保奈美
凄い勢いで食べてる
???
がぁあああ
保奈美
(脂肪だらけで何キロあるの?)
桐子
こんなところに居たのね
保奈美
こ、この人はなに!?
桐子
紹介が遅れたわね?
桐子
この子は次女の昌枝よ
昌枝
ゔゔゔっ
桐子
昌枝、これもお食べ
桐子が七面鳥を丸ごと放り投げた
昌枝
ぎぃいいい!
保奈美
(かぶりついてる)
保奈美
(骨まで噛み砕いて…)
桐子
昌枝は今、300kgなの
保奈美
300kg…
桐子
だからダイエットモニターに適してる
桐子
このベッドそのものが体重計なの
桐子
300kgから痩せたら、ベルトはまた爆発的に売れるわ
保奈美
そ、そのために?
保奈美
私、この人の身代わりだったの!?
桐子
そうよ
桐子
あなたは昌枝の身代わり
桐子
昌枝が痩せるために、これからも身代わりダイエットをやってもらう
保奈美
も、もう限界…
桐子
あらそう?
桐子
それなら──
死ぬ?
保奈美
えっ…
桐子
どうせ死んだことになってるわ
桐子
身代わりなんてね、いくらでもいるのよ
数日後
保奈美
あの、ご飯です
昌枝
んんっ、んんー!
保奈美
…手づかみ
保奈美
(ご飯の世話までさせられて)
保奈美
(昌枝はずっと食べ続けてる)
保奈美
(でもベルトをしてるから、カロリーは全部こっち)
保奈美
(もう逃げる体力もない)
保奈美
(少しくらいなら…)
私は昌枝のご飯に手を伸ばした
昌枝
いぃいいいいー!
保奈美
(噛みついてきた!)
保奈美
(威嚇してる…)
保奈美
(太りすぎて喋れないの?)
昌枝
ぐううううっ
保奈美
(こんな化け物の身代わりなんて)
保奈美
(私のほうが先に死んでしまう)
正彦
うめーな!
正彦
あぁ、うめー!
保奈美
………
保奈美
(お腹が空いて目眩がする)
正彦
あっ、肉を落とした!
正彦
保奈美ちゃん、掃除して
保奈美
…はい
テーブルの下に這いつくばる
正彦
おっ、セクシーショット!
保奈美
きゃっ!
真子
足の指で胸さわるとか最低
正彦
保奈美ちゃん、胸も大きくなった
正彦
ますます俺好みだよー
保奈美
そ、そうですか…
保奈美
(今なら肉を食べられる)
保奈美
(誰も見てない隙に──)
桐子
拾い食いするなんて
保奈美
いっ!
桐子が足で私の手を踏みつける
桐子
昌枝が太るでしょ!
保奈美
す、少しくらいなら…
桐子
その少しがダイエットの敵なの!
桐子
それでも食べるというなら──
指の骨を折るわよ?
保奈美
ぐっ…
真子
お母様、少し可哀想だわ
真子
私、ご飯を用意してきたの
真子が床に置いたのは──
保奈美
ドックフード?
真子
そう、床のおかずを食べるなんて
真子
犬以外の何者でもないから
桐子
でも食べたら昌枝が──
真子
カロリーゼロだからいいの!
真子
さっ、食べないよ!
真子が私の頭を押さえつける
保奈美
や、やめてっ
真子
じゃ、素直に食べる?
保奈美
──わかった
保奈美
(ドックフードでも、食べないよりマシだ)
保奈美
(3人が笑ってるけど)
保奈美
(食べるしか──)
私がドックフードをつまんだ、その時
何をしてるんだ!?
桐子
あ、あなた!?
正彦
親父、なんで?
真子
お父様、いつ帰ったの?
保奈美
(3人が急に慌て出した)
保奈美
(この家のボスだから?)
吉雄
私は、稲垣吉雄だ
吉雄
この家の当主であり、ベルトの開発者でもある
保奈美
このベルトの?
吉雄
アメリカの学会から帰ってみれば
吉雄
これはどういうことだ!
吉雄
なぜ床にひざまずいて粗末なエサを食べさせているんだ!
桐子
それは、昌枝の身代わりで
桐子
昌枝はモニターとして痩せないと
正彦
そ、そうだよ
正彦
それにこの女がご飯は要らないって
保奈美
うそ、私はそんなこと──
真子
黙りなさい!
真子
お父様、真子とこの身代わりの奴隷、どちらのことを信じるの?
吉雄
ええい、黙れっ!
真子
ひぃっ
吉雄
明らかに弱ってるじゃないか!
吉雄
過度な身代わりダイエットはよくないと、あれほど言っただろう!
桐子
でも、少し厳しくしないと
桐子
300kgの昌枝は痩せないわ
正彦
そうだぜ親父
正彦
ちょっとくらい食わなくても
吉雄
では、お前が身代わりをやるか?
吉雄
お前たちが身代わりをするのか!
保奈美
(あの3人が押し黙った)
保奈美
(凄い力があるんだ…)
その吉雄が私の前で膝をつく
吉雄
どうか私に免じて許してほしい
吉雄
身代わりは大切に扱うように、口を酸っぱく言っていたのに
保奈美
じゃ、ここから出して
保奈美
お願い、ここから…
吉雄
わかった
保奈美
えっ、ほんと!?
吉雄
ああ、しかしまず食事をしよう
保奈美
あぁ、美味しい!
保奈美
久しぶりのご飯っ
吉雄
ゆっくり食べなさい
吉雄
誰も取らないから
保奈美
んぐっ、んんっ
水を浴びるように飲む
桐子
あぁ、昌枝が太ってしまう
吉雄
なにか文句があるのか?
桐子
…ありません
保奈美
(フン、いい気味!)
保奈美
(1人でもまともな人がいて良かった)
保奈美
あの、それで家には?
吉雄
その格好じゃ、ご両親も驚くだろう
吉雄
お風呂に入って着替えなさい
保奈美
ありがとうございます
吉雄
真子、お前が用意するんだ
真子
…分かった
私は何日振りのお風呂に入った
真子
お父様が呼んでるわ
真子
そこの部屋だから
保奈美
(これで家に帰れる!)
保奈美
(身代わりダイエットともおさらばよ!)
保奈美
(えっ、なにこの部屋?)
吉雄
ちゃんと清めたかな?
保奈美
清めた?
吉雄
私は潔癖症なんだ
吉雄
小汚い女には勃たなくてね
保奈美
ど、どういうこと?
保奈美
家に帰してくれるんじゃ?
吉雄
なにを言っているんだ
吉雄
君には新しい身代わりをしてもらう
保奈美
新しい、身代わり?
吉雄
そうだ
妻の身代わりをね







