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うむ…この鍵、どうしたものか…

(何度触れても、見えるのは暗闇ばっかりだ)

何も見えないなんて、そんな事あるか…?

…ん?何も見えない?

もしかして…この暗闇が記憶なのか?

いや、でも今までそんな事1度も…

「__」

む、今何か聞こえたぞ!?

「__」

…小さくて聞こえんな、、

次の瞬間、俺の脳内に聞いたこともないような悲痛な叫び声が聞こえた。

「_____ッ!!!!」

ぐッ…!!!!

思わず鍵から手を離した

痛ッ…!!

耳を塞いでもまだ、あのつんざく悲鳴が頭から離れない

なんなんだ、これは…

!!ゲホッゴホッ

咳をすると、手が真っ赤に染まった

?!

え……血?!どこの血だ?!

痛い……ッ!ゲホッゲホッ

連絡…っ

彰人

ふわぁ〜ねんむ……

彰人

数学とかマジ意味分かんねーよぉー

プルルルル

彰人

うおっ?!電話?

彰人

あれ、センパイからだ。

彰人

もしもーし、センパイどうかしました……

「…きと、ゲホッ、すまない、助けて欲しい…ッ」

彰人

え?!ちょ、どうしたんすか?!

「…ッゴホッゴホッ」

彰人

え、ちょ、センパイ?!

ツーッツーッ

彰人

センパイ?!

彰人

え、ちょ、今どこに…とりあえず家か?!

彰人

…って、俺センパイの家知らねぇし!!

彰人

ああー!どうすりゃいいんだよ!てか分かんねぇよ!

「どこ○もドアみたいに繋がる_」

彰人

…骨董屋!

冬弥

……

カランカラン

彰人

冬弥ッ!!いるか?!

冬弥

…彰人さん、!いらっしゃいませ。

冬弥

…そんな急いでどうかしましたか?

彰人

扉!!司センパイの所に繋げてくれ!

冬弥

…扉の使用は店主がいないと駄目なんです。今、店主は不在ですので…

彰人

頼む!!急がねぇと駄目なんだ!

冬弥

……

冬弥

…特別ですよ。店主には内緒です。

冬弥

…どうぞ。

彰人

ありがとう!

彰人

後でまた来る!!

冬弥

…いってらっしゃいませ。

耳が痛い

頭が割れそうだ。

誰でもいい、誰でもいいから

人の声が聞きたい

……ゲホッ、ゴホッ

(何やってるんだろうな。彰人に電話したって、どこにいるかも伝えてないのに来れるわけないじゃないか。)

(それなのに…誰か来るのを待ってるなんて阿呆らしい。母さん達は絶対に帰って来ないのに。)

…ゲホッ、

(咲希はこれよりもっと辛いんだろうな…俺のこんな痛みの比じゃない程…)

ガチャッ

彰人

センパイ!!大丈夫すか?!

ゲホッ、彰人…?!

彰人

って、血だらけじゃないですか!救急車…!!

不思議と、頭痛が治まり、あの悲鳴は聞こえなくなった。

ゴホッ…む、頭痛が……

彰人

119……!

彰人!なんかもう大丈夫みたいだ。

彰人

え?んな訳ないでしょ、そんなに吐血して!

頼む、病院は駄目だ、辞めてくれ

彰人

何でですか?!

家族に迷惑がかかるだろう?

彰人

は…?

それに、病院には咲希がいるんだ。心配かける訳にはいかない。

彰人

いや、だからってあんたのそれは…

頼む。俺ならもう大丈夫だ。彰人が来てくれたからな。

彰人

…はぁ

彰人

本当にもう大丈夫なんですね?

ああ。

彰人

なら、通報はしませんけど、そこで休んでて下さい。

すまんな。わざわざ来てくれて助かった。

それより、何故ここが分かった?

彰人

骨董屋に行ったんです

骨董屋に?それで何故俺の場所が…

彰人

センパイが言ってたこと思い出したんです。「どこ○もドアみたいに繋がる」って。

!!

彰人

そんで賭け半分で行ったら、マジだったって訳です。

そうなのか…

彰人

で、急にどうしたんすか?原因分かります?

ああ。恐らくそれだ

彰人

…鍵っすか?古いですね

その鍵の記憶を辿って、俺はあの骨董屋を知ったんだ。店主に渡していたんだが、この前預けられてな。

彰人

ふぅん…で、これの何が原因で?呪われてるとか?

その鍵の記憶を辿ろうとしたんだ。ずっと暗闇で、何も見えなかった。

何か聞こえたと思って、耳を澄ましたら、聞いたこともないような悲痛な叫び声が聞こえてな

彰人

悲痛な叫び声…すか

ああ。その後もずっとそれが響いて、頭が割れそうな程苦しくなって…

彰人

なるほど…

彰人

…この鍵、店主に返したらどうですか?危ないじゃないですか。

ああ…そうしたいんだが、しかしな…

彰人

何すか?なんなら俺が返してきますけど。

いや…どうも店主は、その物語を見つけて欲しいらしいんだ。

彰人

頼まれたんですか?

いや、なんとなくだ。なんだか愛しそうにこの鍵を見ていたからな。

彰人

はぁ…?なんとなくって…こんな目に遭ったのに、まだ持っとくとか正気ですか?

自分でも分かってる。だが、これは大事な物な気がするんだ。

彰人

…あんたがそう言うなら、俺は止めませんけど、

彰人

無理はしないで下さいね。本当に。

ああ、分かっている。

彰人

(本当に分かってんだか…)

彰人

俺そろそろ帰りますけど、センパイはそこで寝てて下さいね。

ああ。わざわざすまんかったな

彰人

いいんすよ。頼ってって言ったのは俺ですから。

…そうだな。

彰人

じゃ、また学校で

ああ。気をつけて帰るんだぞ

バタン

(…もし彰人がいなかったら、どうなっていたんだろうか)

(両親はきっと電話に出ないし、他に頼れる人もいない。)

(頼れる人とは…こういう事なんだな)

珍しいね。君が僕に隠し事なんてさ

冬弥

……

何のために扉を使ったんだい?無いとは思うけど……ここから出たりしてないよね?

冬弥

…してません!

そうかい。なら、何に使ったんだい?

冬弥

怒ってるわけじゃないよ。ただ、僕がいない時に使っちゃ駄目って言ったよね?

冬弥

…言いました

それを破るなんて…君らしくないね。

冬弥

(うーん、反抗期かな?こんな感じなんだな〜)

カランカラン

いらっしゃいませ…

彰人

冬弥!さっきは助かった!

冬弥

…あ、彰人さん

…ふむ、説明してもらえるかな?

司くんが?!

彰人

はい。それで扉使わせてくれって、俺が頼みました。

冬弥

分かった。扉の事はもういい。けど、司くんは大丈夫なのかい?!

彰人

はい。一応血は止まりましたし、今も安静にしてもらってます。

良かった……!

いや、良くないね。今度司くんに、ここに来るように言っておいてくれるかい?

彰人

え?はい、いいっすけど

それと、その鍵も持ってくるように言って。

彰人

分かりました

冬弥

…店主?

……

冬弥くん、店番を頼むよ。私は少し、書庫の方へ行くよ。

冬弥

…分かりました。

彰人

なぁ、書庫ってなんだ?

冬弥

…そのままです。本がたくさん置いてある倉庫みたいなところです。

彰人

へぇ、そんな所あるんだ。

冬弥

…一応、他にも色々部屋はあります。

彰人

そんな広く見えねぇけどな

冬弥

…意外と広いんですよ。全部回ると3日はかかります。

彰人

3日?!どんだけ広いんだよ?!

冬弥

…とても広いですよ。

彰人

すげぇな…

彰人

けど、1人で行かせて良かったのか?

冬弥

…え?

彰人

あの人、結構重く受け止めてたけど。

冬弥

…俺は店主に言われた事をするだけです。勝手な事はできません。

彰人

ふーん…忠誠心ってやつ?

冬弥

…分かりませんが、店主は俺の恩人です。

彰人

…お前、よく喋るようになったよな。

冬弥

…そうですか?

彰人

ああ。前はこんなに話してくれなかったし…

冬弥

…仕事中だったので、仕方ありません。

彰人

今も仕事中だろ?w

冬弥

彰人

今日はお礼言いに来ただけだから、帰るわ。

冬弥

…はい。お気をつけてお帰り下さい。

彰人

あ、そうそう

彰人

冬弥が前言ってた、俺の欲しいものって何のことだ?

冬弥

…はい?

彰人

ほら、「貴方の欲しいものもきっと見つかりますよ」とか言ってただろ?

冬弥

…はい。そのままの意味ですが。

彰人

俺の欲しいものって、何?

冬弥

…それを俺に聞くんですか?

彰人

知ってるから言ったんじゃねーの?

冬弥

…ご自分で探して下さい。ここは、いつでも開いてますから。

彰人

教えてくんねーのかよwま、いいや。

彰人

また来るわ

冬弥

…お待ちしてます。

……ふぅ、やはりダメか、、

あれからもう一度鍵から記憶を読み取ろうとしたが、駄目だった。

俺が心の中でストッパーを掛けてしまっているのだろうか。

…怖いのか?

相変わらず見えるのは暗闇ばっかり…

ヴーッヴーッ

む、彰人か

…骨董屋の店主がまた来るように言ってた?

鍵も持ってこいって…えっと、分かった、と。

まだ時間あるし、今日行くか

カランカラン

冬弥

…いらっしゃいませ。

こんにちは。

冬弥

…司さん?

あっ、はい!そうです。店主さんいますか?

冬弥

…店主は今、書庫にいらっしゃいます。

え、そうなんですか?

(タイミング悪かっただろうか)

えと、一応呼ばれてきたんですけど…

冬弥

…店主はしばらく戻ってこないと思います。

冬弥

…よろしければ、書庫までご案内しましょうか?

え、いいんですか?

冬弥

…はい。店主に呼ばれたのなら、追い返す訳にもいきません。

冬弥

…こちらへどうぞ。

…随分と広いんですね

冬弥

…はい。全部周ろうとしたら3日かかります。

3日も?!

冬弥

…貴方も、彰人さんと同じ反応をされるのですね。

え?彰人と?

冬弥

…なんでもありません。

冬弥

…ここを真っ直ぐ行った先です。

ありがとうございます!

冬弥

…では、私は仕事に戻りますね。

はい!

わ、わぁ……広…!!

店主さーーん!いませんかー?

……よく響くな

あのーー!俺です!!司です!

「司くん?」

店主さん…!!

やぁ、丁度良かった。助けてくれ

え?!それ、どういう体勢ですか?!

いやぁ、絡まっちゃってねぇ。鋏取ってくれる?

こ、これですか?

そうそう。あ、そことそこを切ってくれ

は、はい!

…っと、ありがとう。助かったよ。

な、何をどうしたらあの紐に絡まるんですか?

いやぁ、上の本を取ろうとして登ったら、姿勢を崩して絡まっちゃった♡

「絡まっちゃった♡」って……

…さて、冗談はこのくらいにしよう。

その…話は聞いたよ。大丈夫かい?

え?

ほら…今日、大変だったんだろう?

あ、もう大丈夫です!今はすごく元気ですよ!

…本当に申し訳なかった。君に鍵を渡したのは私だ。本当にすまない。

え?いえ、記憶を読み取ろうとしたのは俺の勝手です!店主さんは関係ありません!

俺は全然大丈夫ですから、そんな顔しないで下さい。

君が良くても、私が駄目なんだよ。

その鍵、貸してくれるかい?

はい、どうぞ

ありがとう。今後、また改めて謝罪するよ。来たばかりで申し訳ないけど、帰ってくれるかい?

え、けど、その鍵どうするんですか?

嫌な予感がした

もちろん、棄てるよ

え?!

お客様を危険に晒したものだ。廃棄するのが当然だろう?

いや、あの!待ってください!!

本当にいいんですか?!その鍵、大事なものなんじゃ…!

そんな事言ったかな?

それに、これは「持ち主が分からない」んだ。棄てても問題ないだろう。

だけど!

…君じゃ駄目なんだよ

え?

この物語に君の精神が保たなかった。だから身体に影響が出たんだ。

君にこの物語は読み取れない。

そんな事言われても…!

諦めてくれ。君は他にもやる事があるはずだ。

妹さんの寿命、9年分しか払えてないだろう?

そうですけど!

冬弥くん!いるんだろう?出ておいで

冬弥

…ビクッ

え?あ、あれ?いたんですか?!

盗み聞きとはいい趣味だね

冬弥

…す、すみません、

まぁいいよ。これ、棄ててきてくれ

冬弥

…え、しかし…

棄ててきなさい

冬弥

待って下さい!!

冬弥

…ごめんなさい、

そう言うと足早に立ち去ってしまった

……

本当に申し訳なかった。そうだね…妹さんの寿命20年分差し上げるよ。

…あ、

(そうだ、咲希の寿命…)

(てことは29年分…あと1年で半分か)

(精神が保たない物語って…どんな物語なのだろうか、)

さ、店まで戻ろう。ついておいで

…はい

…えっと、ありがとうございました

…またのご利用お待ちしてます

冬弥

…司さん、少しいいですか?

え?何ですか?

冬弥

…耳を、

冬弥

____。

え?わ、分かりました…

じゃ、また来ます!

カランカラン

司くんに何て言ったの?

冬弥

…またお越しくださいと、

ふぅん。まぁ何でもいいよ。

ああ、そうだ、冬弥くん

先刻はすまなかった。自分に苛立って、君についキツく当たってしまったみたいだ。

冬弥

…いえ、気にしてません。

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コメント

10

ユーザー

やっぱあの鍵何かが関係しとるな…。類くん関連か…?あと、冬弥は何を言ったんだろ

ユーザー

店主、お客様に対してすごく忠誠心というか…そういうのあるよね。鍵の持ち主もそんな人だったのかな?

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