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ぐすっ…ぐすっ、

子どもの悲鳴と苦しそうな 泣き声が周りから響く。

手で耳を塞いでも 音は聞こえて、その場から 離れる事も出来ない。

だいじょうぶ。

目の前の少女は、 優しく微笑みながら 自分を抱き包む。

少女の身体は傷だらけで 痛々しい…

ごめんなさいっ…

私のせいだ。

私がこの地獄に落とした。

私さえ…ければっ、

第39話

『和解』

~夜猫依頼事務所~ 医務室

夜桜

……。

医務室の窓側のベットで 寝ていた夜桜は ゆっくり目を開けた。

夜桜

(…寝てたのか。)

夜桜

はぁ…

コンコンコンッ!

医務室のドアの 外側からノック音が3回した。

夜桜、起きてる?

夜桜

(…桜か。)

起きてたら、
昼ごはん一緒に
食べよう。

食べないと
お腹減って
倒れちゃうよ。

夜桜

(そういえば、
食べてない。)

グウゥ~

夜桜

……。

夜桜はベッドから降り、 医務室の鍵を解錠し、 ドアを開けた。

猫船

一緒に食べようっ!

夜桜

…あぁ、

猫船は弁当を持ち、 医務室にある椅子に座り、 机の上に乗せた。

夜桜

(こっちで食べるのか。)

夜桜は別の椅子を 猫船と対面するように置き、 座った。

猫船

いただきます~!

夜桜

…いただきます。

2人は お弁当を食べ始めた。

猫船

今日もお弁当、
美味しいね~!

夜桜

…いつ帰って来た?

猫船

さっきだよ!

夜桜

(だいぶ長い間
外にいたのか。)

夜桜

変なやつに
つけられてないよな?

猫船

後ろ時々見てて、
ついてきてる人は
いなかった!

猫船

夜桜みたいに
見えない人は
探れないから
分からないけど、

夜桜

(まぁ、大丈夫か。)

猫船

…朝花さんからね、
夜桜の事を色々
聞いたんだ。

猫船

その…昔の事も、

夜桜

……。

夜桜

(…聞いたのか。)

猫船

朝花さんから聞いて、
驚いたよ。

猫船

夜桜は会った時から
何も教えてくれ
なかったから、

夜桜

他人に話した所で
意味ないだろう。

夜桜

過去は
変わらないしな。

夜桜

(それに、
あんまり話して
いいものじゃない。)

夜桜

(相手も自分も
不快だ。)

猫船

…夜桜は、
朝花さんの事
嫌いじゃないよね?

夜桜

……。

猫船

あの時、
夜桜悲しい
そうに見えたの。

猫船

本当は、朝花さんに
酷い事を言いたく
なかったんじゃないの?

夜桜

…そんな訳、

猫船

じゃあ、理由を
教えて。

猫船

夜桜が何を思って
言ったのか、
知りたいの。

夜桜

知らなくていい。

猫船

知りたい。

夜桜

知る必要ない!

夜桜

お前には
関係ないだろ!

猫船

夜桜、

夜桜

これ以上、
関わるな!!

夜桜は強い口調で 猫船に言った。

夜桜

(俺を探るな…)

猫船

……。

ぎゅっ…

夜桜

猫船は夜桜のかすかに 震える手を優しく握り、 夜桜を真っ直ぐ見る。

猫船

私はね、
二人が悲しい思いを
しない方法を
見つけたいの。

猫船

私みたいに
後悔してほしくないから、

夜桜

(後悔?)

猫船

事務所で
働く事になった時、
おばあちゃんと離れて
暮らしたの。

猫船

そのまま一緒に
住む事が出来たけど、

猫船

事務所から
おばあちゃん家が
凄い遠かったから
別居したんだ。

猫船

仕事が忙しくて
おばあちゃんに
全然会いに行けなくて、

猫船

久しぶりに会った時は、
もう、元気じゃなかった。

猫船

今でも
後悔してるの。

猫船

なんでもっと
早く会いに行かなかった
のかなって、

猫船

親孝行もできてないのに…

猫船

夜桜や朝花さんにも
同じ思いをして
欲しくない。

夜桜

……。

猫船

だから、
教えて。

夜桜

…朝花は、
俺に関わらない
方がいいんだ。

猫船

え?

夜桜

昔、母親に
言われたんだ。

夜桜

「俺がいなければ、
私達が不幸に
なる事はなかった」と、

夜桜

「双子の妹が
いなければ…。」とな。

猫船

……。

夜桜

だが、母親の
言った事は、
間違いじゃない。

夜桜

実際、
俺がいれば朝花が
不幸になったからな。

猫船

だから、
言ったの?

夜桜

ああ、

夜桜

俺がいると
朝花に迷惑がかかる。

夜桜

いっそ嫌われた方が
離れると思った。

夜桜

(離れる事が
あいつの為だからな。)

猫船

夜桜、
それは朝花に
言った事ある?

夜桜

ん?

猫船

今日、朝花さんと
話してて、

猫船

夜桜がいたから
不幸になったって
聞かなかったよ。

猫船

それに、
朝花さん、夜桜の事
聞くと凄い嬉しそう
だった。

猫船

今の事務所での様子、
家での生活も、
心配してたし…

夜桜

(…人の事、
気にしすぎだ。)

夜桜

(俺なんか
忘れればいいのに、)

猫船

朝花さんは、
夜桜がいるから
不幸って絶対
思ってない。

夜桜

思ってなくても
実際はそうなってる。

夜桜

俺は…

猫船

朝花さんは
不幸って口に
してないでしょ?

夜桜

…言ってはない。

猫船

なら、勝手に
決めつけちゃ
駄目だよ。

猫船

もう一度会って、
話そう。

猫船

今度はちゃんと、
自分の思いを
伝えてよう。

夜桜

(自分の…か。)

夜桜

…会うなんて、

夜桜

(あんな事を
言ったんだ。)

夜桜

(自分の気持ちを
話せる自信がないし、)

夜桜

(それに、
外で朝花と一緒に
いるのは危険だ。)

夜桜

(まぁ、もう存在が
バレてる可能性は
あるが…)

猫船

じゃあ、
手紙に書いて
渡すとかどう?

夜桜

(手紙?)

猫船

話すのが無理でも、
手紙なら
書きやすいし、

猫船

ちゃんと伝わるよ。

夜桜

……。

猫船

あ、そういえば
朝花さんからきた
手紙ってどうしてたの?

猫船

捨ててはないよね?

夜桜

…俺の机の1番下の
引き出しに全部
保管してる。

猫船

鍵付きの?

夜桜

ああ、

猫船

大事に閉まって
たんだね。

夜桜

捨てるのに
困ってただけだ。

夜桜

送り返せないしな。

猫船

どうして?

夜桜

住所が
書いでないと
やり取りできないだろ。

猫船

あ、確かに!

夜桜

(でも、
住所ぐらい
白樹に聞けば
すぐ分かる。)

夜桜

(手紙は簡単に
返す事が出来た。)

夜桜

(…俺は、
臆病なんだろうな。)

夜桜

(朝花は、
事務所の住所を
知ってたはずだ。)

夜桜

(それなのに
わざわざ、自分の
足で事務所に
投函しに来て…)

夜桜

……。

夜桜

…分かった。

猫船

ん?

夜桜

朝花に
手紙を書く。

夜桜

(酷い事を
言ったのを謝ろう。)

夜桜

(それで
姉妹関係を
終わってもいい。)

猫船

じゃあ、
今日の帰りに
便箋買いに行こう!

夜桜

ああ、

猫船

後、闇桜と
仲直りしないとね。

夜桜

…そうだったな。

夜桜

(問い詰められるのが
嫌で酷い事
言ってしまった。)

夜桜

…謝らないとな。

~夜猫依頼事務所~ 訓練場

シュッ!

闇桜

……。

シュッシュッ!

青影

……。

青影

(まだ不機嫌だな。)

闇桜は地面に体育座りをし、 遠くの的にめがけて ナイフを投げ当てていた。

青影

(ってか
あの的の絵って…)

青影

(絶対、
夜桜さんだよな…)

青影

ふっ…

青影の声が漏れた瞬間、 闇桜のナイフを 投げる手が止まる。

闇桜は青影の方に 振り向いた。

闇桜

何か用?

青影

あ、いえ…

青影

(少し笑ってしまった。)

青影

(なんか
普段の闇桜さんから
予想できないから、)

青影

(こんな事
するんだなと
意外で…。)

闇桜

……。

すると、 突然、闇桜はしゅんと 落ち込んだ様子になってしまった。

青影

す、すいませんっ、

青影

(俺、余計な事を…)

闇桜

そうよね。

青影

え?

闇桜

夜桜の言葉で
カッとなって、

闇桜

こんなの
大人げないわよね。

青影

……。

スッ

青影は闇桜にゆっくり近づく。

そして、闇桜と間を空けて その場に座った。

青影

…何言われて
怒ったんですか?

闇桜

人を不幸を願う存在。

闇桜

人の弱みを嘲笑い、
不幸に陥れる存在…
って言われた。

闇桜

確かに私は
誰かを不幸させる
存在だし、

闇桜

時々、可愛い反応
見たいから
嫌がらせもするわ。

闇桜

…でも、

闇桜

不幸になって
ほしい、なれとは
思ってない。

闇桜

不幸なんて
私には面白くないもの。

闇桜

だから、勝手に
決めつけられて
言われたくなかった。

青影

…そうですか。

闇桜

まぁ、私が
夜桜の思考に
踏み込みすぎたのか
原因よね。

闇桜

常に見えてても、
逸らせば良かったのに…

青影

え、常に
見えてるんですか?

闇桜

…相手を
見たらすぐにね。

闇桜

人と話す時は、
顔を見るから
より相手の
本音がわかる。

闇桜

相手が
顔隠してても
なぜか分かってしまう。

青影

(隠してても!?)

闇桜

目を閉じたり、
顔を見なければ
読まなくてすむ
んだけど、

闇桜

なかなか
できないのよね…

青影

(結構、
大変だな。)

闇桜

青君も
見られてるのは
嫌よね?

闇桜

なるべく
見ないように
意識を…

青影

いえ、大丈夫ですよ。

青影

今は
もう平気なので、

闇桜

え?

青影

ずっと読まれて
慣れたのも
ありますけど、

青影

闇桜さんは
悪い用には
しませんし、

青影

人を貶めようしない
って分かってますので、

青影

(むしろ、
助けてもらって
ばかりだ。)

青影

だから、
今までどおり
話して下さい。

青影

俺は闇桜さんになら
全然読まれても
大丈夫ですから、

闇桜

……。

青影

あ、でも
見たくなければ
全然逸らして話して
構いませんから…

青影

(無理のないように…)

闇桜

ふふっ、

闇桜は柔らかい 表情で笑った。

闇桜

なら、
いつもどおり
でするわ。

闇桜

青君、
ありがとう。

青影

いえ、

あっ、いた!

二人は声に反応し、 そちらへ振り向いた。

猫船

ただいま!

青影

お疲れ様です。

夜桜

……。

青影

(あっ、夜桜さん!)

闇桜

……。

夜桜

……。

闇桜と夜桜は 互いに目線が合い、 動きが止まる。

青影

(…大丈夫だろうか?)

夜桜

…悪かった。

青影

ッ!

夜桜

言い過ぎた。

夜桜は頭を下げて、 闇桜に謝罪した。

闇桜

…私こそ、
ごめんね。

闇桜

かっと…なりすぎて
色々と言い過ぎたわ。

闇桜も夜桜に 頭を下げて謝罪する。

そして、 二人は顔を上げて 握手を交わした。

青影

(これで、
一件落着…か。)

夜桜

ところで、
あれはなんだ?

夜桜は複数のナイフが 刺さった的を指さした。

猫船

あっ、夜桜の顔っ!!

闇桜

イライラしてたから
作って投げてたのよ。

闇桜

まぁ、調子悪かった
みたいで、真ん中に
当たらなかったけど…

夜桜

…呪いか?

闇桜

え、呪い?

闇桜

あぁ、
違うわよ?

闇桜

あれ、藁人形
じゃないでしょ?

闇桜

投げてるのも
ナイフだし…

青影

(あー、なるほど。)

青影

(確かに
他の人から見れば、
そう見えるかもな…。)

闇桜

まぁ、殺意の念は
込めてたわね。

闇桜

でも夜桜の身に
何か起きるとかは
多分ないわ。

青影

(多分っ!?)

闇桜

じゃあ、
片付けるわ。

闇桜と的を片付けに 向かった。

猫船

……。

夜桜

……。

青影

(まぁ、大丈夫
…だろう。)

青影

(多分…)

夜猫依頼事務所~厄災の魔女~

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