしょう?

マイク

いや、その

ロレッタ

何?

マイク

あそこにいる女が、俺につっかかってくるんだ

ロレッタ

マイク

ほら、こっち見てるだろう?

レイリィ

・・・・・・

レイリィは目を伏せた。

マイク

おい!そこのお前!黙ってないで何か言えよ!!

ロレッタ

レイリィ

・・・・・・

ロレッタ

ねえ、マイク

ロレッタ

一体、何に話しかけているの?

マイク

マイク

・・・え?

ロレッタ

また、夢でも見たの?

マイク

違うよ!あそこにいるだろう、長身の女が!

ロレッタ

そんな人、どこにもいないわよ?

レイリィ

マイク、これで、分かってくれたわよね?

レイリィ

この穏やかな時間は、すでに過ぎ去った過去なの。

レイリィ

本当のあなたは、私と、ショコラと、三人で冒険をしているの

マイク

・・・そんなの、認めない

レイリィ

・・・そう

レイリィ

それなら、本当のロレッタはずっと眠ったままよ。

レイリィ

ドラゴンに壊された街も、あなたが戻らない限り、中々復興しないでしょうね

マイク

・・・え?!ドラゴン?!

レイリィ

あなたが戻らないと、あの街はめちゃくちゃのまま。あの街で権力を持っているのはあなたの父親だから。

マイク

そんな・・・

マイク

俺がいる、この世界が偽物で、

マイク

ドラゴンに襲われたのが、本当だって言うのか?!

レイリィ

そうよ

レイリィ

それに、この罠にずっとかかっていて、無事で外に出られるかは分からないわ。

レイリィ

あなたは長い時間、ここにいたから。

レイリィ

・・・でも

レイリィ

あなたは、必要な人だから

マイク

・・・・・・

レイリィ

現実のロレッタにとっても、あの街にとっても

レイリィ

だから、私があなたを現実に戻してあげる

レイリィ

必ず

マイク

マイク

お前の話に、嘘はないと思える・・・

マイク

でも・・・

レイリィ

記憶が戻らないんでしょう?本当の記憶が。

レイリィ

大丈夫。私の手を握って

マイク

・・・・・・

ロレッタ

マイク、嫌よ

ロレッタ

どこに行くの?

マイク

ロレッタ、俺は確かめてくるよ

ロレッタ

え?

マイク

この世界は、嘘や偽りにまみれてる。それは、俺が幼いころから感じていたことだ。

マイク

だから、今目の前にいる人が嘘を言っていないか、

マイク

確かめてくる

ロレッタ

マイク・・・

レイリィ

・・・・・・

マイクが、レイリィの手を握った瞬間。

レイリィの周りが、眩しく光りだした。

マイク

君は、いったい何者なんだ?!

レイリィ

私は、国賊みたいな者よ。

レイリィ

自分の生まれた国を愛しているけれど、同時にこの国が隠している「真実」が大嫌い。

レイリィ

それを国民に暴くためなら、私は何でもする・・・

マイク

・・・?

光が強くなり、そして・・・・・・

森の空が白む。

ショコラ

zzz

罠の仕掛けられた箱の中から、レイリィとマイクが現れた。

レイリィ

っ、久々の大魔法で、頭痛がする・・・

レイリィ

マイク、大丈夫?

マイク

・・・・・・

レイリィ

(まぁ、記憶が戻ったとしても、しばらくは混乱するに決まってるわよね)

マイクが、一番輝いていた時代。

街も、最愛の女性も無事で、何ひとつ不自由のない頃。

レイリィ

(話には聞いていたけれど、街も、ロレッタさんもとても美しかった)

レイリィ

(無事に、取り戻せるといいわね・・・)

ショコラ

ショコラ

あれ、レイリィ!戻ってたんだ

レイリィ

ええ、予告通り戻って来たわ

ショコラ

良かった、戻って来て

ショコラ

・・・絶対、帰ってくるって信じてたけど

ショコラ

心配した

レイリィ

そうよね、ごめんなさい

レイリィ

あなたを一人にするなんて、私も冷静じゃなかった

ショコラ

それは、いいのよ

ショコラ

私だって一人で戦えるし、強いわよ

レイリィ

強くても、あなたの代わりはいない。

レイリィ

命を失わなくとも、ケガや病気になってみなさい。

レイリィ

そうしたらこれからの計画も・・・

ショコラ

そうだった。レイリィの目的は、私自身に興味があるわけじゃないもんね。

レイリィ

そんなことないわ!

レイリィ

あなたは本当は優しい。私も、あなたを大切にしたいと思っているの

ショコラ

・・・・・・

レイリィ

それに、あなたは剣も魔法も優れているから

レイリィ

知識や実践が足りないだけで、そこを補えば次期女王も余裕で務まるわよ

ショコラ

それ、大げさだってば

レイリィ

本当の話よ

マイク

あの、ごめん歓談中に・・・いいかな?

レイリィ

何?

マイク

俺は・・・罠にひっかかってたのか?

ショコラ

そうよ!情けない男ね!そんなしょぼい罠に何時間もひっかかって!!

ショコラ

レイリィが命を張って助けに行かなかったら、きっと戻って来てないわよ!

マイク

む・・・やはりそうか

マイク

レイリィ、礼を言う

レイリィ

それはいいけど

レイリィ

記憶、戻ったの?

マイク

ああ、まだ混乱しているけれど

マイク

記憶は、戻ったよ・・・

レイリィ

・・・そう

マイク

俺、あの罠にひっかかって、幸せだから、ずっとこのままで良いって思ってしまったんだ。

マイク

でも、もしその選択をしていたら、街も、ロレッタも助からなかった。そして、その判断は、俺一人ではできなかった。あそこからは、一人では抜け出せなかった

マイク

だから、ありがとう。レイリィ

レイリィ

次からは、気を付けてよね。

レイリィ

あなたが死んだら、代わりはいないもの・・・

ショコラ

レイリィ、すぐそれ言うよね。

ショコラ

レイリィこそ、死んだらまずいのに

ショコラ

レイリィが死んだら、計画を起こせなくなっちゃうもん

レイリィ

私が死んでも、他の人が意思を引き継いでくれるなら、それでいいわ

ショコラ

そんなこと言わないでよ

ショコラ

・・・いつまでも、私のそばにいて私を支えてよ

ショコラ

私も、レイリィを手助けしたい。

レイリィ

ショコラ・・・ありがとう

マイク

俺も、可能な限りこのメンバーで過ごしたい

レイリィ

あなたは薬が手に入ったら、街に戻るのが先決よ

マイク

そのあとの話だ

レイリィ

それってどういう意味・・・

ショコラ

さあ、そろそろ出発するわよ!次の村まであと少しのはずよ!!

レイリィ

ショコラ待って、朝食を食べたいわ

レイリィ

昨晩、何も食べてないから

マイク

俺も、腹減った・・・

マイク

出発はそのあとにしてくれ

ショコラ

はあ?!

ショコラ

あんたら軟弱ねー!でも、レイリィのために待ってあげるわ

レイリィ

ありがとう。ショコラの分も作るわ

レイリィ

何がいい?

ショコラ

私は、ゆで野菜がいいわ!

この三人の旅は、まだまだ終わりそうにない。

とある三人の冒険者の話 ー完ー

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