戦線の魔法使い

2週間後

私は普通に授業に出て、普通にいつも通り…でも変わった事が少し

前まで意地悪を言っていた人が好意的に話しかけて来るようになったこと

私の手を掴んでブンブンと振り始めた

こうして新しい友達が出来て私は少しだけ心が軽くなった日々を過ごせていた

眉間を掴んで頭を振る

共和国との対談は並行して、１ヶ月の対談に渡っていた

チカチカと暖炉の火が点滅する

頭を下げ何度も懇願する 怪我をさせた張本人達が今度は治療を名乗り出るなんて怪しいのも程があるのは承知の上だ

眉間に皺を寄せ悩む彼 彼も相当疲労が溜まってきているのだろう

医者はグレンツを連れていった

父は代表と目を合わせると衝撃の事実を話し始めた

本当に早く来てよかった、じゃなきゃ戦場は死体で溢れ…

ドアを蹴破る勢いで連絡員が入ってきた

何気ない日常 戦争も一時休戦しているし ただ、こうやって友達と話しているのも楽しい 楽しいんだ

そんな他愛ない会話をしていると学園中に警告音が鳴り響いて空を見上げると何かがこちらに向かって来ているのが見えた

言われるがままに術式を展開すると上から爆撃が降ってきた

日はすっかり落ちて、夜になった

あの爆撃後、襲ってきた人型大型兵器は消えていってしまった

そして、学園は破壊され今は瓦礫の下敷きになった人達の救出をしていた

瓦礫を退かすと下には無惨な姿になった生徒が

ルイさんはティアさんとジウさんを庇って瓦礫の下敷きになり、今は病院に運ばれている

泣いている彼女を見てふと、自分が過去に殺した軍人の事を思い出した

あの人にもきっと家族がいて、友達がいて、こんな風に悲しむ人がいたんだろうか

手当てされた手を見てギュッと拳を握る

だから彼女は怒ったんだ、私が最低な事を言ったから だから彼女は行ったんだ、危険な場所に、この戦争を止める為に

ピピピッとロンさんの通信機が鳴ってスピーカーで声が流れた

ピッと通信が切れる

場所を移動して全てを聞いた ロンさんのお父さん、つまりコールさんが人型大型兵器を共和国に開発させて、それを動かすボタンを押したと

次に向かう場所は共和国 全てを破壊する気だと それを調査する為に残っていた事 そして父を説得しようとしたら目の前でボタンを押されたこと

ロンさんは背中に背負っていた魔銃を差し出した

赤黒く光るその魔銃を見て私はゴクッと唾を飲んだ

普段出さないような大声を出すと彼女は何も言わず、ただ微笑んでいた

へにゃっとした顔で笑う彼女につい笑みをこぼしてしまう

こんなに夢中になる人は初めてなんだ、サーシャ

背中に魔銃を背負ってふわっと宙に浮かんだ

太陽の下を猛スピードで進んでいく

隣を見たらチチが猛スピードで優雅に飛んでいた