主。
主。
ここから本編入ります!! いちおワンク↓↓ 今回のメインカプ:atmz (軸は特に指定なし、二人は両片思いだった) ⚠️死ネタ要素ありです(グロ表現等はありません)!!⚠️ こちらはnmmn作品となっております。 ご本人方とは一切関係がありません。無断転載・拡散はお控えください。 地雷さん・作品を読んでいて苦手だと思った方はブラウザバック推奨
以上が大丈夫な方のみの閲覧をお願いいたしますっ!!
主。
Mz、Mzとオレの名前を呼ぶマスターの声がする
At
At
At
マスターの声と言葉を音声認識機能がブレインに伝達し、 その意味するところをマスターの残した命令コードに書き換えていく
誰もオレの頭部には触れていないのに頭を撫でられているように 頭頂部の触覚感知センサーが反応して、 オレのブレインはマスターがオレの頭を撫でている、と誤認識した
その暖かい手を毎朝模擬的に感知するオレが、 彼のぬくもりを感じるたびに眼球を模した水晶体から ぬるい塩水がこぼれ落ちるのはどうしてだろうか
At
At
Mz
機械的なオレの声が響いた後マスターの大人びた優しい笑い声が聞こえて、 オレはスリープ状態を解除して自分自身を起動した
マスターの部屋の充電器から移動して階下のカフェに降りると、 電気がついていないそこは少しひんやりとしていて 一般的な人間であれば少し恐怖を感じてしまいそうな光景が広がっている
ぱちっとフロアの照明をオンにしたオレに、 今は亡きマスターが残した命令コードはたったの二つ
一つは、マスターが経営していたこのカフェの店員として お客さんたちの憩いの場を守り続けることだった
しかし時間というのは非情なもので、かつてのマスターの願いとは裏腹に 時の流れに応じて客は一人、また一人とこの田舎町を去っていき、 マスターがこの世を去って十数年が経った今では客はほとんどいなかった
Mz
Mz
Mz
Mz
必要作業を済ませてマスターが残したコーヒーを淹れるための 道具を整理していると、コーヒーミルの側からぱさりと紙切れが落ちて、 マスターの手書き文字で書かれたずっと前のメモだと認識する
なんとはなしにそれを拾い上げると、 そこに書いてあるのは新しいブレンドコーヒーのレシピだった
太陽の光を受けて劣化したのか白かったはずが少し黄ばんでいる紙に ボールペンのインクで書かれたマスターの文字を見ていると、 感情感知システムがよくわからないシグナルを出す
そのシグナルがオレの顔に埋め込まれた眼球を模した水晶体から ぬるい塩水を押し出すことが、オレにはここ十数年不思議でならなかった
Mz
その答えが知りたくて オレのブレインに使われているデータベース内を探ってみても、 この気持ちに当てはまる言葉は登録されていなかった
マスターが意図的にその情報を外しているのか、そもそもこの感情は 本来存在しない不可思議なものであるからデータベースに 該当結果が見つからないのか、そんなことはオレにはわからない
オレはただ、マスターがオレの中に組み込んだデータベースと ブレインに基づいて彼が生前オレに残した命令コードを 機械的に実行するだけだ
Mz
しかし、最近のオレはメンテナンスが施されていない影響なのか たまに彼の命令コードには書かれていない能動的な行動を起こすことがある
それが何を意味するのかオレには皆目見当もつかないが、 マスターの残した命令コードに反するわけではないので あまり気にしていなかった
しばらく彼が開発したブレンドを再現しようと試みていると、 からんころんと可愛らしい鈴の音が響いて珍しく客が入った
Mz
ブレンドを作っていた手を止めてオレが扉に目をやると、 そこににはなんだか見覚えのある二人組が立っていた
Ak
Pr
Mz
太陽のような瞳を持つ背の高い青年と、 大草原のような瞳を持つ楽しそうな青年を見てデータベースを 必死で探っていると、彼らはオレを見て驚いたような顔をした後笑った
Ak
Pr
なんだかデータベースの片隅に残っているその呼び方が 検索結果にヒットして、オレは彼らの名前を口に出す
Mz
Ak
Pr
確かにオレの水晶体が認識した彼らの姿は オレのデータベースに残った彼らの姿と全体的な特徴が一致したが、 彼らも時の流れとともに歳を重ねたのか、それよりも大人びている
成長した彼らの姿を見て、オレは時の流れを痛感した
Mz
Mz
Ak
Pr
Ak
Pr
Ak
テンポの良い会話を繰り広げる彼らのテンション感は、 マスターがオレを完成させて楽しそうに笑っていたあの頃と変わらなくて、 オレの感情感知システムは『懐かしい』というシグナルを出した
Mz
Mz
Ak
Pr
Mz
Pr
Pr
Mz
Ak
Ak
Pr
Ak
Mz
Pr
Mz
Ak
Mz
Pr
2人はしばらく考える素振りを見せたが、 結局わからなかったのか2人とも首を横にふって思考を放棄した
Ak
Pr
Ak
Ak
もうこの世にはいないはずの彼にはAkの発言が聞こえるはずがないし 謝ったところで彼の元には届かないのに、 そんなふうに言葉を重ねるAkをオレは不思議に思った
Mz
Mz
Mz
オレの言葉を聞いたAkは少し目を見開いた後、 今にも涙がこぼれそうな笑みを浮かべながら言った
Ak
Ak
Ak
Ak
Mz
Pr
Pr
Mz
Mz
Mz
Pr
Mz
Prの言っていることが理解できなくてブレインが 軽いショート状態になっているオレを見ながら、 楽しそうな青年はにこりを笑ってオレの手元を指差した
Pr
Mz
オレの手元にあるのは、 マスターが残した十数年前の新しいブレンドのメモと それに従って作られた冷めたコーヒーだった
Pr
Pr
Pr
Pr
言われてみれば、確かにそうだ
コーヒーミルを回して豆を挽き、 コーヒーをブレンドするというのはかなりエネルギーを要する作業で、 オレとてそれなりに多くの電力を消費する
マスターの命令コードに書かれているわけでもない
それなのに、オレは彼の手書き文字を見て このブレンドを形にしたいと思ったし、 非効率的とは言いながらも豆を挽く手が止まらない
Mz
Ak
Mz
Mz
Mz
Mz
オレの言っていることは間違っていない、 オレはマスターの命令に従うアンドロイドで マスターはオレに命令を下す主人だ
それなのに、コーヒーミルに目線を落としたオレはこの世を去る前に 『こうやって豆を挽くんだよ』とオレに見取り稽古をさせてくれた彼の 柔らかい微笑みと声を思い出してまた塩水が出そうになる
毎朝聞いているはずの『……今日もよろしくね、Mz』という 彼の残した音声記録を思い出して感情感知システムがまた よくわからないシグナルを出す
毎朝の感知する“不具合”に分類されるはずの 頭部を撫でられるような感覚に 体温調節機能が誤作動を起こして常時より体温が上がる
Mz
オレのデータベースに残るマスターとの記憶のカケラが集まって、 オレの体温は全体的に上昇したのち、 眼球を模した水晶体から体温と近い温度の塩分を含む水滴がこぼれ落ちた
Mz
Ak
Mz
Mz
Mz
Mz
Pr
Mz
Mz
Mz
Ak
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
Pr
Ak
Ak
Pr
Pr
Ak
Pr
彼らは顔を見合わせた後うなずきあうと、 瞳をうるうると涙で潤ませながらオレを見つめてくる
Ak
Mz
Pr
Prはオレの頬に手を伸ばして 優しくオレの頬を伝う水滴を拭った後、その答えを教えてくれた
Pr
Ak
Mzちが、Atに恋してるからだよ。
Mz
オレがその言葉を口にすると、 なんらかのアクセスコードが入力されたのか オレのデータベースに今まで登録されていなかった言葉が表れ始める
『切ない』とは、人間に置き換えると胸が締め付けられて 少しの痛みを感じるような気持ち。
『悲しい』とは、心(アンドロイドでいう感情認知システム)が ズキズキと痛んで、涙が出そうになる気持ち。
Mz
今まで理解できなかった自分の違和感が、 マスターが残してくれた優しくてわかりやすい言葉の定義に基づいて どんどん正しい言葉に置き換わっていく
オレのブレインは自動的に過去のシグナルの記録と 新たな言葉の意味を照らし合わせていき、 気づかなかった感情が一気にオレを襲う
そして、そのデータに登録された最後の二つの言葉に、 オレは自分の“誤作動”の正体を理解してしまった
『恋』とは、相手のことを考えると胸が締め付けられるのに 『幸せ』というシグナルを得る気持ちのこと。
『愛してる』とは、『恋』のその先に広がる未来のような言葉で、 相手に『恋』してやまない気持ちがあふれて止まらない。
オレは水晶体からボロボロと涙をこぼしながら、2人に言った
Mz
Ak
Pr
感情感知システムが今までにないくらい異常な量のシグナルを放出して、 マスターが作ったオレのブレインですら処理できないほどまでに 新しく知った感情があふれて止まらない
Mz
Mz
Mz
Mz
Mz
オレのブレインはマスターのプログラムによって、 処理できない量の入力が行われた場合は最優先事項と 人工知能が判断したものを優先して出力するようにできている
そのプログラムによって情報はふるいにかけられているはずなのに、 オレのブレインを満たすのはマスターのことだけというのが 何よりものオレの気持ちの証拠で証明だった
Ak
Pr
Ak
Pr
オレの姿を瞳と脳裏に焼き付けるようにオレを見ている彼らは、 きっとオレがしようとしていることを察しているに違いない
Pr
Ak
名残惜しそうにオレの方を振り向きながら 何かをつぶやいてカフェの扉をくぐり、 泣きながら店を後にした彼らの背中を見ながら、オレはつぶやく
Mz
Mz
Mz
オレはマスターが残してくれたカフェ店員の服の前見頃にあるボタンを外し、 人間でいう心臓の部分に埋め込まれたスイッチに手をかける
このスイッチは強制シャットダウン用の緊急スイッチで、 強く押すとコアに強力な電流を流してアンドロイドの電源を落とす
Mz
Mz
あなたのことが、どうしようもなく好きなんです。
Mz
二つあるマスターの命令コードのうちの、カフェの維持じゃない方の命令
それは、、、
Mz
オレはアンドロイドだ、マスターの命令コードに逆らうことは許されない
でも、オレはアンドロイドなのに、 マスターの命令コードに逆らえてしまうほどの メンテナンスでも修正できない大きな“誤作動”を起こしてしまった
人間で、もう会えない自分の主人であるはずのあなたに、 恋をして、あなたを深く愛してしまった。
オレが胸元のスイッチを押すとビーッと警報音が鳴り響いて、 オレのブレインは動かなくなり、 強制シャットダウンのシグナルに従ってオレは水晶体を閉じる
ガラン、と重くて大きい金属の塊が床に落ちる音がして 機械音が聞こえなくなった頃、 からんころんと可愛らしい鈴の音が誰もいない店内に響く
涙をこぼして絶望に染まっていたはずの とあるアンドロイドの頬が緩み、その口がかすかに動いた
迎えにきていただけて嬉しいです、マスター。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
主。
コメント
10件
アンドロイドの表現?語彙力?がもう完璧すぎて天才すぎだろ!?いやぁぁメリバ最高に好きなんだよな!!椿ちゃんのたまにくるハピエンじゃない物語も好きなんだよ! てか切なすぎだろ!まぜ太くんがアンドロイドなんだ!俺らが役を果たすのはの時はあっとくんが今回の作品でいうとアンドロイド側じゃん?また違った感じでいいな!!まぜ太くんが悲しくなったり辛くならないように切ない感情は教えてないところ優しいんだよな😭
宿題爆速で終わらして来ました !! 私がアンドロイド系好きなの知ってるんですか !? 🙄🙄 (なわけねぇだろ) 虹椿さんのメリバ ? バトエン ? ってがちで大好きなんですよね ... いつものハピエンもいいんですけど !! メリバとバトエンからしか得られない栄養素があって !! 虹椿さんの作品のメリバかバトエンって中毒性やばいんですよ !! 😭😭
す、凄いです… 僕、結構アンドロイド系の物語好きで…めっちゃ続きがあったらみたいと思ってしまいますね。短編にしては高クオリティで…尊敬です!