薄暗い護送車の中で一人、浩二は考え事をしていた
浩二
このまま俺、どうなっちゃうんだろ…
カーテンで光は遮らている。おまけに外の景色は見えない
自分が今どこにいるかわからないまま車は走り続けた
しばらくするといきなり、車が停車した
護送車の外から声がする
警官
開けます
光で目が開けられない。どうやら目的地に着いたようだ
浩二
ここはどこですか?
警官
お前が1ヶ月間過ごす場所だ
知らない間に山奥に来ていた
そして、目の前には木製の小屋が2軒建っている
警官
右の小屋は女子、左の小屋は男子が生活する
浩二
なんだか、キャンプみたいすっね
警官
言われてみればそうだな…ご飯は朝昼晩、自炊なんだ。山小屋の台所でみんなで協力しながら作る
警官
もちろん食費は親に請求する
警官
税金に頼ろうなんて犯罪者が甘いんだ
警官
さあ、小屋の中へ入れ
警官が背中を押したせいで、浩二は玄関でつまずいた。
玄関の段差は高かった
小屋の主
よお、クソガキ…ここでみっちりしごいてやるからな
玄関で待ち受けていたのは、人相の悪い若い男性。どうやらこの小屋の主をしている様だ。筋肉質で体格のいい図体に左腕の龍の刺青…
浩二
もしかして、この人…
警官
ムショあがりだ。
浩二
嘘だろ…
警官
心配するな、きちんと更生はしている。
小屋の主
俺の事は、ボスと呼べ。いいか?ナメた口を聞いたらただじゃおかねーからな
浩二
おい、これ脅迫だろ?
警官
おい、正成、いいすぎだぞ
小屋の主
すいません
警官
とにかく、俺はこれで帰る。浩二、脱走なんか考えても無駄だぞ
警官
刑期が伸びるだけだ。それに、ここは山奥。遭難したらお陀仏だ
小屋の主
いいかわかったか?
浩二
わかりました…
警官
じゃあな。正成、門の鍵はきちんと閉めとけよ
小屋の主
わかりました
警官がいなくなると、正成は浩二の手から手錠を外した。
小屋の主
着いてこい。お前の仲間を紹介してやる
玄関のすぐそばにある階段を登り2階へ上がった
2階には大きな部屋が1つあるだけで他には何もない。
小屋の主
おいお前ら良く聞け、今日から入る新入りだ
畳と、押入れしかない殺風景な部屋に浩二と同い年ぐらいの3人の少年が座っていた。
小屋の主
みんな、お前と同じ罪でここにいるのさ
正成は浩二の頭をポンポンと触りながら言った
小屋の主
ここでは互いの事をアルファベットで呼ぶ
小屋の主
右にいるメガネがA。隣がB。その隣がCだ。そんで浩二、今日からお前がDだ。
浩二
俺は、今日からDって呼ばれるのか?
小屋の主
敬語を使え
浩二
すいません。
小屋の主
そうだ。Dと呼ぶ
小屋の主
囚人っぽいだろう
小屋の主
みんな、Dと仲良くしてやれよ
正成は部屋に鍵をかけ階段を降りていった
3人とも暗い顔をしていて、何も喋らない
気まずくなった浩二は喋りかけた
浩二
よ、よろしく
返事は返ってこない
浩二
あっ!なあなあ、特殊刑って裁判で言われたんだけど具体的に何をするんだ?
特殊刑って言葉をだしたからか、3人が震え始めた
浩二
おい、大丈夫か?
A
特殊刑は地獄だ。
Aは怯えた口調で特殊刑について語り始めた
一体どんな刑なのか?
続く