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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
しばらくして、選出されなかった6人の椅子が一斉に180度回転した。
周囲のフィルターも消える。
菜々美の前に、赤い部屋の全貌が現れた。
中央に浮かぶ球体。
その周囲に並ぶ9脚の椅子。
第1問から第3問までに選出された9人が、拘束されたまま項垂れている。
安曇。
摩智。
麻冬。
瞳子。
志穂。
小恋奈。
莉乃。
歌音。
穂乃花。
生島菜々美
涙が溢れた。
穂乃花は動かない。
けれど、血も傷もなかった。
生島菜々美
【SYSTEM】
【SYSTEM】
生島菜々美
【SYSTEM】
赤い画面に、15人の生徒ナンバーと氏名が表示された。
【SYSTEM】
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【SYSTEM】
票を集めた9人は、すでに選出されている。
残る6人では、菜々美の7票が最多。
そして、0票が3人。
生徒ナンバー19・田所孔美。
生徒ナンバー21・土橋怜那。
生徒ナンバー22・手塚詩鶴。
手塚詩鶴
詩鶴は、表示された0を見つめた。
手塚詩鶴
誰からも嫌われていると思われなかった。
わがままだとも思われなかった。
人を殺しそうとも思われなかった。
0票は、自分が善良な人間である証明に見えた。
手塚詩鶴
ドスッ。
鈍い音が響いた。
手塚詩鶴
額から、細い血が流れた。
頭上には、半球状の装置が現れていた。
内部のボウガンから射出された矢が、頭頂部を貫いている。
手塚詩鶴
頭が前へ落ち、そのまま動かなくなった。
田所孔美
土橋怜那
孔美と怜那の頭上にも、同じ装置が現れていた。
田所孔美
土橋怜那
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
田所孔美
土橋怜那
ドスッ。
ドスッ。
2本の矢が、ほぼ同時に射出された。
悲鳴が途切れ、2人も椅子の上で項垂れた。
赤い部屋に沈黙が落ちる。
生島菜々美
【SYSTEM】
生島菜々美
【SYSTEM】
生島菜々美
【SYSTEM】
【SYSTEM】
中央の球体が開き、9本の赤い光が放たれた。
光が、動かない9人を包む。
若林安曇
立花瞳子
新倉穂乃花
穂乃花が、ゆっくり顔を上げた。
生島菜々美
新倉穂乃花
生島菜々美
9人が、次々に意識を取り戻す。
菜々美は確信した。
選出された9人の存在が消えなかったのは、脱落していなかったからだ。
一方で――
詩鶴。
孔美。
怜那。
3人の顔は、すでに遠ざかり始めている。
詩鶴の安堵した声。
孔美の悲鳴。
怜那が助けを求めた表情。
輪郭が、周囲の記憶から失われていく。
生島菜々美
忘れないため、3人の名前を繰り返した。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
新倉穂乃花
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
誰にも嫌われず、危険視されなかった。
それは生き残る理由にならない。
誰の心にも恐れや反感を残さなかったことが、存在の弱さとして裁かれた。
新倉穂乃花
穂乃花は俯いた。
生き残った喜びより、自分へ投じられた8票が重い。
誰かが、自分をわがままだと思った。
誰かが、自分を人を殺しそうな人間だと思った。
投票者は、永遠にわからない。
生島菜々美
菜々美は、穂乃花へ近づいた。
生島菜々美
新倉穂乃花
生島菜々美
新倉穂乃花
けれど、2人の間に沈黙が生まれた。
菜々美は穂乃花へ投票していない。
穂乃花も自分へ投票していない。
そう信じたかった。
だが、確かめることはできない。
第5試練が残したのは、3人の死だけではなかった。
誰が誰をどう見ていたのか。
疑念が、生き残った少女たちの間へ沈んでいた。
【SYSTEM】
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【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
赤い光が消え、金属製のベルトが一斉に外れた。
その時――
中央の球体に、15人の顔が映し出された。
3人の顔だけが、ぼやけている。
孔美。
怜那。
詩鶴。
表情は、すでに判別できない。
代わりに、3人へ一度も向けられなかった票が白く残っていた。
0。
0。
0。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
美。
少女たちは、互いの顔を見た。
外見か。
心か。
このゲームが美しいと判断する何かなのか。
“赤の間”の壁が開き、その先に眩しい光が満ちていた。
菜々美は目を細める。
光へ踏み出す直前、球体に映る自分の顔が歪んだ。
菜々美の顔でありながら、別人のように笑っていた。
第5試練終了――
生徒ナンバー19・田所孔美 脱落。 生徒ナンバー21・土橋怜那 脱落。 生徒ナンバー22・手塚詩鶴 脱落。
残り14名。
コメント
1件
第5試練、めちゃくちゃ読ませますね。「選ばれた者が脱落」という思い込みを、システムが平然と裏切ってくる構成が本当に巧い。詩鶴が「助かった」と安堵した直後の矢、あの落差が効いてる。0票=誰にも認識されなかったことが脱落条件って、このゲームの世界観と相性が良すぎる。穂乃花が生きてるのを見て菜々美が泣くところ、泣けました。でも、その後に残る「誰が自分に票を入れたか分からない」疑念が、次の試練へと重くのしかかる。この静かな禍々しさ、いいですね。