私がまだ小学一年生だった時
お兄ちゃんが死んだ。
真琴
真琴
真琴
葬式が終わった後も、まだ棺にすがって泣いている両親を見て
私は二人を励まし続けた。
母と父が泣いていたから
私は泣けなかった。
お兄ちゃんが死んでから
母は毎日、仏壇の前で泣いていた。
母
結局私は、お母さんが私のために 頑張ろうと思えるような
そんな価値もなかったという訳だ。
真琴
真琴
母
母
母
母
真琴
母
母
母
真琴
真琴
母
母
母
本当は私だって
大声で泣いて、叫びたいのに。
お兄ちゃんが死んで、誰よりも 悲しかったのは私なのに。
それから月日が流れ
私は中学生になった。
生前お兄ちゃんがしていたように
長かった髪を切って
ピンク色に染めた。
母
母
そう言う母は嬉しそうに笑っていた。
お兄ちゃんが死んでから、
母が笑った姿を私は初めて見た。
出来の悪かった私だけれど
お兄ちゃんが行っていた高校に入る ために、猛勉強して入学した。
真琴
母
父
父
母
父
真琴
真琴
お兄ちゃんと同じ人生を歩むしか、 両親を喜ばせる方法がなかった。
お兄ちゃんの代わりを演じようと、 決めた。
真琴
真琴
真琴
真琴
真琴
真琴
真琴
真琴
高校に行く足取りは重かった。
青信号が、チカチカと点滅し、 赤へと変わった。
真琴
真琴
目の前では、沢山の車が道路を 行き交っていた。
真琴
真琴
楽になれるかな。
赤信号の横断歩道に飛び出した。
ドンッ
目を開けたら、キリンがいた。
何でもここは死後の世界なんだとか。
キリンさん
キリンさん
キリンさん
キリンさん
真琴
真琴
真琴
迷いはなかった。
私は、自分で決めて死んだのだ。
だから、死後の世界を走っていた車 も、怖くなんてなかった。
真琴
真琴
真琴
ふと私の身体を見てみると
まだ性懲りもなく、身体が透け 続けていた。
真琴
お兄ちゃんが元の世界に戻れなんて 言うから
建物を飛び出し、遠くの空き地まで 逃げて来てしまった。
真琴
真琴
その時、息を切らす声と 足音が聞こえた。
葵
葵
真琴
葵
葵
葵
真琴
葵
葵
コメント
37件
話しを読んで辛かった。😂👍
真琴ちゃんはとっても優しい。でも周りを笑わせたいと思いすぎて自分を幸せに出来てない。 真琴ちゃんは1人で何もかも背負ってきた。誰にも相談せず、いや、相談できる環境じゃなかったんだ。真琴ちゃんの優しくて頑張り屋さんなとこ、とても尊敬します。
この兄妹絶対推せる!