子どもの悲鳴と苦しそうな 泣き声が周りから響く。
手で耳を塞いでも 音は聞こえて、その場から 離れる事も出来ない。
目の前の少女は、 優しく微笑みながら 自分を抱き包む。
少女の身体は傷だらけで 痛々しい…
私のせいだ。
私がこの地獄に落とした。
私さえ…ければっ、
第39話
『和解』
~夜猫依頼事務所~ 医務室
夜桜
医務室の窓側のベットで 寝ていた夜桜は ゆっくり目を開けた。
夜桜
夜桜
コンコンコンッ!
医務室のドアの 外側からノック音が3回した。
夜桜
昼ごはん一緒に
食べよう。
お腹減って
倒れちゃうよ。
夜桜
食べてない。)
グウゥ~
夜桜
夜桜はベッドから降り、 医務室の鍵を解錠し、 ドアを開けた。
猫船
夜桜
猫船は弁当を持ち、 医務室にある椅子に座り、 机の上に乗せた。
夜桜
夜桜は別の椅子を 猫船と対面するように置き、 座った。
猫船
夜桜
2人は お弁当を食べ始めた。
猫船
美味しいね~!
夜桜
猫船
夜桜
外にいたのか。)
夜桜
つけられてないよな?
猫船
ついてきてる人は
いなかった!
猫船
見えない人は
探れないから
分からないけど、
夜桜
猫船
夜桜の事を色々
聞いたんだ。
猫船
夜桜
夜桜
猫船
驚いたよ。
猫船
何も教えてくれ
なかったから、
夜桜
意味ないだろう。
夜桜
変わらないしな。
夜桜
あんまり話して
いいものじゃない。)
夜桜
不快だ。)
猫船
朝花さんの事
嫌いじゃないよね?
夜桜
猫船
夜桜悲しい
そうに見えたの。
猫船
酷い事を言いたく
なかったんじゃないの?
夜桜
猫船
教えて。
猫船
言ったのか、
知りたいの。
夜桜
猫船
夜桜
夜桜
関係ないだろ!
猫船
夜桜
関わるな!!
夜桜は強い口調で 猫船に言った。
夜桜
猫船
ぎゅっ…
夜桜
猫船は夜桜のかすかに 震える手を優しく握り、 夜桜を真っ直ぐ見る。
猫船
二人が悲しい思いを
しない方法を
見つけたいの。
猫船
後悔してほしくないから、
夜桜
猫船
働く事になった時、
おばあちゃんと離れて
暮らしたの。
猫船
住む事が出来たけど、
猫船
おばあちゃん家が
凄い遠かったから
別居したんだ。
猫船
おばあちゃんに
全然会いに行けなくて、
猫船
もう、元気じゃなかった。
猫船
後悔してるの。
猫船
早く会いに行かなかった
のかなって、
猫船
猫船
同じ思いをして
欲しくない。
夜桜
猫船
教えて。
夜桜
俺に関わらない
方がいいんだ。
猫船
夜桜
言われたんだ。
夜桜
私達が不幸に
なる事はなかった」と、
夜桜
いなければ…。」とな。
猫船
夜桜
言った事は、
間違いじゃない。
夜桜
俺がいれば朝花が
不幸になったからな。
猫船
言ったの?
夜桜
夜桜
朝花に迷惑がかかる。
夜桜
離れると思った。
夜桜
あいつの為だからな。)
猫船
それは朝花に
言った事ある?
夜桜
猫船
話してて、
猫船
不幸になったって
聞かなかったよ。
猫船
朝花さん、夜桜の事
聞くと凄い嬉しそう
だった。
猫船
家での生活も、
心配してたし…
夜桜
気にしすぎだ。)
夜桜
忘れればいいのに、)
猫船
夜桜がいるから
不幸って絶対
思ってない。
夜桜
実際はそうなってる。
夜桜
猫船
不幸って口に
してないでしょ?
夜桜
猫船
決めつけちゃ
駄目だよ。
猫船
話そう。
猫船
自分の思いを
伝えてよう。
夜桜
夜桜
夜桜
言ったんだ。)
夜桜
話せる自信がないし、)
夜桜
外で朝花と一緒に
いるのは危険だ。)
夜桜
バレてる可能性は
あるが…)
猫船
手紙に書いて
渡すとかどう?
夜桜
猫船
手紙なら
書きやすいし、
猫船
夜桜
猫船
朝花さんからきた
手紙ってどうしてたの?
猫船
夜桜
引き出しに全部
保管してる。
猫船
夜桜
猫船
たんだね。
夜桜
困ってただけだ。
夜桜
猫船
夜桜
書いでないと
やり取りできないだろ。
猫船
夜桜
住所ぐらい
白樹に聞けば
すぐ分かる。)
夜桜
返す事が出来た。)
夜桜
臆病なんだろうな。)
夜桜
事務所の住所を
知ってたはずだ。)
夜桜
わざわざ、自分の
足で事務所に
投函しに来て…)
夜桜
夜桜
猫船
夜桜
手紙を書く。
夜桜
言ったのを謝ろう。)
夜桜
姉妹関係を
終わってもいい。)
猫船
今日の帰りに
便箋買いに行こう!
夜桜
猫船
仲直りしないとね。
夜桜
夜桜
嫌で酷い事
言ってしまった。)
夜桜
~夜猫依頼事務所~ 訓練場
シュッ!
闇桜
シュッシュッ!
青影
青影
闇桜は地面に体育座りをし、 遠くの的にめがけて ナイフを投げ当てていた。
青影
あの的の絵って…)
青影
夜桜さんだよな…)
青影
青影の声が漏れた瞬間、 闇桜のナイフを 投げる手が止まる。
闇桜は青影の方に 振り向いた。
闇桜
青影
青影
青影
普段の闇桜さんから
予想できないから、)
青影
するんだなと
意外で…。)
闇桜
すると、 突然、闇桜はしゅんと 落ち込んだ様子になってしまった。
青影
青影
闇桜
青影
闇桜
カッとなって、
闇桜
大人げないわよね。
青影
スッ
青影は闇桜にゆっくり近づく。
そして、闇桜と間を空けて その場に座った。
青影
怒ったんですか?
闇桜
闇桜
不幸に陥れる存在…
って言われた。
闇桜
誰かを不幸させる
存在だし、
闇桜
見たいから
嫌がらせもするわ。
闇桜
闇桜
ほしい、なれとは
思ってない。
闇桜
私には面白くないもの。
闇桜
決めつけられて
言われたくなかった。
青影
闇桜
夜桜の思考に
踏み込みすぎたのか
原因よね。
闇桜
逸らせば良かったのに…
青影
見えてるんですか?
闇桜
見たらすぐにね。
闇桜
顔を見るから
より相手の
本音がわかる。
闇桜
顔隠してても
なぜか分かってしまう。
青影
闇桜
顔を見なければ
読まなくてすむ
んだけど、
闇桜
できないのよね…
青影
大変だな。)
闇桜
見られてるのは
嫌よね?
闇桜
見ないように
意識を…
青影
青影
もう平気なので、
闇桜
青影
慣れたのも
ありますけど、
青影
悪い用には
しませんし、
青影
って分かってますので、
青影
助けてもらって
ばかりだ。)
青影
今までどおり
話して下さい。
青影
全然読まれても
大丈夫ですから、
闇桜
青影
見たくなければ
全然逸らして話して
構いませんから…
青影
闇桜
闇桜は柔らかい 表情で笑った。
闇桜
いつもどおり
でするわ。
闇桜
ありがとう。
青影
二人は声に反応し、 そちらへ振り向いた。
猫船
青影
夜桜
青影
闇桜
夜桜
闇桜と夜桜は 互いに目線が合い、 動きが止まる。
青影
夜桜
青影
夜桜
夜桜は頭を下げて、 闇桜に謝罪した。
闇桜
ごめんね。
闇桜
色々と言い過ぎたわ。
闇桜も夜桜に 頭を下げて謝罪する。
そして、 二人は顔を上げて 握手を交わした。
青影
一件落着…か。)
夜桜
あれはなんだ?
夜桜は複数のナイフが 刺さった的を指さした。
猫船
闇桜
作って投げてたのよ。
闇桜
みたいで、真ん中に
当たらなかったけど…
夜桜
闇桜
闇桜
違うわよ?
闇桜
じゃないでしょ?
闇桜
ナイフだし…
青影
青影
他の人から見れば、
そう見えるかもな…。)
闇桜
込めてたわね。
闇桜
何か起きるとかは
多分ないわ。
青影
闇桜
片付けるわ。
闇桜と的を片付けに 向かった。
猫船
夜桜
青影
…だろう。)
青影