トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
おれは 右拳を固く握っていた
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
トーマ
いつの間にか 立ち上がっていたおれは
その場にしゃがんで 話を始めた
熱を帯びた身体
額に浮き出た ベタベタとした汗を拭う
彼女が亡くなる少し前だった
彼女は大学を休むようになり
おれとのメッセージも なんだか味気なくなってしまった
おれは実際彼女に会いに行って 訊いた 「最近元気ないけど、なにかあったの?」と
しかし彼女は作り笑いばかりで なにがあったか
話してくれない
そして随分 痩せ細っていた
「浮気とかしてるわけじゃないよね?」
おれが冗談めかして言うと
彼女は泣き出した
そして言った
「そんなんじゃない」
「でももう 耐えられない」と
おれには意味がわからなかった
数日経って
彼女の両親から連絡があった
彼女が死んだという 連絡だった
あまりにも唐突な死
到底受け入れられなかった
だから数日間は 彼女と撮った写真を見ながら
悲しみと懐古に耽った
だがそれから少し経った時のこと
偶然彼女のポルノ動画が
動画投稿サイトにアップロードされていたことを 知った
誰が? なぜ? なんのために?
おれは断じて それに関与していない
まさか ポルノ業者が撮影したのか
それを苦にして死んだのか
ともかくにも おれはその動画を
見ることが出来なかった
あまりにも恐ろしいことのように 思われたからだった
そしてそれは 爆発的な広がりを見せていて
日本のみならず
海外のサイトにも広まっていた
つまり
もうネットから 消すことができないぐらい
拡散されていたのだった
彼女はそれに耐えられなくなって 自ら命を絶ったのだ
そうとしか考えられない
それを聞いた進次郎は がっくりと項垂れていた
トーマ
トーマ
トーマ
進次郎は時々 肩を上下に震わせながら
泣きじゃくっているように見えた
進次郎
進次郎
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎は少しずつ 顔を上げた
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎は腹がよじれるぐらいの 大きな笑い声を発していた
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
「負けた」という言葉が 頭の中で培養され増殖する
頭皮が痒くなり 爪を立ててガリガリとかく
トーマ
トーマ
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
進次郎
おれの両手は震えていた
トーマ
トーマ
進次郎
頭の中に 熱い血がカーッとのぼる
トーマ
トーマ
トーマ
彼女の名前は 植村詩乃
おれが大学3年になった時に
入学してきた子だ
授業で一緒になったとき たまたま隣に座っていた
彼女はなんの気なしに おれに話しかけたようだが
気づいたらおれも 詩乃に興味を持ち始めていた
何度か話しているうちに おれはもっと詩乃に近づきたいと
思うようになった
確かカフェに誘って
最初のデートをしたとき
彼女はおれに 「付き合ってください」と言う 申し出をした
断る理由などどこにもない 受け入れる以外に思いつかない
おれは即座にこう言った
「おれでよければ 付き合ってください」
「おれも詩乃ちゃんのことが 好きだったよ」と
こうして おれと詩乃の交際が
始まることになる
付き合い始め2週間ぐらい 経った頃だろうか
度々デートを重ねていた おれと詩乃は
はじめて 「家デート」を することになった
詩乃が おれのアパートに来たのだった
詩乃
詩乃
トーマ
トーマ
トーマ
詩乃
詩乃
詩乃は おれのシングルベッドに
ごろりと 横たわった
詩乃
トーマ
詩乃
詩乃
トーマ
詩乃
詩乃