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季節は、冬になった。

この保健室でもう四季を過ごしたことになる。

そう思うと速いなあと感じた。

冬になると、学校のエアコンは風が暖かくなり、カイロを持ち歩くのが普通になった。

成瀬春樹

先輩寒くないですか?

こいつと出会ってもうすぐで1年経つということになる。

咲野藍

寒いかも〜

咲野藍

今日カイロ忘れたわ

成瀬春樹

じゃあ僕のカイロあげます

咲野藍

あったけ〜

小日向芽衣

あいつら急に仲良くなってないか?

姫沢桜良

確かに、この前喧嘩したと思ったていたのになんで急に仲良くなってるのかしら

藤岡知子

ふふ

私とこいつは仲良くなったというより

私がこき使うようになった。

咲野藍

はぁ〜

冬は苦手だ。

夏ほどではないが、寒いのが嫌だ。

私は暑さや寒さが極端なのが嫌なのだ。

成瀬春樹

先輩、どうしました?

咲野藍

...

咲野藍

いや、なんでもない

成瀬春樹

そうですか...

成瀬春樹

ならいいですけど!

私はふと考えてしまうことがある。

この生活が家族にバレたらどうなるのかと。

保健室に登校して、外に出て、喧嘩ふっかけてきたやつはしめる。

この生活は今までばれずに済んできた。

でもいつバレるか分からない。

バレない可能性もあるのだ。

そう思い、この考えは脳からゴミ箱に入れた。

咲野藍

芽衣ー、桜良ー

小日向芽衣

ん?

姫沢桜良

なによ

咲野藍

今日外行こうぜ

姫沢桜良

珍しいわね

姫沢桜良

冬嫌いのあなたが外に出るなんて

小日向芽衣

確かに

なぜなら私にはお目当てのものがある。

咲野藍

あの新しく出来たクレープ屋が冬限定のクレープを出してる

小日向芽衣

あぁ、それで?

小日向芽衣

ほんとにクレープに目がねぇな

冬限定のクレープなんて美味しいに決まってる

咲野藍

速く行くぞ

私は急ぎたいために、外に繋がっている保健室のドアを勢いよく開けた。

小日向芽衣

はいはい

姫沢桜良

わかったわよ

咲野藍

じゃあ、行ってきまーす

藤岡知子

行ってらっしゃい

成瀬春樹

先輩、ちょっと待ってください

咲野藍

なに?

成瀬春樹

お金持ってますか?

咲野藍

持ってねぇーよ

咲野藍

こいつらに出してもらう予定なの

小日向芽衣

またかよ

姫沢桜良

そろそろ自分で持ってきなさいよ

成瀬春樹

じゃあ、僕が渡しますので

咲野藍

まじかー

成瀬春樹

3000円あれば足りますよね?

咲野藍

足りる

成瀬春樹

じゃあどうぞ

成瀬春樹

あ、これは返さなくていいですから

成瀬春樹

あと先輩、絶対喧嘩しちゃダメですよ

咲野藍

なんでお前に指図されなきゃいけねぇんだよ

成瀬春樹

喧嘩したら先輩の顔とか体に傷がつくじゃないですか!

成瀬春樹

僕はどんな先輩も好きですけど、なるべく傷はつけて欲しくないです

咲野藍

わかったわかった

咲野藍

喧嘩しないように努力する

成瀬春樹

はい、じゃあさよなら先輩

成瀬春樹

寒いのでちゃんとカイロ持つんですよ

咲野藍

分かってる

あの一件からこき使うようになったのはいいのだが、こいつがうざいくらいに過保護になった。

姫沢桜良

人がイチャチャしてるのを見るとこんなに腹立つのね

小日向芽衣

それな、うちらなんて空気だしな

藤岡知子

ふふ

外の気温はまじで寒かった。

風も冷たかったため、イラつきながらクレープ屋に向かった。

成瀬春樹

それでなんで喧嘩しちゃいますかね!!

咲野藍

だって

咲野藍

アイツラ...ウザカッタ...

成瀬春樹

はぁ...

成瀬春樹

まぁそんな先輩も好きなんですけど

咲野藍

キモ...

成瀬春樹

相変わらず酷いですね〜

ぶっちゃけあれからこいつのことが好きになったかというと

残念ながら違う。

ベタベタの少女漫画ならあそこでヒロインが主人公に惚れるシーンだが、私はまっっっっったく惚れなかった。

ほんとに。断じて。

成瀬春樹

も〜絆創膏貼るのでこっち来てください

成瀬春樹

先生、絆創膏ください

藤岡知子

いいわよ

咲野藍

はぁ...

なんか子供扱いされている気がする。

成瀬春樹

消毒しますよー

成瀬春樹

ちょっとしみますからね

咲野藍

痛っ!

咲野藍

お前もっと丁寧にやれよ!

成瀬春樹

わかりましたから

消毒液って案外しみる...

成瀬春樹

はい、終わりましたよ

成瀬春樹

先輩、二度と顔に傷つけないでくださいね

咲野藍

なんであんたに言われなきゃいけないのよ

成瀬春樹

僕が悲しむので!

意味わかんな...

咲野藍

...ちょっと出てくる

成瀬春樹

どこ行くんですか?先輩

咲野藍

ただのトイレ

私は来てる尿意を抑えてトイレに急いだ。

寒いせいかすぐトイレに行きたくなってくる。

トイレは意外と人がいなく、私以外誰も居なかったのでトイレは一時的な貸切状態だった。

咲野藍

トイレが貸切とか嬉しくな...

私は、くだらない場所で糞みたいなことを考えていた。

その時だった。

東宮奈央

―っ!

貸切トイレに入ってきたのは奈央だった。

なんでこいつがここに?

あぁ、トイレなんだから当たり前か。

私はこの瞬間に色んなことを考えた。

奈央、私ずっと謝りたかった。

私、子供だった。

あんな酷いことを口から出してしまったこと。

優等生も優等生で色んな悩みがあるのにね。

奈央も努力してたのにね。

凄いね。奈央生徒会副会長になったんでしょ?

みんなから慕われてるからだよ。

ふいに、あのクソ生徒会長の「副会長が心配していたよ」という言葉を思い出す。

そっかぁ...心配してくれてたんだ。

じゃあ、いっぱい謝罪しなきゃね。

咲野藍

ごめんなさい。

私はその場で深く深くお辞儀をした。

親友に。

東宮奈央

え...?

咲野藍

あの時、奈央に酷いことを言ってしまった。

咲野藍

心配してくれてた奈央を突き放してしまった

咲野藍

本当にごめんなさい

これで許されるようなことじゃないことはわかっている。

東宮奈央

ふふ

奈央が急に笑った。

久しぶりに見た奈央の笑顔。

東宮奈央

謝るなんて藍ちゃんらしくないよ

東宮奈央

おかえり

東宮奈央

藍ちゃん

咲野藍

...っ、ただいま!

私は柄にもなく小粒の涙を出した。

あぁ...奈央と仲良く話すのは久しぶりだ...。

なんというかあいつらより頭がいいから、心が洗われる。

咲野藍

もし良かったら

東宮奈央

咲野藍

親友のままでもいい?

私はずっと奈央と親友のままでいたかった。

この先、親友と呼べるのは奈央しかいない気がする。

あいつらは、どちらかというと仲間という感じだ。

東宮奈央

もちろんだよ!

東宮奈央

これからもずっと親友だよ!

東宮奈央

藍ちゃん!

咲野藍

うん!

ようやく、親友との大喧嘩は収束した。

先輩、大好きです。

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