ラビリンス≠シンフォニー〘Labyrinth≠Symphony〙

騎士らしき人物に手を引かれ辿り着いた先では、豪華な食事や装飾が惜しみもなく空間に広がっていた

目の前の光景に目を奪われ、思わず声を溢してしまう

騎士らしき人物が主人に向かって説明すると、主人は笑顔を鳩に向けた

金髪の少女は笑顔で話した

その後、一通り自己紹介を終わらせ、鳩は席へと案内された

目の前に並べられたご馳走を丁寧に取り、ゆっくりと味わうように食べた

鳩は「好きなもの」と聞かれて頭を抱えている

メモ用紙を差し出され、鳩は少し考えた

何食べているの！？

そんなことしている暇があったら働きなさい！

皆できているのにどうしてあなたはできないの！？

震える右手で渡されたペンを持ち、紙の上で走らせる

走らせれば走らせるほど醜いほどに欲望が出てきて、いつの間にか紙は埋め尽くされた

やってしまった…と言わんばかりに鳩は両手で口を覆ったが、もう遅かった

ロイヤルな金色の眼に見つめられると鳩は震えあがった

グラスの音が耳に入る

差し出されたのは、好きなものの詰め込まれたパフェだった

鳩は嬉しみを隠せず、目を満月のように輝かせている

そう説明するとすぐに周りの照明は暗くなり、ステージは色鮮やかに照らされた

ステージ上の歌姫は鳩と主人の方を見ると、ニコッと笑った

そしてマイクを持ち、歌声を響かせた

鳩は思わず聴き惚れ、パフェを食べる手が止まった

その顔を見て一期一振は微笑みを溢した

やがて演奏は終わり、少しずつ照明がつく

パフェを食べる手がまだ止まっていることに気付き、ふと顔を見ると目から一筋の涙を流している

そう話すと涙はより多く流れた

タオルを差し出すと鳩は受け取って涙を拭いた

誠実で謙虚で親切なその瞳に、鳩は少し惹き込まれそうになっていた