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タロと私

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タロと私

1 - タロと私

♥

162

2019年03月15日

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りな

うわ、見てよふたりとも!こいつこんな筆箱もってんのww

はな

だっさ!よくそんなの持ってこれるねwww

さの

や、やめて、返して...!

ひろの

うわ、ゴミが喋ったぁ〜www

さの

や、やだ...

私は半泣きになりながら必死に筆箱を取り返そうとした

はな

やだ、きったなーい!こいつ泣いてるよw

りな

汚かった顔が更に汚くなってるじゃんww

キーンコーンカーンコーン

りな

ちっ、チャイムなっちゃった...

ボンッ

りなは私の筆箱をゴミ箱の中に投げ捨てると、

りな

ゴミはゴミ箱に入れないとね〜!www

と言って、自分の席に帰った

私は大急ぎで筆箱をゴミ箱から取り出して、椅子に座ろうとした

すると、ひろのが足をかけてきて、私はバランスを崩した

ひろの

だっさ!こいつめっちゃ派手に転ぶじゃんw

ひろのがそう言うと、クラスメート全員がを私を見て笑ってくる

はな

早く座んなよw

りな

ゴミも取り出したことだしねぇ〜www

私は顔が熱くなった

私が立ち上がって席に座ってからも、まわりが私を見て笑ってくる

もう、嫌...

さの

ただいま...

タロ

私を出迎えてくれたのは...

さの

...タロ

タロ

わんっ!

この子はタロ

柴犬で、私が小学校一年生の頃から今の中学二年生になるまでずっと飼ってきた犬だ

タロは私を見上げて尻尾をぶんぶん振った

さの

タロ、ただいま

私がタロの頭を撫でる

するとタロは気持ちよさそうに目を細めた

その瞬間、私は一日の嫌なことが全部吹き飛んでいったような気がした

さの

タロ、リビング行こう

私がリビングに行くと、タロもそのあとをぴったりくっついて歩いてくる

タロ

わんっ、わんっ!

さの

ふふっ、なに、タロ

さの

散歩行きたいの?

タロ

わん❤

さの

しょうがないなぁ、じゃあ散歩行こうか

タロ

わん!

私がそう言うと、タロは元気に返事をした

ハーネスとリードをつけると、タロは喜んで尻尾を振った

さの

ふふっ、可愛い❤

こうしてタロと一緒に居る時が、私の人生の中で一番幸せ...

私はそう心から思った

両親は共働きで夜中まで帰ってこないので、私は家にしっかり鍵をかけて散歩に行った

さの

タロ、どこに行きたい?

タロ

〜〜🎶

さの

って、全然聞いてないし。

タロはとても上機嫌で、意気揚々と歩いていた

二十分ほど歩き、私とタロは大きな公園についた

さの

タロ、少し休もうか

タロ

わんっ

私はベンチに腰をかけ、タロに水をあげた

タロは喉が乾いていたのか、喜んで水を飲んだ

さの

今日はいい天気だね、タロ

タロ

わんっ

さの

あ、そうだタロ、昨日ね、タロのためにささみを茹でたの

さの

持ってきたから、食べさせてあげる

私は散歩袋からささみを取り出すと、手にのせ、タロの口元まで持っていった

さの

はい、どうぞ

タロ

わんっ❤

タロは喜んで食べた

さの

...あっ、タロ、鼻の上にささみがついてるw

タロは舌でささみを取ろうとしたけど、届かないみたいだ

私はそんなタロが可愛くて愛おしくて、つい抱きしめた

さの

待ってね、今とるから

私がタロを抱っこしたままささみをとると、タロは私の口のまわりをぺろぺろと舐めてきた

さの

わっ、くすぐったいよ、タロ

私はしばらくタロを抱っこしていた

すると、公園の奥からりなとはなとひろのの姿が見えた

さの

!?

私は驚いて、ついその場から逃げた

タロはいきなり走り出した私にびっくりしたみたいだけど、ついてきてくれた

急いで家につくと、私は鍵をあけて中に入り、しっかり鍵を閉めた

さの

...ふうっ

タロ

ぜぇっ、ぜぇっ

さの

...ん?なんかタロ、息が荒くない?

さの

大丈夫?タロ

タロ

わん

さの

そっか

私はタロが返事をしてくれたので、安心して家にあがった

次の日

さの

(はぁ...また学校か...)

さの

(今日もまたなんかされるのかな...)

さの

(怖い...)

私は警戒しながら教室のドアをあけた

すると、すぐに私の体をめがけてなにかがとんできた

さの

いたっ

ぶつかって落ちたものを見た

さの

...缶ジュース...の、から...?

はな

あはははっ!

ひろの

見てあの顔!w

りな

やば、ちょ〜ウケるw

さの

...っ!

はな

あ、ねぇねぇ〜さの〜

はな

私たち喉乾いちゃった

はな

ジュース買ってきて〜w

ひろの

ひっど、登校してすぐパシリかよwww

りな

www

さの

お、お金...

りな

お金なんて自分でどうにかしなよw

ひろの

まさかジュース買うお金も持ってないのぉ!?ww

さの

も、持ってるよ...!

はな

んじゃ、よろしく〜www

さの

...っ

私はお金を手に握りしめて、自販機に向かって走った

ジュース三本買って教室に帰ってくると、もうすでにホームルームが始まっていた

先生

なんだ稲葉、どこ行ってたんだ

さの

あ、えっと...

私はあわててジュースをうしろに隠した

その様子を見て、クラスメート全員は下を向いてクスクス笑っている

さの

えっ..と、ちょっと、トイレ行ってました...

先生

はぁ...もうホームルーム始まってるんだぞ、早く席につけ

さの

は、はい...

私は死ぬほど恥ずかしい思いをした

私はその後もりな達にいろいろなことをされた

先生

じゃ、教科書124ページ

先生

え〜っと、じゃあ稲葉、読みなさい

さの

あ、はいっ

私はその場に立ち上がると、124ページを開こうとした

...でも

さの

(え、開かない...なんで...)

ページがぴったりくっついていて、力を入れても全然ひらかなかった

さの

(ちょ、なんで...)

先生

?どうしたんだ稲葉

先生

まさか、教科書わすれたのか?

さの

ち、違いますっ!

先生

じゃあ早く読め

さの

っ...

さの

か、漢字が...

先生

なんだ

さの

漢字が...読めないので、無理です...

その瞬間、クラスがどっと沸いた

はな

漢字読めないってww

ひろの

これ小学生の漢字じゃね?wヤバすぎ〜www

りな

小学生以下じゃんw

さの

............

本当は違う

ページが開かないんです

そう言おうと思った

けど

そんなこと言えなかった

怖くて

怖くて

さの

ただいま...

タロ

わんっ!

さの

...タロ

タロは尻尾を振っている

私は涙が出てきた

さの

うっ...タロ...

さの

もう、いや...タロ...タロ...

タロ

くぅん...

タロは私の言葉が通じないはずなのに

心配そうに私を見た

そして、私の顔をぺろぺろと舐めた

さの

...ふっ、く、くすぐったいよ...タロ...

さの

...ありがとう、タロ...

私はタロを抱っこして、自分の部屋に連れていった

疲れていたので、一眠りしようと布団の中に潜ると、タロも私の布団の中に入ってきた

さの

タロ、少し寝よう...

タロ

くぅん

さの

ずっと一緒だよ...タロ...

タロ

わん...

そこで私の意識は途切れた

さの

...ん

目が覚めると、外は真っ暗になっていた

さの

...タロ?

布団の中にタロがいなかったので、私は電気をつけた

すると

さの

...!?

部屋の隅に血を吐いて倒れているタロを発見した

さの

タロッ!?

あわててタロを抱っこする

さの

冷たい...!タロ、ねぇっ!!

タロ

...くぅん

さの

タロ...どうしたの!?

私がタロに聞いても、タロはただ目を細めて遠くを見つめていた

さの

や、やだ...タロ...死なないで...!

私は走って動物病院に連れて行った

さの

先生っ!タロが、タロがおかしいんです!

医者

ど、どうしたんだ?さのちゃん

さの

説明はあとでしますから!早くタロを診てあげてください!

医者

わ、わかった、とりあえずタロくんを預かろう

先生は突然の出来事に少し困惑していたけど、私からタロを預かると、診察室へタロを連れていった

しばらくすると、診察室から先生だけ出てきた

医者

...さのちゃん

さの

...先生っ!

さの

タロは!?

さの

タロはどこですか!?

医者

診察室にいるよ...

私は診察室に入った

診察室の台の上には、力無く横たわっているタロの姿があった

さの

タロッ!

私はあわててタロの背中をさすった

タロは細い目を開けて、力無く尻尾を振った

さの

...タロ!

さの

...よかった

医者

さのちゃん...

さの

はい、なんですか?

医者

タロくんはもう、助からない...

さの

...え?

さの

いや、なんでですか

さの

今ここにいるじゃないですか

さの

生きてるじゃないですか

さの

助からないって、なんですか...?

さの

助かりますよね?ねぇ!先生!

医者

...タロくんは足に大きな腫瘍が出来ている

さの

だからなんですか!取ればいいじゃないですか!

私は泣きながら言った

医者

もう今更遅い、足の腫瘍は悪化して脳にたどり着いている

医者

脳に腫瘍が移ったら、どう足掻いても助からないんだ...

さの

そ、そんなわけないじゃないですか...!

さの

だって...さっきまで元気だったんですよ!

さの

昨日も散歩に行ったんです!

さの

なんでそんな急に...!

医者

タロくんは、病気のことを隠してたんだと思う...

医者

さのちゃんに心配をかけたくなかったのか、それは私にもわからない

医者

...でも、タロくんはもう数ヶ月前から痛みを感じていたはずだ

医者

普通、痛みを感じたら歩こうとしない、ご飯を食べようとしない

医者

そういったことで、犬は人間に様子がおかしいことを伝えるはずなんだよ

医者

でも、タロくんはそれをしなかったんだろう?

医者

ってことは、相当無理していたんじゃないかな

さの

そ、そんな...!

さの

た、タロッ...

タロ

..........

もう声を出す気力も残ってないのか、タロは顔だけこちらに向けた

さの

た、タロ....

さの

い、今まで...ありがとう...

私がそう言うと、タロは

タロ

ふううっ...

と大きく息を吐き出して、静かに息をひきとった

さの

もう、生きる気がしない...

さの

タロがいない世界なんて...

さの

...........

さの

...さようなら

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