ミシロ
この記憶は……
女子生徒
いたいた〜
女子生徒
みーしーろーちゃん?
ミシロ
(あぁ…こいつらか)
女子生徒
ねぇ?約束のアレあるわよね?
ミシロ
約束のアレ?
女子生徒
そうアレ
女子生徒
まさか忘れたとか言わないわよね?
ミシロ
忘れたも何もそんなの聞いてない
女子生徒
へー……
女子生徒
そうやって私らに楯突くんだ……
女子生徒
ふざけんじゃねぇよ!!
ミシロ
っ……!
女子生徒
あんた立場わかってないのね?
女子生徒
いい?
女子生徒
あんたは私らの奴隷なんだよ?
女子生徒
そんな身分の違うやつが私らに対して
女子生徒
生意気言える立場ではないのよ?
ミシロ
…………
女子生徒
分かったなら早く出して?
女子生徒
今月のお友達料金をさ
ミシロ
………
ミシロ
そんなお金ない
女子生徒
はぁ!?
女子生徒
まだ楯突くんだ〜……
女子生徒
家柄がお金あるくせにね〜
女子生徒
あんたの家からすれば私達の求める金額は少量でしょ?
女子生徒
何を今更払いたくないとか言ってんのかね
ミシロ
払いたくないとは言ってない
ミシロ
手持ちにないとしか言ってない
ミシロ
分からなかった?
女子生徒
何度も言わせないで?
女子生徒
あんたは私らのお財布なんだから…さぁ!!
次は蹴りが飛んできた避けるまもなく
その蹴りを腹で受ける
ミシロ
うっ……!!
ミシロ
ゴホッゴホッ……
女子生徒
なんでこう物分りが悪いのかね
女子生徒
お嬢だからじゃない?
女子生徒
何それ?
女子生徒
知らないの?
女子生徒
コイツフリフリの服とか沢山持ってるんだよ?
女子生徒
見た目地味なくせに派手な服きてさ
女子生徒
お前に魅力なんてねぇんだからやめとけって
女子生徒
傍から見たらそう感じるほどよね〜
女子生徒
それ私気になる〜
女子生徒
今度そのフリフリの服を見せてもらおうよ!
女子生徒
それいいね!
女子生徒
私前見た時はいわゆるゴスロリって言われる服?
女子生徒
あー!あの真っ黒いあの服?
女子生徒
まぁそんな感じのやつ
女子生徒
それ来て出かけてるの見ててさ
女子生徒
じゃあそれ見せてもらおうよ!
ミシロ
(………)
ミシロ
(ブス共が……)
ミシロ
(人の趣味に……あれこれいいやがって…)
女子生徒
ねぇ?聞いてた?
女子生徒
今月の友達料金はチャラにする代わりに
女子生徒
今度の日曜あんた家に行って
女子生徒
いわゆるゴスロリって言われる服とか見せてよ
女子生徒
お嬢だもんね〜
女子生徒
み・し・ろ・お・嬢・さ・ま?
女子生徒
きゃははは!
ミシロ
…………ろ
女子生徒
あぁ?
ミシロ
……げんに………ろ……
女子生徒
言いたいことあるならはっきり言えよ!
ミシロ
いい加減にしろよ!クソアマがぁ!!
隠し持っていたその錆びたナイフで
リーダー格の女の腕を切る
女子生徒
いった!!?
女子生徒
うそ……
ミシロ
お前ら……いい加減にしろよ?
女子生徒
こ、こいついつそんなものを……
ミシロ
喋んじゃねぇよ!ブス共が!!
女子生徒
いだい!
女子生徒
ま、まって!
女子生徒
私らが悪かった!
ミシロ
はぁ?
ミシロ
今更命乞いなの?
女子生徒
も、もうあんたの事は虐めないから……
ミシロ
で?
女子生徒
え?
ミシロ
別にそんなのいいさ
ミシロ
虐めようがどうしようが
ミシロ
そんな事より命乞いする時間与えてんのに
ミシロ
それだけなの?
女子生徒
………
ミシロ
何とか言えよ!
ミシロ
お前らが私にしてきた事はこれ以上だって言ってんだよ!!
ミシロ
そんな肉体の傷なんてほっとけば治るもんね?
ミシロ
でもさ、心の傷って治りずらいんだよ?
ミシロ
まぁあんたらみたいな低学歴の豚どもには分からないか
ミシロ
でも安心して
ミシロ
今からその精神的苦痛を教えてあげる
女子生徒
や、やだ……
ミシロ
あ?
女子生徒
なんで私らがこんな目に!
ミシロ
お前何言ってんの?
ミシロ
当然の報いだろ
ミシロ
お前らが私以外のヤツらにしてきた事だよこれが
ミシロ
数で相手をいたぶって言いなりにさせて
ミシロ
使えなくなったらとことんいたぶって死に追いやる
ミシロ
何の気なしにやってのけてたんでしょ?
ミシロ
言い訳はそんなつもりはなかった
ミシロ
ただ仲良くしようとした、とか?
ミシロ
そんなくそみたいな理由で逃れられると思ってんの?
ミシロ
あんたらの親の顔が見てみたいね
ミシロ
どうやったらこんな頭の悪い豚共が出来上がるんだろうね?
ミシロ
親の教育も悪い上にその性格そのものも悪いとか超えて罪人だよね?
女子生徒
…………
女子生徒
ヒック………
ミシロ
何泣いてんだよ!!
ミシロ
都合が悪くなったら泣くのかよ?あぁ!!?
ミシロ
ふざけんのもそこらにしろよ!
ミシロ
泣けば許されるとか思ってんならてめぇらはそこらのガキより低俗だな
ミシロ
まぁ泣いたとこで私の怒りは収まらないけど
先生早く来て!
ここで悲鳴が聞こえて!!
先生
こ、これは!?
女子生徒
た、助けて先生……
先生
みしろ!何をしてるんだ!?
先生
お前そんなもの持って!
ミシロ
なにこれ私が悪いみたいじゃん
先生
現にお前が悪いんだろ!
ミシロ
はぁ?
ミシロ
お前ら教員もクソだな
先生
先生に向かってお前!
ミシロ
知ってたよね?
ミシロ
私が虐められてたの
先生
そ、それは……
ミシロ
でも面倒だから関与してこなかった
ミシロ
それで私が反撃したら私が悪いんだね
ミシロ
止めに入らなかったお前ら教員も見て見ぬふりした生徒達も
ミシロ
みんなして虐めた方の味方なんだね
ミシロ
世の中不条理だよね
ミシロ
私こんな世界にいるくらいなら死ぬわ
先生
や、やめなさい!
ミシロ
うるさいな……
ミシロ
近づいたらこいつの首切るよ?
女子生徒
こ、来ないで先生!!
女子生徒
私まだ……まだ私………
ミシロ
ね?ブサイクな顔してやめてって言ってるんだからやめてよ?
ミシロ
私は死ぬんだからさ
ミシロ
助けが来ないこんな世界から消えるためにさ
そう言って錆び付いたナイフを自分の首にあて躊躇なくそれを引く
刃こぼれしているためかスパッと切れることなく皮膚をガリガリに傷つけながら
切られたところからは勢いよく血が溢れ、廊下は鮮血の池が出来上がっていた
ミシロの最後の記憶は青ざめているリーダー格のその絶望に塗られた顔であった