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主。
主。
主。
主。
朝、Tg先生とMzに勇気をもらった俺は、 一回深呼吸をしてからAkの病室の扉をコンコンと叩いた
Ak
Akの返事を聞いて覚悟を決めた俺は、 ガラリと病室の扉を開けてAkの近くに歩み寄る
Ak
Ak
Pr
休み時間にMzと一緒に口裏を合わせた彼が遅く来る理由をAkに話し、 俺は車椅子に座る彼の隣まで歩いていき、ぎゅっとその手を握った
Ak
Pr
何から話そう、どういうふうにそれとなく聞こう、 そんな考え事をしながら、俺は彼のあたたかい手を握り続ける
Ak
俺の方を見て名前を呼ぶAkの瞳は揺れていて、 隠しきれない動揺が見え隠れしているように感じた
Pr
そんなことを考えたところで俺の片想いは変わらないと 1人で自嘲気味に笑っていると、Akが心配そうに声をかけてきた
Ak
Pr
自分だって今は苦しいはずなのに、人の心配ばっかりして
優しいのはAkのいいところやし、俺もそんなところが大好きやけど、 そんな彼には自分のことも大切にしてほしいと思った
そう思ったら、溢れる言葉が止まらなくて、 Tg先生のアドバイスをガン無視して直接的なことを言ってしまった
Pr
Ak
Ak
Pr
数ヶ月前のAkの件でもそうであった通り、 俺は元々言いたいことは単刀直入にズバズバと言葉にしてしまうタイプだ
仲良くなりたいと思ったら仲良くなりたいと笑顔で伝えるし、 軽蔑したら軽蔑したと冷たい目線で吐き捨てる
その特性上Tg先生が言っていたアドバイスは 俺からしたら苦手な部類のものであったのも相まって、 今回の件も直接的に本題に入ってしまった
Pr
俺は慌ててAkから離れ、その手も手放そうとしたが、 俺が離れる前に彼に手をホールドされてしまった
Pr
Ak
Ak
そう言ってオレの方を見たAkは、 泣き笑いのような表情を浮かべながらこんなことを言ってきた
Ak
Ak
Pr
彼は俺の手をぎゅっと握っており、その手は震えている
今まで誰よりもAkのそばにいた俺には、 今の彼が勇気を出してその身に起こったことを 話してくれようとしていることがわかった
でも彼が誰かを頼るときに莫大な勇気を要することも知っていたので、 俺は彼の言葉を後押しするために手をぎゅっと握り返しながら言う
Pr
Pr
Ak
Pr
Akのこと、好きなんよ。
Ak
Pr
Pr
Pr
俺は自分の言葉に精一杯の甘さを込めて、 Akへの気持ちの全部を表情で表して、 弱っている彼に頼ってもらおうとにこりと微笑む
Ak
Pr
Pr
Pr
Pr
Ak
Akはボロボロと涙をこぼしながら、ぽつりぽつりと話し始める
Ak
Ak
Ak
Akはその太陽のような輝きを秘める瞳から大粒の水滴を溢れさせながら、 昨日あった出来事を話してくれた
Ak
Pr
Pr
Ak
Ak
Ak
Pr
Akが告げる理不尽すぎる出来事とあり得ない暴言に、 オレはあの時と同じように頭に血が上る
ちょっとAkを怖がらせてしまったかもしれないと思ったが、 今までの関係のおかげで彼から信用されているのか、 Akは特に様子を変えずにその続きを話していく
Ak
Ak
Pr
Pr
Ak
Ak
Ak
Ak
Pr
Pr
Pr
Ak
Ak
Ak
Pr
Ak
Akは俺の言葉を聞いて涙をいっぱい溜めながら笑ったが、 少し不安げな顔をしながら言った
Ak
Pr
Ak
Pr
俺の返答を聞いて少し安心したように笑ったAkは、 こんな当たり前のことを聞いてきた
Ak
Pr
Pr
Pr
Ak
Ak
そこまで言うとAkははっと重要なことを思い出したような顔をして、 俺の瞳を見ながらこんなことを告げる
Ak
Pr
俺が頭に疑問符を浮かべていると、 Akはちょいちょいと俺を手招きしてこっちにこいとジェスチャーをする
それに従って彼の目の前に行く
すると今度は後ろを向いて、と指示されたのでそれを実行すると、 俺の体がぐいっと引き寄せられた
Pr
俺が重力に従って態勢を崩した次の瞬間、 ぽすんと音がして自分の体は何かあたたかいものに包まれる
Pr
ふふっ、とイタズラっぽい笑みを浮かべる彼に促されて 自分の状態を確認した結果、俺はパニックに陥った
Pr
相手は車椅子であるので立ってハグをするのよりも目線は低いが、 俺の背中に触れている体は間違いなくAkのものであるし、 俺のお腹あたりで交差している腕も彼のものだ
好きな子に抱きしめられて顔が真っ赤になっている俺の耳元で、 大好きな男の子は聞いたこともないような甘い甘い声で囁く
今日も、月が綺麗ですね。
Pr
Pr
いつもと比べ物にならないくらい近いAkのぬくもりと 脳みそが溶けそうな声という二つの原因のせいでバクバクと高鳴る心臓と Akの告げた言葉に大混乱を起こしている俺に、彼は笑う
Ak
Pr
Ak
Pr
Ak
Ak
Pr
Ak
Pr
Ak
Ak
Ak
Ak
Pr
Akの先ほどの発言の意味を理解して、俺の顔はかっと熱くなる
Ak
Ak
Ak
彼は俺の体をぎゅっと抱きしめて、俺の耳元で先ほどよりも甘い声で囁く
さっきのオレの言葉の意味、わかった?
頭を全部かきまわされているような好きな人の声と それが紡ぐ彼らしい上品で教養のある甘い言葉にキャパオーバーして 目をぐるぐると回しているオレを見て、 彼はちゃんと発言の意図が伝わったことを察したらしい
Ak
Pr
Ak
Pr
俺がしどろもどろになりながら彼のお願いの内容を尋ねると、 彼はにこりと甘い笑顔を浮かべて続けた
Ak
Pr
ずっと片想いだと思っていた大好きな男の子から、 恋人になって欲しいとお願いされた
そんな夢のような展開に、返す言葉は一つしかない
Pr
Ak
そうつぶやいたAkは、俺を更にぎゅっと抱きしめて俺の頭に口付ける
Akに恋人として甘やかされているのが幸せすぎて、 彼から与えられる口付けを黙って受け入れることしかできなかった
Ak
Ak
Ak
そう言ってAkが俺を解放したので、 俺は名残惜しい気持ちにはなりながらもおとなしく彼から離れる
Pr
Ak
Pr
AkとPrの進展を後押しするために想定より遅めに病院に来たオレは、 そろそろ大丈夫だろうとAkの病室に向かっていた
Mz
そうつぶやきながらオレが病院の廊下を歩いていると、 どん、と誰かとぶつかる
Mz
At
ぶつかった相手を見て、オレは目を見開く
Mz
At
そこに立っていたのは、いつも海岸にいるあいつとそっくりな青年だった
でもその表情にはいつものような大人っぽい笑みは見当たらず、 ただただ無表情を貫いている
At
Mz
Mz
At
相手は不思議そうな表情を浮かべていて、 オレのことを認識してはいなさそうだ
Mz
彼はしばらくオレをじいっと見ながら、 こてんと首を傾げてこんなことを聞いてくる
At
Mz
At
At
Mz
確かにAtみたいな見た目のやつはそうそういないと思うし、 オレから見てもこいつとの関わりは心当たりしかない
Mz
Mz
At
At
Mz
知ってる、と即答したいところだが、 本当に彼の中からオレが忘れ去られてるんだとしたら ショックすぎてなにもいえなくなる自信がある
Mz
そんなことをぐるぐると考えているうちに彼は、 まあ初対面でこんなことを聞くのも変か、とつぶやいて やっぱりいいやと話を切り上げた
Mz
彼から放たれるその記憶の中にオレは存在しないという証明となる言葉に オレが1人で傷ついていると、彼は表情こそ変わらないものの 海岸にいる時と同じような心配そうな雰囲気を少し放ちながら尋ねる
At
Mz
Mz
At
オレの名前に関することは本人も今しがた気がついたらしく、 少し戸惑っているようだ
Mz
オレがそんなことを考えていると、 彼は何かを思い出したようにあ、と声をあげてこう言った
At
At
Mz
彼はオレの言葉にうなずくと、 オレの横を通り抜けて目的地に向かって歩いて行った
Mz
Mz
Mz
先ほど言葉を交わした青年について考えることを保留として、 オレは友人達の待つAkの病室に向かった
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