テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

戦線の魔法使い

一覧ページ

「戦線の魔法使い」のメインビジュアル

戦線の魔法使い

8 - 誰しも常に愛されている

2023年09月09日

シェアするシェアする
報告する

ドレイク

来たか

ロン

ロン・ヴォルワー、到着致しました

サーシャ

サーシャ・ジルベール、到着致しました

ドレイク

魔銃は…うん、持っているな

サーシャ

……

着いた場所には2人がいて、後の2人が見当たらない

サーシャ

あの…お父さんと…

ドレイク

グレンツは治療を…

ドレイク

ミケイラは…

グラハ

別室で休憩している

グラハ

学園が襲撃されたと聞いて責任を感じているようだ

サーシャ

な…っ…

サーシャ

どうして…

ロン

今回の襲撃は有力者が居なくなった瞬間を狙った襲撃

ロン

対談を計画してしまったミケイラに乗っての反抗…だからかな…

サーシャ

そんな…

サーシャ

………

サーシャ

今ミケイラさんは何処の部屋に

グラハ

1番奥の部屋だ

グラハ

だけど、お前が行ってどうする

グラハ

今の婚約者はこの俺だ

サーシャ

!………

サーシャ

………

私の前で堂々とそう宣言する彼 そうすれば、私がする事とすれば一つだけ

サーシャ

グラハさん、私と決闘してください

サーシャ

大切な人…

サーシャ

私のかけがえのない人を取り返します

グラハ

…………

グラハ

いいだろう

グラハ

決闘を受ける

いつまでこうしていたんだろう ソファーに座ってただ自分の指を見つめていた あの子を危険に巻き込みたくないとした行動が逆に危険に巻き込んでしまった

もっと、ちゃんと自分の言葉で伝えていれば、彼女は傷つかなかった そして、学園の大勢の人も 聞けば、被害を受けた人の中には死者も居たと、即死だったと

私が計画しなければ、あの学園から…離れなければ…

ガチャッ

そんな事を考えていると部屋のドアが開いた

ミケイラ

……やめて、グラハ

ミケイラ

1人にしてって言ったでしょ

ミケイラ

……慰めなんか…いらない…

近づいてくる足音を聞く、指を見つめていた視界に靴が見えたかと思えばバサッと上着を頭に掛けられた

ミケイラ

ぐら…!!…

違う、これは彼の上着じゃない 何回も嗅いだ、近くで嗅いだ 私の場所 私の大好きな匂い

サーシャ

ミケイラさん

サーシャ

ごめんなさい

ミケイラ

っ…!

上着をだらんと掛けたまま下を向き続ける 彼女に合わせる顔がない どんな顔をすればいいの 今見れば…また泣いてしまいそうなのに メイクもぐちゃぐちゃで酷い顔してるし 嫌

サーシャ

私、何も分かってなかったですね

サーシャ

私が殺した人には家族がきっと居て、その後戦おうとしていた人達にも家族がいる

サーシャ

あんな明るく倒しますなんて、言っちゃいけないって

サーシャ

学園で、目の前で死んだ人が居て、それを見て泣き叫ぶ人がいて

ミケイラ

………

サーシャ

なんで、分からなかったんだろうって

サーシャ

ミケイラさんは私の事、沢山沢山考えてくれたんですよね

サーシャ

ありがとうございます

サーシャ

そして

サーシャ

気づかなくてごめんなさい

ミケイラ

……

ミケイラ

なんで…謝るの…

サーシャ

…え?

なんで謝るの、なんで酷い事言ったのにアンタが謝ってんの あんな酷い事言って、電流まで流して 学園まで危険な目に合わせて アンタも死にかけたのに 最低なのに、なんでそんなに 優しいの

ミケイラ

怒ってよ…っ…!!

ミケイラ

なんであんな事したのって

ミケイラ

お前のせいで人が死んだって

ミケイラ

怒ってよ!!!

サーシャ

…………

ミケイラ

言ってよ…

ミケイラ

怒っ…てよ…

ミケイラ

……お願い…だから…

徐々に震える声 指にはポタポタと雫が落ちていた

サーシャ

……怒りません

サーシャ

私も人を殺してるんです

サーシャ

数じゃない、その事実だけは残る

サーシャ

だけど、それでも

サーシャ

貴女だけはそばにいて欲しい

ミケイラ

…!

サーシャ

一緒に背負わせてください

私の両手を暖かくて、少し乾いて、傷がついてる手が包み込んだ

サーシャ

貴女が居ないと、私は…ダメみたいです

サーシャ

貴女が叱ってくれないと私ドジだし…

サーシャ

頑張れないみたいです

ミケイラ

…っ…ぐす…っ…

サーシャ

ミケイラさん

サーシャ

顔、見たいです

サーシャ

そして、私に勇気を与えてください

ミケイラ

……勇気……?

サーシャ

私、あの兵器を全部倒してきます

ミケイラ

!!

震える手を貴女はギュッと握った

サーシャ

死ぬかも…しれないけど

サーシャ

それでも倒してきます

サーシャ

それが私がやるべき道だから

ミケイラ

っ……

ゆっくりと顔を上げると 1ヶ月ほど見てなかっただけなのに 彼女の顔は大人びたように見えた 何かを、振り払ったみたいな

サーシャ

……へへ…顔見れた…

ミケイラ

…ばか…っ…!!

いつもの笑顔で笑う貴女に抱きつくと貴女は尻餅を着きながら私を受け止めてくれた

サーシャ

あ…危ないですよぉ…っ!!

ミケイラ

…ばか…、もう本当にバカ

ミケイラ

本物のバカ!!

サーシャ

えぇえ?!!ば…バカバカ言い過ぎじゃないですかぁ?!!

ミケイラ

本当に…もう…

ミケイラ

……バカ…

私は彼女の頬を両手で掴んで唖然としているその口を塞いだ

サーシャ

ミケイラ

…っ…は…

サーシャ

…み…ミケイラ…さんっ…?!

ミケイラ

……生きて帰ってこなきゃ殺すから

サーシャ

っ!…はは…

サーシャ

……必ず、生きて帰ってきます

グラハ

来たか

サーシャ

お待たせしました

ロン

到着まで3時間程度かと

ドレイク

そうか

ドレイク

では、サーシャ・ジルベール

ドレイク

それを渡しなさい

サーシャ

嫌です

ドレイク

なっ…

グラハ

は…?!

サーシャ

私がとめます

ドレイク

それは呪われている魔銃だぞ…

ドレイク

死ぬかもしれないんだぞ?!!

サーシャ

大丈夫です

サーシャ

私は…神に愛されてますから

ドレイク

しかし…っ…

グレンツ

サーシャに行かせてやってください

グレンツ

俺の…俺達の娘です、大丈夫です

ドレイク

っ………

ドレイク

……お前はそれでいいのか…

ミケイラ

…大丈夫よ

ミケイラ

サーシャが決めたんだから

ドレイク

……はぁ……

ドレイク

分かった…

ドレイク

……頼むぞ、サーシャ・ジルベール

サーシャ

はい!!!

説得をして、外に出た

ミケイラ

……そういえば制服

サーシャ

ん?…ああ、グラハさんと決闘してきたんですよ

ミケイラ

え?…どうやって…

サーシャ

それは…

サーシャ

腕相撲です!!!

ミケイラ

…は…?

サーシャ

魔力をぶつけて勝ってやりましたよ

サーシャ

はっはっはっ!

ミケイラ

……ふふ…何してんのよ…

ゆったりとした時間が流れる もうすぐ彼女は生死の狭間を彷徨うって言うのに

サーシャ

あ…そうだミケイラさん

ミケイラ

…ん?

サーシャ

忘れないうちに…

彼女は4つ折りにした紙を差し出した

ミケイラ

…これは…?

サーシャ

私が生きて帰ってきたら開けてください

サーシャ

もしもの時は…

サーシャ

捨ててください

ミケイラ

え…

サーシャ

これは貴女にとっての呪いになってしまうので

ミケイラ

………

真っ直ぐな、綺麗な瞳で見つめられて私は頷くことしか出来なかった

サーシャ

………

サーシャ

そろそろ行ってきます

彼女は浮遊術式を展開して魔銃を構えた

サーシャ

っ…!

ミケイラ

サーシャ…?

一瞬苦しそうな表情をしたが直ぐに元に戻って彼女は笑った

サーシャ

行ってきます

ミケイラ

…うん

ビュンっと音がして彼女は上に飛びだった

高度を上げていくと奥の方から黒い点々が近づいてきた

サーシャ

……ミケイラさん…

サーシャ

貴女は私が守ります

私は首につけている制御装置を外した

サーシャ

さっき触った時…ちょっとやばかったかも

グッと銃を構えると自分の魔力が銃に吸い込まれる感覚がする

サーシャ

っ……!ははっ…

サーシャ

確かに呪われている…っ…

主の魔力を全て吸い込もうとしているように魔力が銃に流れていく

サーシャ

……いくよ…

次々と機体を破壊していき空から無機物が降り注いでくる

グラハ

防御術式を張れ!!

ドレイク

手が空いてる者は部品の回収を!

グレンツ

はい!

ミケイラ

…サーシャ…

ロン

心配はいらないよ

ミケイラ

……ロン

ロン

君がいない間

ロン

彼女は成長した

ロン

一歩進んだ

ロン

君が進んだように

ミケイラ

……わかってるわ

ミケイラ

見たら分かるもの

ミケイラ

私はあの子婚約者だから

空が暗くなって来た 呼吸もしづらくなってきた 苦しい、もう、そろそろやばい 何回か意識が飛びそうになりながら機体を破壊していく

サーシャ

はぁ…っ…はぁ…っ…

チチ

サーシャ

サーシャ

はぁーっ…はぁーっ…

サーシャ

チチ…っ…

サーシャ

あと…なん…体…っ?

チチ

最後だよ

チチ

次が

チチ

でも、あれはやばい

サーシャ

はぁ…はぁ…っ…

顔を上げると一際大きい機体が高度を上げていっていた

サーシャ

一体何を……?

チチ

あれはほかの機体とは違うよ…

チチ

サーシャ…逃げた方が…

サーシャ

…逃げないよ

チチ

…そう言うと思った

チチ

私も手伝うよ…

チチは私の肩に乗って首に巻きついた

上にある機体は下に銃を向けると銃口に光が集まり始めた

チチ

ははっ、サーシャ

サーシャ

うん、凄いね

サーシャ

止めるよ、チチ

ミケイラ

ねぇ…っ…あれ…大丈夫なの…?!

ドレイク

あれは…

ロン

父さんが言っていた最終兵器ですね

ロン

攻撃にだけに特化した兵器

ドレイク

……

ミケイラ

…大丈夫、サーシャなら大丈夫

サーシャ

主よ

サーシャ

我に…

サーシャ

我に…

攻撃の言葉じゃなくて…護る言葉を…

サーシャ

皆を、護る力を!!

その言葉を唱えた途端 銃とサーシャの左目が赤く光り始めた

兵器

排除、排除

兵器はそう言うと銃の引き金を引いた 銃口から光線が放たれた

ギュッと胸ポケットに入れていた指輪を握ってから離す

サーシャ

っ…

身体中の血管から、全ての魔力を吸い込まれているように銃に集まり、大きな魔法陣が現れた

サーシャ

私が…護る!!

そして銃の引き金を引いた

光と光がぶつかりサーシャが放った光は大きく、強く、機体を包み込んで消えた

そして空には星が溢れた

ミケイラ

……おわ…っ…た…?

グラハ

…だな

ロン

約5時間…

グレンツ

サーシャ…

空にはふわふわと彼女が浮いて ゆっくりと降りてきた

ミケイラ

…サーシャ…っ…!

地面にふわっと落ちた彼女に駆け寄ると左目からは血が流れ、身体中の血管が赤白く光って肌から透けて見えていた

ミケイラ

さ…サーシャ…ねぇ…

ミケイラ

ねえ…!!起きなさいよ、ねぇ

ミケイラ

サーシャ…っ…サーシャ…!!

懐かしいような、どこか聞いた事あるようなオルゴールの音が耳元で鳴っていた

「全く、誰に似たのかしら」

「え?僕…?君じゃないのかい?」

「私じゃないわよ、貴方よ」

「ええぇ…」

誰の声……? 聞いた事あるような…ないような

両頬に感触を感じて目を開けると真っ暗闇の中に2人

トーマ

あ、起きた?

リリ

あらあら、目が…

サーシャ

……

サーシャ

お父さん…?お母さん…?

トーマ

そうだよ、よく分かったね〜

リリ

大きくなったわねぇ、サーシャ

サーシャ

…ど…う…して…ここに…

サーシャ

私は……

トーマ

うーん、死にかけているから冥土の狭間って感じかな

リリ

無茶し過ぎたみたいね

リリ

本当、このおバカそっくり

トーマ

えぇ?!やっぱり僕?!

サーシャ

…!そうだ…あの…機体は…

チチ

サーシャが倒したよ、ちゃんと

トンっと私のお腹にチチが乗って右前脚をペロッと舐めた

トーマ

チチもお疲れ様

リリ

ずっと見守っててくれてありがとうね

チチ

2人との契約だからね

チチ

サーシャを見守るって

サーシャ

契約……

チチ

でももう私は必要ないかな

サーシャ

え……

トーマ

サーシャはもう1人じゃない

リリ

大切な人が周りに沢山出来たみたいで良かったわ、本当に

サーシャ

!…うん…

サーシャ

…大切な人…

トーマ

さて、そろそろ行かないと

「サーシャ…!サーシャ…!!起きなさいよ!!バカ!!!」

サーシャ

…ミケイラさん…?

リリ

綺麗で、勇敢なお嫁さんによろしくね

トーマ

ずっと僕達はサーシャを見守ってるからね

チチ

サーシャのこれからに

トーマ

沢山の幸せが

リリ

訪れますように

2人と1匹の手が私の身体をトンっと押すと意識が下に落ちていく感覚がした

サーシャ

……2人とも、チチ…

サーシャ

愛してるよ

「「「(僕)私達も愛してる」」」

ミケイラ

サーシャ…!!サーシャ…ぁ…!!

目を覚まさない彼女のシャツを掴んで顔を埋めた

ミケイラ

起きて…よ…バカ…っ…

サーシャ

っ…

サーシャ

ぅ…

ミケイラ

!!

ピクっと動いた振動を感じて顔を上げると彼女はゆっくりと目を開けた

サーシャ

……ミケイラ…さん…

ミケイラ

〜〜…っ!!

ミケイラ

…この…!バカ!!!

サーシャ

ミケイラ…さん…

サーシャ

…ただいま…です…

ミケイラ

…おかえり…おかえり…っ…!!

ドレイク

すぐに治療を

ドレイク

グレンツ、ロン、グラハ

グラハ

止血完了してます

グレンツ

俺はすぐに魔力流出を止める

ロン

僕は魔力供給をします

ドレイク

ミケイラ、一旦ここは彼らに任せよう、まずは病院に

ミケイラ

…っ…うん…っ…

運ばれるサーシャを見送ってハッと思い出した そうだ、生きて帰ってきたんだ 彼女との約束を

ミケイラ

…なんだったんだろ…

胸ポケットに入れてた紙を取り出して開くと文字と金色の指輪が現れた

ミケイラ

!!

「will you marry me?」

ミケイラ

っ……当たり前でしょ…っ…バカ

5年後

カツ、カツ、カツ、カツ

ミケイラ

もう!!

ミケイラ

どいつもこいつも…

ティア

社長〜ちょっとオーバーワークですよ〜?

ミケイラ

仕方ないでしょ…?!

ミケイラ

あのオッサンども…

ジウ

僕達が後はやっておくよ

ジウ

もう1ヶ月でしょ?

ジウ

この前サーシャと連絡取った時寂しいって言ってたよ

ミケイラ

ティア

あーいいのかなー?

ティア

ずっと放っておいたらサーシャはグラハさんに取られて…

ミケイラ

……3日間休み取る!!!

ミケイラ

アンタ達仕事任せたわよ!!

ジウ

はーい

ティア

任せてください〜

ルイ

送ってくぞ

生徒

先生ー!!!

サーシャ

はーい!どうしましたー?

生徒

魔力が安定しなくて…

生徒

浮遊してもすぐ落ちちゃうの…

サーシャ

そうですか

サーシャ

では、先生と手を繋いで飛んでみましょう!

サーシャ

2人でやったらきっと大丈夫

サーシャ

何かあっても、先生が支えますからね

生徒

!うん!!

ドンッ!!

サーシャ

はぅあっ?!

タブレットを操作する手を止めてドアを見るとシャツが少し乱れてる彼女が立っていた

ミケイラ

はぁ…っ…はぁ…

サーシャ

り…理事長…

サーシャ

出張だったんじゃ…

ミケイラ

休み取った!!

ミケイラ

あとは任せてきたの!!

サーシャ

そ…そうですか…っ…

ミケイラ

む…

ヒールを鳴らして彼女は私の隣に来ると椅子を掴んでぐるっと向きを変えた

サーシャ

わ…わわわっ…!!

ミケイラ

浮気したら殺す

サーシャ

ふぇ?!

彼女は私の脚に乗って私の頬を手で撫でた

サーシャ

浮気なんてする訳ないじゃないですかぁ…

彼女の手を上から手で覆って薬指にある指輪を撫でる

サーシャ

こんなに可愛い奥さん居るんだから…

ミケイラ

!…

ミケイラ

…当たり前でしょ?ばーか

サーシャ

えへへ…

ミケイラ

…ふふ…

夕陽に照らされ2人の左手の薬指にある指輪がキラキラと輝いていた

そして、2人は暫くそのままじっと見つめ合っていた 幸せを噛み締めるように

fin

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚