TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

中島敦

わっ、シグマさん、本当にうまいですね!

シグマ

そんなそんな。敦くんも充分うまいよ

シグマの作ったクッキーは、どれもお店で売っていそうな形、色などが整っていた。

それに比べて敦は少し形が歪であり、焦げてしまっていた。

中島敦

でも、シグマさんに比べたら……

シグマ

言っただろう?

シグマ

私はクッキーを作る天才なんだと

鼻高らかに言うシグマを見て、敦は思わず笑ってしまう。

シグマ

なんで笑うんだ!

中島敦

だって、シグマさんが可愛らしくて!

シグマ

私は可愛くなんてない!

中島敦

いいや、そんなことないです

中島敦

初めて会った時の雰囲気よりだいぶ……

中島敦

だいぶ……

だいぶ、……なんだったか?

敦は何を言おうとしていたのだろうと口元に手を当てる。

だいぶ、やわらかくなった。そうとでも、言いたかったのか?

それなら、おかしい。

シグマはもとからこのような性分だったはずだ。

可愛らしい無垢な三歳児のような……

……

三歳児のような?

誰が言った言葉だった?

三歳児、など敦が思いつくはずがない。

それなら、一体誰が?

中島敦

……シグマさん

シグマ

うん?

中島敦

どうして、シグマさんは三歳児なんて呼ばれてるんでしたっけ?

シグマ

ん? ……あー、それは、私が世間知らずっていう二人のいじりからきているが……

シグマ

それが、どうかしたのか?

……そうじゃないか。

フェージャとゴーゴリがふざけてつけたのを、

この目でちゃんと見ていたじゃないか。

そこでフェージャが大きな口を開けて笑っていたから、

フェージャにもこんな一面があるのだと、

ドキドキしていたことを忘れたのか。

中島敦

……いえ、なんでもないんです

中島敦

ただ、忘れちゃってただけなので

シグマ

そうか

シグマ

なら、クッキーにトッピングでもしないか?

シグマ

そうしたら、もっと美味しそうに見えるぞ

中島敦

わあ! 名案です!

中島敦

僕、がんばっちゃいます!

二人の笑い声が厨房中に響いた。

そして十九時。

フェージャとゴーゴリはへとへとになって帰ってきた。

それだけ忙しいんだろう。

そう思い、敦はお疲れ様ですと声をかけた。

フョードル・ドストエフスキー

アツシ……

ニコライ・ゴーゴリ

アツシくん……

ニコライ・ゴーゴリ

ああ、我が友ドスくん。君はいい奥さんをもらったね……

フョードル・ドストエフスキー

ええ、こんないい人はいない……

シグマ

信者になるな、信者に

中島敦

あ、えっと……

和気あいあいとした雰囲気の中、

ふとフェージャが大きなあくびをした。

それを見たゴーゴリとシグマは驚いたような顔をして、

ニコライ・ゴーゴリ

うそでしょ、あのドスくんがあくびを……?

シグマ

おいおい、どんな仕事してきたんだよ

と少し呆れの入った声色で言った。

中島敦

今日は、もう休みましょう

敦は手に持っていたクッキーの袋を背中に隠して、

フェージャを寝室へと誘導する。

寝室に着くと、フェージャは勢いよくベッドに飛び乗った。

中島敦

わあ! やること子供みたいですよ!

フョードル・ドストエフスキー

時々こうしたい時があるんです……

そうコロコロした後、

フェージャは座り込み、敦に向けて手を差し出した。

中島敦

……えーっと……その、手は?

フョードル・ドストエフスキー

何か、何か隠してるでしょう?

ギクリ、と心臓が波立つ。

中島敦

え、いや? 何も?

フョードル・ドストエフスキー

うそだ

フョードル・ドストエフスキー

アツシの方から甘い匂いがする

この作品はいかがでしたか?

574

コメント

6

ユーザー

流石シグマきゅん…3歳児とは思えないツッコミだ。

ユーザー

信者‪‪‪笑 すごくおもろい。好き(

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚