おれは大学が終わってから アパートに帰って
翌日提出しなければならない レポートを
ノートパソコンを起こして 再開した
だがどうにも
手に力が入らない
そうか
その日は 付き合っていた彼女が
突然亡くなってから
1年たった日だった
心がざわめく
ノートパソコンに 保存していた
彼女の画像を ひさびさに開く
そうだ 今でもおれは
彼女に想いを寄せている それは昔と変わらない
だがそれと同時に
後ろめたさに さいなまれる
でもおれには 彼女の死をどうすることもできなかった
ふと 押入れの中から
ごとん、と 重いものが転がる音がした
その時は クッションでも動いたんだろうと
思っていた
音はそれきり 鳴らなかったからだった
おれはパソコンに向き直り 彼女の画像を見て
思い出に浸っていた その直後だった
目の前に
黒い縄のようなものが 現れて
おれの首に 回された
おれの記憶は そこで途切れた
あとは闇が 広がっているだけだ
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎は乾いた笑いを発し 目を閉じた
進次郎
進次郎
進次郎
アルラは縮こまったまま ぶるぶると震えていた
アルラ
アルラ
アルラ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
おれは早口で 事実を述べた
おれが今も感じている 自責の念を
打ち消すように
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
アルラ
トーマ
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎は まるでおれの心の中を 見透かしたような
高らかな口調で そう告げた
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
進次郎
進次郎
おれはかぶりを振りながら
なにかこの場を 取り繕う手段がないか
辺りを見回し 必死に考えた
これは逃げではない
ゲームに勝つための
戦略の一部だ
アルラ
アルラ
トーマ
アルラ
トーマ
トーマ
トーマ
おれは 最初に各自が手に取った手紙を
もう一度広げてみた
トーマ
進次郎
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
トーマ
進次郎は「やれやれ」とばかりに 肩をすくめて
手紙を拾った
アルラも それに倣う
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
アルラ
アルラ
トーマ
トーマ
「あ」なたがここ「か」ら出るために
必要な要件を述べます
ここから脱出するためには
ひと「り」 生き残らなくてはならない
脱出するため「の」 ヒントがあります
それは
「あ」なたがいままで やってきたこ「と」を
事細か「に」思い出すこと
トーマ
トーマ
トーマ
おれは顔を上げた
アルラは指で文字列をなぞっている
アルラ
アルラ
アルラ
進次郎は嘲るように 一笑して
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
トーマ
おれは立ち上がり
おそるおそる 壁のスイッチに触れた
部屋は再び
真っ暗になった
だが
その中で見えているものがあった
照明のスイッチの すぐ下に
文字列が現れたのだ
トーマ
蛍光塗料らしいもので 数字の列が記されていた
黄緑色に発光している 謎の数字が
壁にびっしりと 書き込まれてあった
トーマ
トーマ
5368279-- --2964358 894153267 715---826 643782195 928516--- 485---673 369471582 ---638419
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