突然だが、りうらとアニキは 付き合っている
ないこ
ついでに言うと今日はアニキの 誕生日前日なのである。
りうら
俺は嫉妬やらなんやら面倒なことに 巻き込まれるのは嫌なんだけど! まあ流石に大丈夫……だよね?
りうら
こと好きなの?ごめんね
僕の心はもうアニキ
ゲット☆されてるからっ
ないこ
振られたみたいなの
やめてくれる!?
ハッとしたかと思えばこんなことを 言い始める。キザな言葉を重ねている せいか、ナルシストに見えた。
ないこ
何のようなの?
りうらが俺を呼ぶ時、大抵 困ったときなのだ。 例えば喧嘩しただとか、プレゼント 誰にしようだとか…そんな感じ。
りうら
それなんだけどさ…
ないこ
今回は何だろうかともはや 楽しみになっている。
りうら
ないこ
真面目な顔して何を言うかと思えば 料理。まさかの料理。
ないこ
いるんだからいいじゃん
ないこ
もらえば?
料理といえばアニキだろって感じに なってきているのに、専門外の俺に 何を求めるというのだ
りうら
気持ちを込めてさ、
何かあげたくて、
りうら
人を幸せにするじゃん?
りうら
ないこ
ってわけか。
りうら
少しの恥じらいを残しながら 話すりうらを見て、ggrと思ったが こんなに可愛い奴を放っておくことは 俺にはできなかった。
ないこ
ないこ
料理を教えてあげよう!
りうら
ありがとうないちゃん!
ないこ
大喜びするりうらを見て、 張り切ろうと思った俺だった。
ないこ
りうら
ないこ
それくらいならりうら一人でも 作れそうなものではあるが…
ないこ
とかしたの?
りうら
ないこ
少し意外ではあったが、たしかに、 とりあえず一人で、やるよなと思った
りうら
失敗しちゃって
りうら
と言って、スマホの画面を見せてきた 黒炭のような何かが写っている
ないこ
本当に作った!?
りうら
ないこ
ないこ
作れてたよね…?
1ヶ月くらい前だったが、りうらは 自作だと言ってポテトを渡してきた あれは結構美味しかったのに。
りうら
他の料理になると、
ぜーんぶ黒炭になっちゃう
ないこ
困ったように言うがそのレベルじゃ ないだろう。メンバー以外の人なら きっと距離を置くレベルだ。
ないこ
一旦置いとく。
ないこ
卵焼きとかオーソドックス
なものから始めたら?
りうら
ないちゃん、指導
お願いします!
ないこ
正直心配だし、無理な気がして来た いや、諦めるわけにはいかないっ りうらが頼ってくれてるんだからっ
りうら
黒かったっけ
ないこ
まあ、試してみたわけだが、 結果漆黒の卵焼きが完成してしまった
ないこ
教えてたよね!?え!?
りうら
なってないだけマシだよ!
ないこ
何やら聞き捨てならないワードが 聞こえてきてしまった。
りうら
消し炭になったから
ないこ
謝って!!
りうら
もう何言ってるかわからないが、 冷静になろうと思う。
ないこ
りうら
ないこ
下手すぎて驚きはしたけどね
そんなこと、言うほどには自覚 してたんだなと一種の関心を覚えた
ないこ
りうら
メンバー集合ってコト?
ないこ
手分けして、呼んだら
まー来るでしょ
日曜の昼間、ということもあり仕事も 活動も休んでるだろうという予想を立て他メンを呼ぶことになった。
ないこ
心強いんだけどね…
りうら
が1番嬉しいと思うから!
にっこりと純粋な笑顔を向けられると こっちが折れるしかなくなるのは、 言うまでもないだろう。
ないこ
りうら
考えよー!
ないこ
ということで、振り出しに戻る。
ないこ
りうら
になるのかなぁ…
ないこ
りうら
ないこ
ほらお椀に入れるより
特別感が出るし。
りうら
りうら
やってみるとか?
ないこ
りうら
することには
変わりないじゃん?
ないこ
と、色々話し合っていたところで、 ピンポーンという 玄関チャイムが鳴った
ないこ
りうら
ないこ
アイツらこういう時だけ 早く来るんだよな… いつも遅刻するくせに……
りうら
ほとけ
初兎
いふ
次々と聞こえてくるメンバーの声と ともに足音が増えていく。
ないこ
なに作るか考えようか
ほとけ
うどんとかいいとおもいまーす!
初兎
あ、麺から作るんか
ほとけ
いふ
ないこ
だけでしょ!?
いふ
一番寿司食いたいんやろ?
ないこ
口々に喋りまくるメンバーたち 今回の主役は りうらとアニキだというのに
りうら
作りたい!
初めに言ってた料理を声に出していた よっぽど好きなんだろうか?
りうら
めっちゃ美味しいからさ
僕だってできるんだぞって
ところ見せてあげたいんだ
ないこ
納得できた。子供らしい可愛い理由 ではあるけれど本人は真剣なんだろう
ほとけ
初兎
いるんとちゃう?
いふ
今からやと厳しいやろ
ないこ
現在の時刻は午後3時。 りうらの料理スキルを高めるのに 三時間は絶対必要だろうし……
りうら
いふ
頼るもんやないの?
ニィッといふが笑う。 俺もそれに便乗させてもらうとしよう
ないこ
作るから間に合わせよう!
りうら
不安気だった顔から、徐々に 明るさが取り戻されてきた。
ほとけ
初兎
ほとけ
初兎
とりにいくもんや!
りうら
ないこ
まあそんなこんなで、料理再開です。
…料理中の様子…
りうら
ないこ
ほとけ
大丈夫なの?
いふ
と思うしかないな
りうら
初兎
ないこ
終了だよ!
ほとけ
料理が終わってるよ!
初兎
りうら
初兎
食わせようとすんなや!!
いふ
ある意味すげえなww
ないこ
まあなんやかんやありまして、 ポテトとサラダとスープはすこーし 不恰好だけれど完成した
りうら
こんなに難しいの……?
ないこ
ほとけ
初兎
全員で話し合っていると、 いふがハッと閃いたように呟いた
いふ
可能性は…?
ないこ
ほとけ
って思って任せてたよね
初兎
思いつかんかったんや…
りうら
あげれる…もん
何故か涙目のりうらは一旦、 おいておいてこの場をまとめる。
ないこ
いいしね!
ないこ
もういっかい!
ほとけ
ほとけっちが勢いよく締めた 俺が言うつもりだったとかそういう 不毛な争いはよそうとおもう。
りうら
そう言ってりうらは意気込み、 メンバーはそれぞれ準備に取り掛かった
悠佑
りうら
いつもより少し遅い時間に帰宅したら なんだか機嫌の良いりうらが 出迎えてくれた。可愛い。
悠佑
良いことでもあったん?
りうら
こっちきて
にまにまとしながら俺の手をひいて 玄関からダイニングへと連れていく
悠佑
もしかして、
りうらが作ったん!?
そこに並んでいたのはちょっと 不恰好で美味しそうな料理達だった
りうら
褒めて褒めてと言わんばかりに 目を輝かせて服の袖を引っ張る。 俺の彼氏、なんて可愛いんだろうか
悠佑
すごい!美味そう!
悠佑
そう言って頭をわしゃわしゃと 撫でてやるとりうらは満足そうな笑み を浮かべた。
りうら
ここまでできるのに
何時間つかったんだか……
りうら
言ってくれて嬉しい!
悠佑
りうら
あったってもんだよ!
胸を張って誇らしげにしている。 萌え死にさせる気なのかもしれない。
悠佑
りうら
悠佑
撫でる手を止めて一回ぽんっと 頭を優しく叩く それがなでなで終了の合図だった
りうら
悠佑
俺が着替えてから二人揃って夕飯を 食べ始めた。
悠佑
りうら
さて、どれを食べようかと 目を動かす。どれもとても美味しそう だがやっぱりここはハンバーグだろ
悠佑
そう言ってハンバーグを一口 頬張る。肉汁が口の中に広がり、 肉の柔らかさもちょうどよく、 愛がこもってる感じがして美味い。
悠佑
りうら
したけど…大丈夫だった?
悠佑
味があってめちゃ美味しい!
これは俺の本心からの言葉だ。 それがわかったのかりうらは安堵した ような顔へと変わった。
りうら
ギリギリだったんだ…
悠佑
その言葉に何故か疑問を覚えた俺は りうらに問いを投げかけた
りうら
意外と早くから準備をしていたようで 正直驚いた。
悠佑
したんは?
りうら
悠佑
五時間くらいかかるほど大変 だったのか……?
悠佑
りうら
悠佑
教えたんに……
一人でやったからここまで時間が かかってしまったのだろう。 そんな予想を一人で立てた上で言った
りうら
日頃の感謝、
伝えたかったんだもん
りうら
りうら
思って……ダメだった?
悠佑
ゆっくり口を開いたかと思えば 可愛い可愛い気遣いに俺の心は 悶えて死んでしまいそうだった。
悠佑
悠佑
ありがとうな、俺のために!
そう言って立ち上がりりうらを 抱きしめる。
りうら
良かったよ!
りうらは幸せそうな笑顔を浮かべた。 つられて俺も笑顔になる。
りうら
たべよ!
悠佑
一口目よりも時間をかけて 味わって頂こう。
そうすればきっとこんな幸せな時間も 長く続くから。
以下、ラインの文面である。
りうら
成功したよ!
ありがとう!
ないこ
良かった!
りうら
良かったの?
ないこ
バレたらりうらの得が
なくなっちゃうからね
りうら
まあ、今日はありがとね
りうら
ないこ







