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暗室に浮かび上がった 文字列を

指でなぞりながら

声に出してみる

トーマ

5、3、6

トーマ

8、2、7

トーマ

2、9、6、4

トーマ

3、5、8…

進次郎

ゲームマスターからのクイズってところか

進次郎

なにかの暗号かもしれないな

もう一度全体を眺め回す

5368279-- --2964358 894153267 715---826 643782195 928516--- 485---673 369471582 ---638419

トーマ

この数字が表しているものを

トーマ

探せってか

アルラ

分からない

アルラ

9つの列それぞれを足しても

アルラ

特に意味はなさそうだし…

トーマ

足した?

アルラ

あっ、その

アルラ

暗算してみただけだ…

アルラ

数字の配列にも法則性はない

進次郎

きみは随分と詳しそうじゃないか

トーマ

なにか隠してるな

アルラ

違う

アルラ

ぼくは

アルラ

計算が得意なだけだ…

トーマ

そうかい

おれは一度 部屋の明かりを点けた

トーマ

このヒントは無駄ってことか

進次郎

やれやれだ

おれは冷たいタイルに 座り込んだ

もう少しヒントがあれば

トーマ

ん…?

冷たいタイル やけに大ぶりな長方形のタイルが

部屋中に敷き詰められているのがわかる

進次郎

どうした

トーマ

タイルの数は

トーマ

1、2、3、4…

進次郎

さっきの数字と関係あるのか?

おれは進次郎の言葉を無視し タイルの数を数える

トーマ

…33、34、35、36

トーマ

縦36枚

トーマ

横は…1、2、3、4

進次郎は鼻で笑うが アルラはというと

あんぐり口をあけている

トーマ

…34、35、36

トーマ

横も36枚

アルラ

…わかったっ

進次郎

大発見か?

アルラ

36÷9=4

アルラ

つまり4×4のタイルでひとかたまりと見ると

アルラ

この部屋には9×9の区画が存在する

アルラ

それが

アルラ

あの数字と対応している!

アルラは興奮気味に叫んだ

進次郎

へっ、名探偵だな

アルラ

トーマ、もう一度明かりを消してくれ

トーマ

ああ

5368279-- --2964358 894153267 715---826 643782195 928516--- 485---673 369471582 ---638419

アルラ

この数字の列も9×9になっている

アルラ

それぞれの列の和は

アルラ

40、37、45、29、45、31、33、45、31

アルラ

数字が欠けていない部分は和が45になっている…

トーマ

ということは

トーマ

45がみっつ…

アルラ

あっ

アルラ

この列…

アルラ

そういうことか!

アルラ

この数字、どの行ももれなく1〜9までの数字が含まれてる

アルラ

ということは縦に足しても…

アルラ

ああっ!

アルラ

分かった!

アルラ

数独になってるんだ!

進次郎

どういうことだ?

アルラ

ナンプレってやつだよ、やったことないか?

トーマ

なんだか聞き覚えがある

トーマ

数字パズルみたいなやつだっけ?

アルラ

そうだ

アルラ

こういうルールがある

アルラ

どの縦列、横列にも

アルラ

1〜9までの数字がひとつずつ入る

アルラ

ただしどの列にも

アルラ

同じ数字は入らない

進次郎

だがそれを解いたとして

進次郎

得られるものがあるってのか?

アルラ

タイルの数と数字が一致してるのは

アルラ

偶然とは思えない

するとアルラは 再びぶつぶつと独り言を言い出した

頭の中で パズルを解いているのだろう

アルラ

あ…!

アルラ

一箇所だけルールに則してない数字がある!

アルラ

7行目3文字目の「5」!

アルラ

トーマ、明かりをつけてくれ!

おれは部屋の 明かりを点ける

トーマ

座標だったってわけか…

トーマ

上から7列目

トーマ

左から3番目

トーマ

あっ

答えが示した タイルは

進次郎の 動ける範囲内にあった

トーマ

くっそ

トーマ

なんであんなところに

タイルは 少し浮いているように見える

進次郎はそのタイルを 指先で叩いた

すると コン、コン、と

空洞の中に響くような 音がした

トーマ

下に何かが埋もれてるんだ

進次郎

どうもそうらしい

両指を タイルの側面に当てる

そして手に 力を入れる

進次郎

ぐ…

進次郎

動かない、か

進次郎

そうしたら

進次郎

割れってことか?

トーマ

まさか

トーマ

あのハンマーは

進次郎

ははっ

進次郎

さっきおれが使っていたハンマーは

進次郎

鎖を壊すわけじゃないってことか

進次郎

ハンマーがあればタイルを

進次郎

壊せたかもしれないな

トーマ

だがもう遅い、か

進次郎

そういうことだ

進次郎

「全ては繋がっている」

進次郎

「その連環を絶たないようにしろ」

進次郎

ゲームマスターは

進次郎

そんな思いを込めて

進次郎

このゲームを組み立てたのかもな

トーマ

だが…

トーマ

おれもそこまで読むことはできなかった

トーマ

なにか

トーマ

何か方法があるはずだ

アルラ

なあ

アルラ

タイル1枚なら

アルラ

肘で壊せるかもしれない

トーマ

肘…

アルラ

シャツを巻き付けて

アルラ

叩くのはどうだろう

アルラ

そこに何かあるのは間違いないんだ

トーマ

そうか

進次郎

いいこと言うじゃないか

進次郎は さっき脱いだシャツを

肘にぐるぐる 巻き付けて

タイルのある場所の真上に しゃがみ込んだ

トーマ

これが脆いタイルなら

トーマ

中になにかがあることに対しての

トーマ

布石…

進次郎

もしアイテムが出てくればこっちのもんだ

進次郎

ゲームの覇権を握るのはおれたちってことになる

トーマ

そうだな

トーマ

だがお前が掘り当てたものが

トーマ

鍵だったとしたら

トーマ

お前はこのゲームで

トーマ

ひとり勝ちすることになる

進次郎

さあ

進次郎

どうだろうね

進次郎はそう言って タイルを肘でついた

進次郎

これは

割れたタイル

その中から

小さめのジュラルミンケースが現れた

トーマ

それって…

進次郎は割れたタイルの中から それを取り出す

進次郎

新しい武器ってわけか?

トーマ

なんだ、それ

ケースを見せびらかすように 高々と掲げる

トーマ

これは…

進次郎は丁寧に 留め具を外した

パチンと音を立てて 開いたケースを見て

進次郎は目を輝かせた

進次郎

助かったなあ

進次郎

ようやく出口が見えてきた

進次郎が手にしているのは スマートフォンだった

それも1台ではない

アルラ

アルラ

それはぼくの

トーマ

あっ

トーマ

おれのスマホもあるじゃないか

進次郎

あははは

進次郎

これは思いがけないものを

進次郎

掘り当ててしまったなあ

進次郎は自分のスマホを手に取り

画面を凝視した

進次郎

…あれ?

進次郎

なんだよ

進次郎

圏外か…

トーマ

おい

トーマ

嘘だろ?

進次郎

やっぱり簡単には出させてもらえないってことだな

アルラ

そ、そんな…

トーマ

だが

トーマ

本体は渡してもらおうか

進次郎

うん?

トーマ

電波が届かなくても

トーマ

スマホがなんらかの手がかりに

トーマ

なることは間違い無いだろう

トーマ

だからおれのスマホを

トーマ

渡してくれ

進次郎はおれのスマホを 手に取ると

愛撫するように 指でなぞった

トーマ

トーマ

なんだよ

トーマ

指紋認証型だから

トーマ

お前にはひらけないぞ?

進次郎

だとしてもだ

進次郎

アイテムを手にした以上は

進次郎

そのアイテムを最大限活かした戦法で行くのが

進次郎

定石じゃないか?

トーマ

お前

トーマ

まさか

進次郎は自らのスマホの横に

おれとアルラのスマホを置いた

進次郎

スマホが欲しければ

進次郎

足をトゲから外して

進次郎

ここまで這ってくるんだな

アルラ

な、な…

おれは唇を噛み締める

まさかこんな展開になるとは

トーマ

進次郎

トーマ

あんまりだろ

トーマ

ヒントを与えたのは

トーマ

おれなのに!

進次郎

誰が優位になるか

進次郎

それを決めるのは

進次郎

各プレイヤーだ

進次郎

ゲームとはそういうものだろう?

アルラ

くそ、くそ…

トーマ

なんてことだ

進次郎は禍々しい目を 一旦閉じた

進次郎

ふーむ

進次郎

だがふたりがある程度協力してくれたおかげで

進次郎

おれはここまでくることができた

そしてもう一度 目を開く

進次郎

交換条件といこう

進次郎

トーマ、そしてアルラ

進次郎

真実を話せ

アルラ

し、真実

トーマ

真実なら

トーマ

たくさん話してるじゃないか

進次郎

いや

進次郎

まだおれが求めていることを

進次郎

きみたちは話していない

トーマ

どういうことだ?

進次郎

おれには見えるんだ

進次郎

きみたちには見えていない線がね

進次郎

そうだな

進次郎

きみたちが過去に葬るつもりだった記憶を

進次郎

話してもらおう

トーマ

な…

進次郎

三つの点が線で繋がったら

進次郎

おれは喜んで

進次郎

きみたちにそれぞれのスマホを渡そう

進次郎は両手を広げて 高らかに告げた

まるで歌手かダンサーのような 雅な所作だ

進次郎

それじゃあ

進次郎

まずはトーマ

進次郎

お前がさっき語らなかった過去を

進次郎

話してもらおう

この作品はいかがでしたか?

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