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ガシャンッ——
割れたコップの破片が、 床に散らばっていた。
透明な欠片が、 朝の光を反射している。
莉犬
震えた声。
莉犬は慌ててしゃがみ込み、 破片を拾おうと手を伸ばす。
ジェル
ジェルがすぐに腕を掴んだ。
ジェル
ななもり。
莉犬
でも、 その目は明らかに 床ではなく——
俺の隣を見ていた。
さとみ
莉犬
さとみ
空気が、 また止まる。
ジェルが目を閉じ、 ななもり。が小さく息を吐いた。
莉犬
言葉が続かない。
さとみ
隣を見る。
そこには、 椅子に座って笑っているころんがいた。
ころん
さとみ
思わず笑う。
でも、 誰も笑わなかった。
ころん
ふと、 ころんの声が少しだけ低くなる。
ころん
さとみ
時計を見る。
7時28分
さとみ
鞄を掴み、 玄関へ向かう。
莉犬
呼び止められて振り返る。
莉犬は、 何か言いたそうに唇を噛んでいた。
でも結局、 小さく笑って言った。
莉犬
さとみ
ジェル
ななもり。
玄関のドアを開ける。
外の空気は、 少し冷たかった。
さとみ
ころん
当たり前みたいに、 隣に並ぶ。
二人で坂道を歩く。
ころん
さとみ
ころん
さとみ
いつものやり取り。
……のはずなのに。
通学路ですれ違う人たちが、 みんな俺を見ていた。
一人で笑って、 一人で話しているように見えるんだろう。
ころん
さとみ
ころん
さとみ
ころん
その声だけが、 少し寂しそうだった。
校門が見えてくる。
その前で立ち止まっている 人影があった。
るぅとだった。
一人で、 じっとこちらを見ている。
さとみ
るぅとの視線は、 俺じゃない。
俺の隣へ向いていた。
るぅと
小さく、 確かにそう呟いた。
さとみ
次の瞬間、 るぅとは目を伏せた。
るぅと
そう言って、 先に校舎へ歩いていく。
ころんは、 何も言わなかった。
ただ、 少しだけ笑っていた。
さとみ
ころん
春の風が吹く。
でも、 胸の奥だけが、 妙に冷たかった。