兄弟達と会って約2週間が経った
赤には新しい鈴を手渡し、 それから毎日顔を出してくれる
水は赤と会い、会話をするのが 生活の一部になってきた
@ 水
そう呟くと、同時刻に 階段を誰かが歩む音が、水の獣耳に 聞こえた
@ 水
北風で揺れる赤髪は 真っ赤な紅葉のようだった
赤は一段一段を駆け上がり 神社の鳥居を潜る
@ 赤
@ 水
@ 赤
赤は水の元へ寄り、隣に座る
その時、水の視界から 赤が消えた
@ 水
水の声と共に、赤の体はガクッと 崩れ落ちた
水は赤の体を間一髪で受け止め、 赤が倒れるのを防ぐ
@ 水
@ 赤
@ 赤
@ 赤
@ 水
水は赤を支えながら、 赤の瞳と目を合わせる
赤の目は震えていて、 何かに怯えているような、 絶望に打ちのめされたような、 そんな表情をしていた
@ 赤
@ 水
@ 赤
@ 水
赤の声は掠れていて、 やっとの事で声を出している様子だ
@ 水
@ 赤
@ 水
@ 赤
赤が縁側が靴を脱いでる間に 水は狐にご飯を作るように頼む
@ 水
@ 赤
@ 水
@ 赤
@ 水
@ 赤
@ 水
@ 赤
赤は縁側の床と水の瞳、 正確には水の顔色を交互に 見つめる
数秒、無言の時間が続く 水は赤にかける言葉が 見つからなかった
@ 水
@ 水
@ 赤
赤はようやく居間に座り、 水と一緒に料理が来るのを待った
数分経つと狐がご飯を持ってきた
暖かいミネストローネに、 ホットミルク 見た目から美味しいと分かる食事に 赤のルビーの瞳は吸い込まれた
@ 水
@ 赤
赤はスプーンを手に取り、 スープを掬った
赤は食べた事の無い暖かさに、 感じたことのない優しい味に 思わず涙が零れそうになる
普段彼が食べているのは、 親の残りか、賞味期限切れたとかで 親がくれた残飯
残飯は高確率でカビが生えていて 食べられるとは思わない
お腹が空きすぎて息絶える覚悟で 食べたこともあった
それに比べて水が出した料理は 暖かく、とても美味しかった
赤が夢のまた夢と思っていた 暖かい食事
水の優しく見守ってくれる眼差し、 愛してくれていると分かる、 暖かくて、安心感のある手
愛の温もりに包まれながら 赤は料理を食べ進めた
コメント
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好きですね