内海家 内庭

私が生まれてきたこの家 「内海」

様々なお偉い様のボディガードなどになるために 生まれて、育てられ、鍛えられる。

子供は生まれた時から選別される。

体のどこかに不備がある場合、 見捨てられ、必要最低限育てられ、12歳になると、 養子として金持ちに売られる。

私の弟の輝もその1人になろうとしてる。

生まれた時から弱視で、空間認識能力が劣っていた。 そのため訓練をすることもなく、 部屋でひとりきりで時間が過ぎるのを待つ日々を強制させられている。

ギィ…

そう私が輝のことを考えていると… 2階の窓が空いた。

輝に感謝し、その顔を見ようと上を見上げた。

その時少しだけ違和感を抱いた。 なぜなら…

いつも通り可愛らしい顔で 愛らしい仕草をする彼の

その額に滝のように汗が出ていたから。

その日の夜「また」 悪夢にうなされる。

ガバッ！

体に触ると、熱く、汗がびっしょりついていた。

コンコン

輝は少し大袈裟に首を傾げる。 そして愛らしい笑みを浮かべ、

ぎゅっ…

夢唯を包む輝の体は少し筋肉質になっている気がした。

私が輝の頭を撫でると輝は嬉しいそうな、寂しそうな顔で微笑んだ。

ガタガタガタッ！

たったったっ…

何を言ってるの？

真実だよ。

ぎゅっっと夢唯の袖を掴む輝は力強かった。

ザッザッザッザッ…

ドスッ！ バキッ！ グシャッ！ ドゴッ！

鈍い音と共に、輝の周りにはさっきまで立っていた警備員たちがいた。

この時違和感は確信へ変わった。 部屋に居ただけの輝に汗がびっしりついていたこと。 抱きしめられた時の輝の体が逞しくなっていること。 これらは全て部屋で輝が鍛えていたからなのだと

カンッ

捕獲対象を言おうとした警備員を止めるために輝は通信機を蹴り飛ばした。 通信機からは通信相手であろう相手の声が聞こえていた。

そう言って夢唯を引っ張る輝からは いつもの可愛らしさは消え、たくましさがうかがえた。

家を囲む塀を登ると輝は私の手を掴んできた。

家から逃げて、寝場所を探そうとすると 輝はお得意のかわい子ぶりで知らないお姉さんの家に泊まれるように話を つけてくれていた。

そのあと私たちは保護され、中学校に入れることになった。

そこで凛咲　殺華たちに出会った。 ライバルができたり、友達ができたりして充実な日々を過ごせた。

そんなある日

輝が消えた

それからまた悪夢にうなされた

思い出す輝はあの時… 家から逃げた時、私の手を取った輝だった。

いつまでも… 私は信じてる。

ちょっぴりあざといあの子の笑顔をまた見れることを。