Ak
わあああああああっ、急げ急げ急げっ!!

Pr
Ak、あんまり急ぎすぎるとこけるで!?

Ak
でも4人待たせちゃってるじゃんっ!!

ちょっと今約束に遅刻しているので猛ダッシュしている情けない青年ですが、
一応少し前に世界を救った勇者です
Ak
(まあ、ほとんどMzちのおかげだけど、、、)

Pr
Ak!?ちょっと待ってくれやっ、!!

オレの後ろを必死で走っている綺麗な髪をした若葉色の瞳の青年は、
オレの幼馴染で現在一緒に「恋」という気持ちについて考えているPr
Ak
ごめんねPrーのすけ、、、

Pr
いや、別に、ええんやけどっ、

そうは言いながらもゼェゼェと息が上がってしまっているPrーのすけに
オレが申し訳ない気持ちになっていると、
少し遠くの方にとても目立つ美青年が4人集まっているのが見えた
Tg
あ、AkにPrちゃん!!

そのうちの1人、背の低い千草色の髪をもつ男の子が、
にっこり笑って元気に声をかけてきたのを皮切りに、
その美青年たちが次々と声をかけてくる
Kty
来た!?2人ともお疲れー

Mz
なんでお前らが遅刻してるんだよ、言い出しっぺのくせに

At
もー、Mzもそんな怒らないのw

Mz
だってさぁ、、、

そう言ってAtになだめられながら不満げにしているMzちをみて、
オレは申し訳なく思いながら遅刻した理由を告げる
Ak
ごめーん、村でおばあさんが荷物多くて大変そうだったから、、、

Pr
王都でも迷子の子供が2人くらいおったし、、、

At
相変わらずびっくりするくらいお人好しだねw

Mz
まあ、お前らのことだからそんなところだろうとは思ってたけど

Kty
国王陛下からは一応日没までには王城に戻ってきてって言われてるよ

Tg
それまでなら好きなように王都内で遊んでていいって!!

Pr
大体日没前が目安やな、了解

Ak
よーし、じゃあAtに王都を案内するぞー!!

At
よろしくね

Kty
ちなみにAtちゃんはどこ行きたいとかある?

At
特にはないけど、、、魔道具市とか?

At
あと学校も気になる

Tg
Atくん魔法すっごくできるし魔道具市はわかるけど、どうして学校?

At
そろそろ辺境に学校作ろうと思って、仕組みとか設備見てみたいんだよね

Mz
お前、今日くらい遊ぶことだけ考えろよ、、、

At
だってMzのために働くのが幸せだから

Pr
社畜や、、、

Mz
別にオレが働かせてるわけじゃないからな!?

Ak
それはみんなわかってるよw

At
でもまあ、今日は遊びに来てるわけだし、、、

At
学校は今度Mzと2人で来るとして、
とりあえず魔道具市は確定であとはみんなにチョイスしてもらいたいかな

Ak
りょーかいっ!!

At
ありがと、今日は遊ぶことだけ考えるよ

Mz
そうしてくれよ、オレがAtこき使ってるブラック魔王みたいになるから

Mz
オレ、ちゃんとホワイト魔王なのに、、、

Kty
ブラック魔王とホワイト魔王www

Tg
そんな言葉あったの?w

Mz
ブラック企業みたいな感じで今作った

Ak
なるほど?w

Pr
ほな基本的には魔道具市回って、
その後展望台行ってちょっと話してから解散ってのはどーやろ?

Prーのすけの提案にみんなが賛成し、
オレたちはまず魔道具市に向かって歩き出す
Ak
それじゃあオレは地図係っ!!

Pr
Akがそうなら俺も地図係や!!

Mz
地図係は2人もいらねーよwww

At
まあまあ、仲良しでいいんじゃない?w

Kty
確か魔道具市ってあっちの方だよね?

Tg
そうそう、昔父上によく連れてきてもらったなあ、、、

そんな他愛もない話をしながら王都のメイン通りを歩くオレの心は、
おそらく今この世界で生きている人の中でも
トップレベルで弾んでいたに違いない
Ak
(みんなでおでかけ、今始まったばっかなのにもう楽しいな、、、)

Pr
Ak、早よせんと置いていくでー!!

Ak
わ、Prーのすけ待ってえ!!

Mz
バカップルがよ

At
付き合いたてほやほやの学生カップルみたいだねw

Tg
(AtくんとMzたんもだいぶ無自覚だと思うけど、
そこは黙っておこう、、、)

Kty
(なんか、Tgが考えてること手に取るようにわかるな、、、)

6人でわいわい話しながら歩いているうちにちらほらと露店が見え始め、
オレたちは各々気になるものを物色していく
At
わ、これなつい

At
昔Mzと俺で暇つぶしに作った魔道具おもちゃじゃん

Mz
あー、そういえばこれに似たようなもの作ったな

Mz
暇な人間って考えること全員同じなのかな、、、

At
Mz、俺が用事でいない時暇で暇で腐りそうって叫んでたもんね

Mz
よく覚えてんなー、、、

At
Mzのことだったら基本なんでも覚えてるよ

Mz
流石すぎるだろw

長年の絆を感じる元魔王たちの会話をオレがなんとはなしに聞いていると、
少し先の方でTgちゃんの元気な声が響く
Tg
あ、Kty、これ見て!!

Kty
どうしたの?

Tg
これなつかしくない?お花の指輪!!

Kty
お花の指輪、、、ってそれ、僕がまだなんもわかってない時に
Tgにプロポーズしちゃったあの話のこと!?///

Tg
そうだよ、何か変?

Kty
変じゃないけど恥ずかしいから言わないでよぉ、、、///

Tg
あの時は本物のお花だったけど、
これはお花の形にカットされた宝石なんだね

Kty
我ながら恥ずかしすぎる、今だったらもっといいものあげるのに、、、

Tg
うーん、もうKtyからはいっぱい幸せもらってるから、
今は別にそばにいてくれればそれが一番のプレゼントだよ

Kty
Tgはまたカッコつけるー!!

Tg
いつもKtyがカッコ良すぎるから、
たまにはおれもカッコつけないと
おればっかKtyのこと好きになっちゃうのっ!!

Kty
僕はもうTgにぞっこんだからそこまでしなくていいよっ!!

Tg
だぁーけぇーどぉー!!

Mz
なんだこのバカップル

At
この国の未来の王様と一番の騎士だよ

Mz
そんなことはわかってるわ

イチャイチャしている未来の指導者たちと
軽口を叩き合いながらくすくす笑っている元魔王たちを、
Prーのすけがぼーっと見つめていた
Pr
……。

Ak
どうかしたの、Prーのすけ?

Pr
いや、、、なんていうんやろうな

Pr
あいつら見てると、結局恋ってなんだろうって思うっていうか

Pr
どっちも愛の形が違いすぎるから、
恋とは一口に言ってもその定義って難しいよなって考えてまうんよ

Ak
それに関してはオレもからっきしだからなんとも言えない、、、

Ak
あの日王城でMzちが言ってくれたことも、
恋のヒントではあっても定義じゃないもんね

大好きな幼馴染と恋について話していると、
オレたちの方をチラリと見たAtがニコッと大人びた表情で笑う
At
どーしたの2人とも、もしかしてキモチがよくわかんなくなってる?

Pr
キモチがわかんないっていうか、、、恋ってなんやろうなって

Prーのすけの言葉を聞いたAtが、うーんと少し考える様子を見せてこう答えた
At
これはあくまで俺の意見だけど、、、

At
「恋」って定義を明確に決める必要はないんじゃない?

Ak
それは、、、どういうこと?

At
俺は何百年も生きてきてる、俺のMzへの気持ちは
人形として生まれた時からちょっとずつ育ってきたから、
表面的に見れば俺は何百年もMzに「恋」してるよね

At
でも、、、「恋」っていうものの定義は正直よくわからないんだ

Pr
定義がわからんのに、恋はわかるん?

At
だってさ、人のキモチって本来定義に当てはめるものじゃないでしょ?

At
好きなものは好きだし、
気がついたら相手を目で追ってることだって少なくない

At
そこに明確な境界線や基準なんて存在してなくて、むしろ、、、

At
気がついたら、恋してたって感覚なんだよ

Ak
!!

At
そこに定義なんて、綺麗に決められるわけなくない?

Pr
言われてみれば、それもそうやな、、、

Atの言葉を聞いて少しだけ答えに近づいたオレたちを見て
人形だとは思えないほど人間らしい笑みを浮かべたAtは
歩くペースを早めてオレたちを急かす
At
考えるのはいいけど、早くしないと置いていかれるよ?

Tg
ちょっとそこ3人っ、歩くの遅いっ!!

Kty
そろそろ展望塔に移動するよー?

Mz
お前ら何コソコソ話してるんだよ、置いてくぞ!!

At
どーしてMzはそんなに機嫌悪いのさ、、、

Mz
……どっかの誰かさんが
いつまでも最後の一歩を決めてくれないからとか?

At
……わー、そんな人がいるんだー(棒)

Mz
ひどい話だよなー(棒)

Mz
(オレの嫉妬も自分の気持ちも、気づいてるくせに、、、)

At
(……。)

少し不満げな顔をしているMzちと笑顔が引きつってるAtが気になったが、
早く早くと先を急かすTgちゃんに追いつくのが精一杯で、
結局彼らに話しかけることを忘れてしまった
次にオレたちがAtを連れて行ったのは、
王都全体が見渡せる広場の近くにある展望台だった
Tg
いつ見ても、ここから見る景色は綺麗だな、、、

Tg
これが、今父上が守っていて、
いつかはおれが守ることになる世界の一部、、、

そうつぶやきながら美しい街並みを見下ろしているTgちゃんの顔は、
普段よりも緊張感と責任感の色が濃く出ていた
いつも元気な笑顔を振りまいているTgちゃんだけど、
その裏には計り知れないような覚悟と葛藤、努力があるのだろう
そう考えると何か気の利いたことを言えたらと思うが、
その“役“はオレのものではないことも知っていた
緊張からだろうか、少し震えているTgちゃんの肩に、
Ktyが優しく手を置いた
Kty
近衛騎士団長としても将来のTgの伴侶としても、
Tgが守るこの世界を一緒に支えるよ

Kty
辛いのも苦しいのも一緒に分ける

Kty
嬉しい時や楽しい時は、Tgとその気持ちを共有する

Kty
プライベートでも執務面でも、、、

Kty
できる限りのサポートはするし、させて欲しいな

Tg
……Kty

Tg
ありがとう

幼い頃からずっとそばにいるのだから当たり前だが、
この2人はお互いのことを本当に理解していて、
お互いに支え合う未来を本気で描いている
そしてそれは2人の理想だけの姿なんかじゃなくて、
この2人ならきっとどんな“役”だって果たせるのだろうと周りに感じさせる、
確かな説得力と希望を伴った未来像だった
Ak
……これも、「恋」とか「愛」の一つの形なのかな

オレの言葉を拾い上げたPrーのすけが、笑って答えてくれた
Pr
そうかもしれん

少し遠くに目をやれば、
2人で並んで柵にもたれかかって王都を眺めているAtとMzちがいる
そこの2人の間に流れている空気も穏やかで落ち着いたもので、
2人がかけがえのない平穏な日常と長い時を超えて再び巡り会えた奇跡を
何度も反芻して噛み締めているのが伝わってきた
それでも触れることのない2人の距離感に違和感を感じるものの、
その違和感が2人にとってとても重要なもので、
簡単に壊せるものではないこともなんとなくわかっている
Ak
(「恋」とか「愛」ってやっぱり単純じゃないんだな、、、)

Pr
(すごく難しくて、これからも何度も考えることになりそうや)

でも、この瞬間が幸せだってことは考えなくてもわかるな。
互いに同じことを考えているのが直感でわかってしまったオレたちは、
自分たちの視線を交錯させて小さく笑った
しばらく展望台でそれぞれ穏やかな時間を過ごしていたが、
そろそろ日没だという時間になるとTgちゃんがいう
Tg
ねえねえKty

Kty
どうしたの?

Tg
“日没までに王城に戻れば”いいんだよね?

Kty
国王陛下はそうおっしゃっていたけど、、、それがどうしたの?

Tg
ちょっとだけ、一緒に行きたいところがあるんだ

Tg
父上の言いつけは守るよ、だからさ

Tg
ちょっとだけ、おれの用事に付き合ってくれない?

At
俺たちは今日一日空けてるから大丈夫だよ

Mz
だな、オレらはこの後も特に予定なし

Mz
お前らは?

Ak
一応予定は全部無くしてるよ、遊ぶことだけ考えていたいから!!

Pr
右に同じ

Tg
じゃあ大丈夫だね

Tg
おれについてきてもらえる?

Pr
りょーかい、わかったわ

Tgちゃんの案内に従って歩いて行くと、
連れてこられたのは王城内にある王宮の庭園だった
Ak
ここって、?

Tg
王族の同伴がないと入れないお庭だよ、
友達みんなとここでゆったり過ごすってのを
いつかやって見るのが昔からのひそかな夢だったんだよね

Kty
確かに昔、いつかここに友達全員連れてきてみたいってTg言ってたよねw

6人で他愛もない話をしながら王宮の庭園を散歩し、
適当なベンチで並んで座って穏やかな時間を過ごす
なんとはなく話題が途切れて各々静かな時間を過ごしていると、
ずっと周りの花を眺めていたAtがぽつりと呟いた
At
昔は、こんなに平和な時間を過ごせる日が来るなんて思わなかったな

何百年も1人で生きてきた彼の心を思って言葉を発せずにいると、
Atがゆっくり目を閉じて、優しく微笑みながら続けた
At
見渡せばどこにでもMzとの思い出が転がっているような
あったかくて冷たい魔王城でずっとひとりぼっちで、
Mzと世界征服のことだけ考えて何百年も生きてきた

At
Mzとの思い出を辿るたびに、
“俺は残されたんだ”って思って生きてきた

At
いつか現れるであろう勇者を倒して、
Mzのために世界を手に入れるために生きてきた

At
でも、、、

Atは柔らかく閉じていた瞼をあけ、目を細めてオレたちのことを見る
At
もう一度俺の前に現れた勇者は、底抜けにいいやつで、
魔王である俺のことを救おうとか考えてる変人だった

Ak
!!

At
その勇者が連れてきた仲間たちも、思ってたのと違ったんだ

At
王子は、俺のことを恐れないで一生懸命戦おうとしていたし

Tg
……。

At
騎士だって、大事な人のために人生を捧げようっていう
根幹のところは俺と変わらなくて

Kty
……!!

At
海賊は、誰よりも信念と情熱を持った純粋なやつだった

Pr
!!

At
魔法使いは、、、長い時が経ったのに、
もう一度俺のことを見つけて俺に愛情を伝えてくれた

Mz
……ギュ

At
それぞれ“役”があるのに、
みんなそれに縛られないで自分らしく生きていた

Atは少しずつ言葉を重ねながら、その色違いの瞳に涙を溜める
彼の震える手を優しく握ったMzちの姿が、
数百年の時を超えて再び結ばれた2人の絆の強さを何よりも示していた
At
それで俺も、自分らしく生きてみようって思えたんだ

At
それからの日々は本当に楽しくて、
昔とは比べ物にならないレベルで幸せだよ

At
今日のお出かけ、本当に楽しかった

At
ありがとう、みんな

Atの言葉にいろんなものがぐちゃぐちゃになって、
オレは思わずAtを抱きしめる
Ak
うううう、Atおおおおおお!!!

Pr
ちょっ、Akうるさっ!!

Tg
Atくんの耳が壊れちゃう、、、

Kty
今の、何も知らない人が聞いたらドラゴンの鳴き声だと思うんじゃ、、、

Mz
やばすぎwww

オレのことをいじりながらもみんな泣きそうになっていて、
でもその涙は決して不幸からくるものではなかった
暖かくて優しいこの空間が心地よくて、
オレは感情のままに思ったことを言葉にする
Ak
これからも、ずーーーーっっと6人で仲良しでいようね!!

Ak
おじいちゃんになっても会おうね!!

Pr
え、それはちょっと移動がきついかもしれん、、、

At
俺はおじいちゃんにはならないからなあ

Tg
いっそおれが国王引退した段階でみんなで辺境に引っ越しちゃう?

Kty
それアリじゃない!?

Mz
は!?せまっ!!あの家Atと二人暮らし用に作ったんだわ

At
そこは新しい家を作ろうよw

Pr
てゆーかなんで一緒に住む前提なん?w

Tg
Mzたんも本当は満更でもないってこと!?✨

Mz
ちげーよばーか!!///

Ak
Mzち照れてる?w

Mz
照れてねーし!!///

Kty
Mzちは素直じゃないなあw

Pr
照れとるのに隠しとるんかー?w

Tg
おれもそう思いますっ!!

At
これは照れてるね、断言できる

Mz
なんなのこいつら、、、

Mzちのツッコミにみんなが笑って、
太陽が沈んで登ってきた月がオレたち6人を優しく照らす
Prーのすけへの想いのこととか、愛の形だとか、
考えなきゃいけないことは多いけど、
今回のお出かけでちょっとだけそれが掴めた気がした
Ak
(愛、っていうと恋愛を連想しがちだけど)

Ak
(オレたち6人の間にあるこの感情も、
根っこを突き詰めていけば結局は“愛”の一種なのかも)

Pr
Ak、楽しいな!!

キラキラと笑顔を浮かべる大好きな幼馴染と
その後ろで笑っている大切な友人たちに、オレは満面の笑みで応える
Ak
うんっ!!

今この瞬間が“楽しい”もので、“いろんな愛で溢れている”ことは、
なんとなくわかる気がした