テラーノベル
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駅前で瑠奈達と別れた美佐子は、とりあえずひと駅歩くことにした。
本当なら、瑠奈達が電車に乗ったのを見計らって、何事もなかったかのように別の電車に乗れば良いのだろうが、なんだか人混みが怖かったのである。
人が密集する場所より、人の少ない通りを歩いたほうが安全に思えたのだ。
みさこ
みさこ
みさこ
美佐子の脳内では、実に都合の良い自己弁護が始まっていた。
これ、典型的な、しかも頭の足りないいじめっ子の思考である。
危害を加えたら、危害を加えられるリスクを背負う。
それは当然の理屈。
人が嫌がることをした人間は、嫌がることをされても文句は言えない。
攻撃をした人間は、攻撃されても仕方がない。
しかし、典型的なこのタイプは、まさか自分が反撃されるとは思ってもいない。
ゆえに、反撃された途端に始まるのが、被害者ムーブだ。
自分はそこまで加担していなかった。
心の中では嫌だった。
でも、やめられない空気だった。
誰々が怖くて逆らえなかった。
同調圧力があった。
みさこ
みさこ
どうして自分だけ――。
そんなもの、やられた側からしたら、知ったことではない。
そして、このようなタイプは根本的に――。
みさこ
謝ることを知らない。
悪いことをしたら、相手を傷つけてしまったら――謝罪をする、自らの非を認める。
この、小学生でも分かることができない。
みさこ
怯えながらも先の駅で電車に乗り、最寄りの駅で降りる。
どこを歩いていても、見張られているような感覚に陥る。
徹底的に監視されているような感覚だった。
それでも美佐子は怯えつつも帰宅。
家は安っぽいアパートの一室。
家の前までやって来て、鍵を取り出した。
そして、鍵を回そうとして、違和感を抱く。
みさこ
この時間帯、すでに母親は仕事に出ているはず。
それに、仮に家にいたとしても、このご時世だから鍵くらいはかけているだろう。
みさこ
待ち伏せをされているかもしれない。
美佐子は玄関を半分ほど開けると、傘立てから傘を手に取った。
こんなもので対処できる相手ではないだろうが、上手くいけば日向の目を潰すことくらいはできるだろう。
なんせ、あちらはこちらを殺そうと画策しているのだ。
それくらいの反撃は許されるはず。
いいや、事実法令上では許されている。
みさこ
呼吸を整えると、一思いに玄関を開けた。
飛び込んで傘を構える。
玄関の辺りには誰もいなかった。
念のために美佐子は靴を履いたまま、家の中を見て回る。
たかだかアパートの一室だから、見て回るべき場所は少ない。
個室がひとつに、リビングとキッチンがひとつになった部屋。
見て回るべき場所は少ないし、人が隠れられるスペースも限られてくる。
みさこ
まだ昼間の部屋の中は、湿った暖かい空気が充満しているだけ。
母親からの返事はなく、また人の気配もない。
みさこ
今度は日向の名を呼びながら、人が隠れられそうなところを見て回った。
トイレ、クローゼットなど――しかし日向が潜んでいる気配はなかった。
みさこ
確信した美佐子は、改めて玄関の鍵をかけ、そしてようやく靴を脱いで部屋に上がった。
みさこ
もし、自分が日向の立場だったとしたら、どちらを優先して殺そうとするだろうか。
そんなもの、考えるまでもなく瑠奈のほうだ。
日向からのヘイトが向けられているのは、自分ではなく瑠奈のほう。
だから、このまま見逃してもらえるかもしれない。
今から家から一歩も出ず、明日の朝まで耐えることができれば。
みさこ
みさこ
基本的に他責思考で、自分さえ良ければそれでいい。
美佐子はこれまでの処世術を駆使しつつ、生き延びることを試みる。
すでに、日向による罠が仕向けられているなどとは、露にも思わずに。
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