今日はハロウィン
子どもは嬉しいかもしれないけど、私はハロウィンが大嫌い。
花宮 櫻子
あーあ、今日も仕事遅くなっちゃった。
花宮 櫻子
昨日は仮装した人達で電車は満員電車だったのよね~
花宮 櫻子
まだハロウィンじゃなかったのに。
花宮 櫻子
でも今日はハロウィン当日よね
花宮 櫻子
早く帰るつもりだったのに
私はため息をついて小走りで会社を出た
花宮 櫻子
あれ、あんなところに女の子が一人でいる
遠くの方見るように私は両手を望遠鏡のようにして目のところに当てるようにして、なかを覗いた。
花宮 櫻子
迷子とかかな?
花宮 櫻子
今何時?
私は近くにある時計をキョロキョロと辺りを見渡して探した。
午後9時30分
花宮 櫻子
まだ9時半か…
私は息をすぅーっと吸って手を振りながら叫んだ。
花宮 櫻子
おーい!そこの女の子~!
案の定私は回りの人たちに不振な目で見られた。 その目を遮るようにして女の子の方へと走った。
女の子
とり…あ……りー…
女の子はボソボソと小さな声で私を見ながら言った。
花宮 櫻子
え、なんて?
花宮 櫻子
ごめんなにいってるかわからないんだけど笑
私は頭をポリポリとかきながら申し訳なさそうに言った。
女の子
トリックオアトリート!
女の子はこれでもか!というほどの大声を出した。
花宮 櫻子
わわっ!ビックリした~
女の子
トリックオアトリート…
女の子
ねぇ、お姉さん
女の子は悲しそうな顔をして私を上目遣いをした。
女の子
トリックオアトリートの意味知ってる?
花宮 櫻子
トリックオアトリートってお菓子をくれないとイタズラするぞっていう意味でしょ?
女の子
うん。
女の子
お菓子ちょうだい
花宮 櫻子
ごめん、持ってないや
女の子
ふふ、分かった
そして、女の子はベンチの上にたって月明かりに照らされて 不適な笑みを浮かべた。
女の子
じゃあ、イタズラするね!
女の子はそう言い放つとくるりと私に背を向けて走り出した。
私は呆気にとられて、その場から動けなかった。
その数日後両親が亡くなった。
今でも想うことがある。
イタズラとはきっとこの事なんだろうと。