テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
28
51
130
教室の窓から、 朝の光が差し込んでいた。
ざわざわとした声。 椅子を引く音。 笑い声。
いつも通りの教室。
……なのに。
僕の前の席だけ、 ずっと静かだった。
そこは、 ころにぃの席だった場所。
今は別の生徒が使っている。
それだけのこと。
それだけのはずなのに、 未だに目が行ってしまう。
莉犬
明るい声と一緒に、 莉犬が隣の席へ座る。
るぅと
莉犬
るぅと
莉犬
笑ってごまかされる。
……莉犬は、 こういう時に優しい。
でも、 その優しさが痛い日もある。
教室の後ろが、 少し騒がしくなった。
女子生徒A
男子生徒B
るぅとは、 視線を上げなくても分かった。
来たんだ。
さとみ
さとみくんの声。
そして——
ころん
……聞こえないはずの、 もう一つの声。
さとみくんは、 誰もいない隣の席へ鞄を置いた。
当然のように。
女子生徒A
男子生徒B
るぅとは、 机の下で拳を握った。
莉犬
莉犬の声が、 少しだけ沈む。
るぅと
大丈夫じゃない。
でも、 そう言うしかない。
さとみくんが、 こちらへ歩いてきた。
さとみ
るぅと
さとみ
ころん
さとみ
笑う。
一人で。
……違う。
僕には、 一瞬だけ見えた。
さとにぃの隣で、 ころにぃが肩をすくめて笑っていた。
るぅと
息が止まる。
ほんの一瞬。
瞬きをしたら、 もういなかった。
莉犬
るぅと
視線を落とす。
見えた。
今、 確かに。
でも、 認めたら壊れる。
授業開始のチャイムが鳴る。
先生が入ってくると、 教室の空気は少しだけ静まった。
先生
名前が呼ばれていく。
そして。
先生
教室が、 しんと静まる。
先生は、 一瞬だけ気まずそうに咳払いした。
先生
誰も笑わない。
さとみくんだけが、 静かに答えた。
さとみ
教室中の視線が、 さとみくんに集まった。
先生
さとみ
るぅとは、 爪が食い込むほど手を握った。
どうして。
どうして誰も、 前に進めないんですか。
昼休み。
僕は一人で屋上へ向かった。
風が強い。
扉を開けると、 先に誰かがいた。
フェンスにもたれて、 空を見ている背中。
るぅと
るぅと
思わず声が漏れる。
その人影が、 ゆっくり振り向いた。
でも——
そこにいたのは、 見知らぬ男子生徒だった。
男子生徒
るぅと
すぐに扉を閉める。
呼吸が浅い。
見間違い。
ただの見間違い。
なのに。
耳元で、 懐かしい声がした気がした。
ころん
るぅとは、 その場で動けなくなった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!