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玲香

あーあ、退屈だなぁ

玲香

いつになったら退院出来るんだろう…

玲香

学校に戻ったら、修学旅行もあるし、職場体験も楽しみ!

玲香

香穂ちゃんと一緒のところに行きたいな〜!

看護師

玲香ちゃん、血圧測りますよー、腕出して?

看護師

まーた、昼ごはん残して…。ちゃんと食べないと元気になれないよ?

玲香

だって、お腹いっぱいなんだもん!

看護師

でも、もうちょっと食べられるようにしてね?

看護師

はい、血圧は正常ね!じゃ、また夕方に来るねー

玲香

はーい、またね

真紘

ったく、あのおばさん玲香をデブにさせようとしてる

真紘

あの人、なんかオレ嫌いだな!

玲香

もう!起きてたんなら声かけてよ!

病室の隣になったのは真紘くん。私より2歳年下の男の子で、なにかと私を気遣ってくれる優しい人。

真紘

いやあ、オレ明日手術だからさ、体力使わないように

真紘

今日あんまり動かずに寝てろって言われたんだ…

玲香

そうなんだ…。なんかごめんね……

真紘

いや、いいよ!お前と話すのけっこう好きだし!

玲香

…好き?

真紘

いや、これはその…!同じくらいの年の人居なかったから

真紘

…隣が玲香、で良かったって言うか、その…

玲香

ふふ、ありがとう。私も隣が真紘で良かった

玲香

それよりも、もう寝た方がいいんじゃない?

真紘

…そうだな。そうする。

真紘

なあ、玲香…。

玲香

ん?なに?

真紘

もし明日、手術が成功したらさ…

真紘

…いや、なんでもない。おやすみ!

玲香

…?おやすみ!

私は以前、真紘のお母さんに聞いていた。真紘は重い病気を患っていて手術をしても完治は不可能だと。

翌日

看護師

真紘くん、起きてる?

真紘

ああ、起きてるよ。

看護師

そろそろ手術室に向かうから、準備しておいてね。

真紘

分かった。

玲香

真紘、頑張ってね。

真紘

なあ、玲香。もし、オレの手術が成功しなかったら

真紘

オレのベッドの枕を見てほしい…。頼む。

私は彼のあんなに真剣な眼差しは初めて見た。きっと彼が一番症状が重い事に気づいてるはず。だからこそ。

玲香

うん。約束する。…行ってらっしゃい!

そして、真紘の手術は行われた。私もベッドの上で成功を願い続けた。

それから、10時間以上の手術を彼は受けた。私が寝ている時に手術は終わったようだった。

玲香

…まひ、ろ…。

隣のベッドはシーツも布団も綺麗にたたまれていた。それで、私は全てを察した。枕の下を見る。

玲香

手紙…。

「これを見ているということはオレはもうこの世にいないのか、はは、実感がわかないな…。まだ、生きてるし」

「オレ、隣に入院してきた女の子が大好きだったんだ。まるで…虹みたいな人でさ。」

「なんか儚くて、でも綺麗で何度も見たくなるような」

「そんなこと本人に言ったら、「ロマンチストか!」って言われそうな気がするけど」

「手紙なら正直になれる。オレは玲香が好きだ。大好きだ。」

「オレ虹を人生で1回も見たことなくて、いつか玲香と見られたらなって」

「そしたら、眩しすぎて見れない気がするけど」

「この手紙が読まれずに玲香に直接「好き」って伝えられますように。真紘」

玲香

まひろ…。私も好き…だ…よ…

玲香

なんで…なんでよ…。

私の目には涙が溢れていた。視界がぼやけてしまうほど泣いた。

玲香

かえってきてよ…まひろ…。

トントン

真紘

ただいま。かえってきたよ

玲香

…!まひろ…!

その瞬間、私は真紘に抱きついていた。彼の温もりが真実を告げていた。

真紘

…手術、終わったよ。成功した。戻ってきた。

玲香

…なんで?

看護師

真紘くんに頼まれて、ね。

看護師

ベッドとかあえて綺麗にしておいたの。

真紘

そーゆうこと。

玲香

…バカ…。

真紘

…心配させたな。ごめん。

真紘

…ねぇ、玲香にちゃんと気持ち、伝えたいんだ。

看護師

分かった。じゃあ私は席を外すわね。じゃあね。

真紘

玲香、ただいま。オレこれまでもこれからも

真紘

玲香が大好きだ!

玲香

私も真紘が大好きだよっ…!

その時、私と真紘を祝うように空には虹がかかっていた。

真紘

…やっぱり、眩しいな。

真紘はその後、手術とリハビリを繰り返し、病気を完治させた。

私と真紘は晴れて退院し、同じ高校に通い始めた。

私は、真紘とこれから色んな虹をみたいと心の中で思った。

オレは、玲香という虹が消えないように守り続けると心に誓った。

そんなひと夏の思い出。

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