秘密にしておこう

ドキドキしながら電車を待つ

息を吐くたび白くなって消えていく

冬は…

なんだか乙女になれる

なんちゃって

あれは秋だった

昨日実は…

宿題を机の中に置いてきました☆

フッ

電車がゆっくりと止まり

ドアから少し人が出ていく

いつもは乗るのも大変な電車

1本早いだけなのに乗るのもスムーズ！

そう考えながら、辺りを見回していた

キラキラ眩しく映った

ひとりの男子から目が離れない

ひとめぼれってほんとにあるんだ…

あれから数ヶ月

季節は冬になってた

あたしは毎日早めの電車に乗っている

もちろん

宿題を忘れたわけじゃなく

あの人を見てたくて

ドアの鏡越しに見てみたり

横向きで目だけで見てみたり

一度も会話なんてしたことない

このままだといつか会えなくなる

本屋で悩む事30分

クリスマスが近くなるこの時期

並んでいる手作りの本とにらめっこ

ぶつぶつ言ってても切りがない

クッキーならできそうな気がして

お菓子の本を適当に取ってレジに持っていった

買ってきた本と格闘する日々…

お菓子なんて初めてで

右も左も上も下も

ついでに斜めも分かんない

投げ出したい

1時間でできるはずのクッキーは

毎回3時間はかかった

時計は深夜を回ってる

生地は余ってるから

焼くだけだしあと一回

パクッ！

同時にあくびが出る

クリスマスより前の前の前

電車を降りたら渡すんだ

ごくり

パクッ！

もぐもぐ

もぐもぐ

いろんな葛藤で

寝不足になった

ドキドキしながら電車を待つ

チェックを何回もしてる

頑張って作ったけど

もらってくれるなんて限らない

電車が来るまで後1分…

心臓がやけに響いた

緊張が凄い

みーちゃんの彼氏の先輩の凄さを知った

ドアが開いて中に入る

そこには…

急いで電車を降りた

ポロポロと涙が溜まっては零れ落ちる

目の前がぼやけて見えない

ちょっとまだ

気持ちの整理がつかないや

ぬぐってもぬぐっても

全然止まらない

あぁ…

あたし

何もできずに

失恋したんだ

どうしよっかな

秘密にしておこっかな

それとも

ふたりに話して

慰めてもらおうか

今はまだ…