きっかけは王族主催の演奏会だった
才能あふれる音楽家たちは惜しみなくその腕を振るい、聴衆を魅了していた
〜〜♪ 〜〜♪♪
天使
天使は人間たちに気づかれないよう木の上で音色に聞き入る
〜〜♪♪ 〜〜♪♪♪
天使
そして最後に締めくくったのは──
バイオリンとピアノの演奏
奏でているのは気品のある年端のいかない二人の子ども
大人顔負けの美しいハーモニーだった
天使
思わず拍手を送りそうになったが自重する
天使
演奏を披露していた子どもたちがその国の王女と王子だと、あとから知った
朝
チュンチュン
窓から小鳥の鳴き声がした
ぱちり
天使
天使
天使
ズキーン
上半身を起こそうとした瞬間、痛みが走り回った
天使
天使
天使
あまりの痛みに悶絶しそうになる
王子
王子
ぎゅっ
腕を回され抱きよせられた
天使
あれから10年以上が経った
天使
天使
ピアノを奏でたあの時の子どもは──
立派な青年になり、今こうしてベッドを共にしている
王子
天使
午後3時
王子
天使
王子
王子
王子
盆にオムレツケーキと紅茶が載っていた
王子
にこ
天使
オムレツケーキを口に入れる
もぐもぐ
天使
王子
天使
王子
ぎゅっ
天使
王子
天使
幼い頃ピアノはあまり好きではなく、レッスンの時間はかなり苦痛だった
二つ上の姉も同じだったのだろう
バイオリンを奏でる時の顔は憂うつそうにしていた
間違えれば指摘され、何度もやり直される
嫌で嫌で仕方なかった
自分からやりたかったわけじゃない
王妃であり、見栄っ張りの母の意向だ
そんなあるとき、王族主催の演奏会が開かれることになった
一瞬逃げようかと思ったが、……やめた
すぐに見つかって連れ戻されるのが落ちだろう
出番を待つ間、なにげなく1本の木を見上げた
木の上に人影がいた。音色に耳を傾けている
目をこらすと、純白の翼を持った天使だった
子どもながらに美しいと思った。その見目麗しい姿に心を奪われる
俺と姉の出番になり、俺はピアノの前にすわった
演奏が始まる
〜〜♪ 〜〜♪♪♪
ピアノとバイオリンの調和
最後まで奏でると聴衆から拍手喝采が送られた
だが、それよりも────
あの天使にちゃんと聞いてもらえたかどうか、気がかりだった
それ以来、レッスンの時間になってもさほど苦痛は感じなくなった
自分のピアノを聞いてほしい
そんな思いで弾いていた
そして、ときどき──
ピアノを弾いていると、天使がこっそり聞きにやってくるようになった
それがなによりも嬉しくて、“何か“が満たされていく
王子
天使
チュ
天使
強引に唇を奪われた
王子
天使
王子
王子
天使
顔が真っ赤になる
王子
天使
王子
天使
時間が許す限り何度もいかされた──
コメント
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可愛い(⸝⸝- -⸝⸝)