コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
チケットはもう完売したようだ。
私は待合室で待っている。そこには懐かしい人たちがいた。
川根
男性の声が私に向けてかかる。緊張してないと言えば嘘になる。二年間のブランクで人は好みは変わるものかもしれないからだ。それに解散と言ったら、なおさら人は減るだろう。
岩井
川根
見つめ合う二人。そんな二人は笑顔だった。そんな光景が懐かしく感じられる。あの時となんも変わっていない。
夏下
夏下さんが私たちにスマホを見せる。それは新しい機種だ。でもそこじゃない。その中のデータにあの人がまだ生きているんだ。さらなる力を身に付けて私たちとのバンドができる日を待っていたんだ。
野乃子
笑顔で私を見返してくる男性三人。
野乃子
私は手を伸ばし、円陣を組むように仕向ける。
夏下
私の手の上に男たちの手が重なる。道はそれぞれ離れたが、ここに集結したのだ。
野乃子
岩井
夏下
川根
それぞれ私の掛け声の後に続けて同時に言った。特に決まりはないが、掛け声はこんな感じである。
あの解散のライブの時も同様にした。
私たちは舞台裏に向かう。
ステージに向かっていくほど私たちのことを待っていたというような感覚が私たちの背中を何気なく押している。まるでステージの上に引き寄せりるような感覚で。
舞台裏に到着すると、ステージ前には私たちのバンドの曲を聞くために年代幅広く多く集まっていた。
その人数の多さを見た瞬間、私の心は落ち着いた。
初めての頃はまさにその逆だった。多すぎて恐怖心などで心が震えていた。
あの頃とは違う。私たちには経験と今まで支えてきた仲間たちがいる。