蘭が目を覚ますとそこは見たこともない風景だった。
蘭はベッドから体を起こし、あまりを見回した。 すると部屋には、真っ白なベッドがいくつも並んでいた。
蘭
部屋は薄暗くて、物音ひとつ聞こえない。
蘭
蘭
蘭はおそるおそる呼び掛けたが、誰の声も返ってこなかった。
そして、隣のベッドを囲むカーテンをそっと開けた。 ベッドには誰かが寝ているみたいだが、頭から毛布を被っていて良く分からなかった。
枕元にあるプレートには、『ねじこ』と書かれていた。
蘭
その隣にも、頭から毛布を被って寝ている人がいて、そのプレートには『ねじお』と書かれていた。
蘭
蘭は勇気を出して話しかけた。すると、そのねじこは、声に答えるかのように毛布の中で動いたかと思うと、がばっと体を起こした。
毛布から出てきたのは、洋服屋さんで見るマネキンそのもの。
動くはずのないマネキンが、目の前で動いていた。
そして、ねじこは遠くを見つめたまま、今度は頭をぐるりと回し始めた。
蘭
蘭は逃げ出したいのに、体が全く動かない。目を閉じることもできない。 ねじこは、蘭に向かって不気味に笑い………
ねじこ
そしてねじこは、ベッドの脇の柵に両手をかけると、上半身を回し始めた。
ゴリッ………ボギッ…………
部屋の中に嫌な音が響き渡る。
一回転……ねじこは表情を変えることなく、体をねじっていく。
二回転……お腹から紫色の血があふれでて、シーツが染まって行く。
三回転……
ドタンッ
ついにはお腹が千切れて、 ねじこの上半身はそのままベッドの下に落ちてしまった。
ねじお
ベッドから蘭を見ていたねじおは、そう呟いた。
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