愛美夏
ねぇ、蓮太。起きてる?
蓮太
起きてるよ。6時に寝てるわけないだろ俺が笑
愛美夏
確かに笑
愛美夏
あのね、大事な話があるの
蓮太
何?
愛美夏
小さい頃から好きです
愛美夏
付き合ってください
蓮太
・・・嘘コク?
愛美夏
違うよ
愛美夏
5歳の頃から好きです
蓮太
愛美夏・・・ごめん。ほんとにごめん。
蓮太
俺好きな人がいるんだ
私の恋は
この春、好きな人とのLINEで
儚く散った
愛美夏
・・・
紗良
愛美夏〜!一緒に学校行こっ!
愛美夏
・・・うん。いいよ
紗良
どうしたの?元気ないね
愛美夏
・・・
紗良
なんかあった?
愛美夏
私ね、土曜日に告白したの
紗良
え・・・!蓮太に?!
愛美夏
うん。でも、好きな人いるんだって
紗良
・・・嘘でしょ?蓮太・・・酷い。
愛美夏
・・・好きな人、誰だと思う?
紗良
え?蓮太の?
愛美夏
そう
紗良
愛美夏は知ってるの?
愛美夏
わかんない。でも・・・知りたくないような知りたいようなよく分からない気持ちなの
紗良
そっか。私は愛美夏のこと好きなんだと思ってたんだけどな。
愛美夏
・・・
紗良
でも、好きな人知ったら少しスッキリするかもよ
愛美夏
そうかな・・・
愛美夏
LINEで聞いてみようかな
紗良
うん。そうしな
はぁ・・・
私、どうしたらいいんだろう
愛美夏
ねぇ蓮太
愛美夏
好きな人って、誰なの
愛美夏
教えて
勇気をだして蓮太に好きな人を聞いた
でもこの日、既読はつかなかった
紗良
愛美夏〜って・・・今日も元気ない?
愛美夏
・・・紗良。
紗良
ん?
愛美夏
蓮太に嫌われたかもしれない
紗良
え・・・?なんで?
愛美夏
昨日ね、好きな人誰なのか聞いてみたの。
愛美夏
そしたらね
愛美夏
既読がつかなかった
愛美夏
いつもは直ぐに返信が来るのに昨日は既読さえつかなかった
紗良
そんな・・・そんなことあるはずないよ。
紗良
きっと昨日はたまたまLINEを見なかっただけだよ
そう言って紗良は無理やり笑顔を作った
愛美夏
紗良。励まさなくていいよ
愛美夏
私、諦めるよ
愛美夏
蓮太のこと
紗良
なんで?どうして?
紗良
5歳からの恋だよ?そんな簡単に諦めるなんて・・・そんな・・・
愛美夏
簡単じゃない。
愛美夏
本当は嫌だよ
愛美夏
諦めたくないよ
愛美夏
だけどさ
愛美夏
ほんとにほんとに大好きだからこそ蓮太には幸せになって欲しい
紗良
愛美夏・・・
紗良
やっぱり愛美夏は凄いよ
愛美夏
・・・え?
驚いて紗良を見ると何故か泣いていた
愛美夏
なんで・・・泣いてるの・・・?
紗良
好きな人の幸せをそんなに心から願える人、なかなかいないよ・・・
そう言えば紗良は小6の時に好きだった俊哉さんに振られてしまった
紗良はなかなか立ち直れなくて、そんな時俊哉さんに好きな人がいることを知って、紗良は俊哉さんの好きな人をいじめようとしたことがあった
紗良
私・・・あの時愛美夏がとめてくれなかったらいじめっ子になってた。
紗良
それぐらい・・・私は好きな人の幸せだけを心から願えない人間・・・
紗良
そう思って泣いてたんだ。ごめんね突然。意味わかんないよね、私
愛美夏
・・・
私は紗良がいじめようとした時、とめた。
それがなければきっと今頃紗良は児童相談所にでも送られていただろう
苦しいんだね
自分のしようとしたことの大きさが身に染みてきたんだね
愛美夏
紗良。
紗良
・・・何?
愛美夏
今、俊哉さんはどうしてるの?
紗良
大嶺中でめっちゃ偏差値高い高校受験のために猛勉強中らしい
愛美夏
それは誰から聞いたの?
紗良
俊哉くんから聞いた
愛美夏
本人から?
紗良
うん
なんでだろう
胸がチクリと傷んだ
愛美夏
何で聞いたの?
紗良
LINE
LINE返信してくれるなんていいね
中学違うのに私よりチャンスあるじゃん
愛美夏
いいね
紗良
・・・え?
愛美夏
あ・・・いや・・・なんでもない
愛美夏
とにかく、私、蓮太の好きな人は何としてでも知りたい
紗良
そうだよね。私も協力するよ。蓮太に聞いておくよ
愛美夏
ありがとう
私はここからがほんとうの地獄の始まりだと知らずに微笑んだ