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夜は冷える。
人が多いこの場所も、その多さとは関係なく 寒さは厳しかった。
まるで人の心の冷たさを 反映しているようで。
俺には長い間お付き合いをしている女性がいる。
今日そんな彼女との大事な日 …にしたいと思った。
いろいろ調べて準備はぬかりなく。
レトルト
女性A
レトルト
ビルの間の小さな通路。
少し奥まったところに店を構える、こぢんまりとしたバーだ。
『BAR COW』
看板にはそう書かれている。
女性A
女性A
レトルト
レトルト
明かりこそついているものの、 薄暗くて地面はよく見えない。
俺は彼女の手を取って店に入る。
カラン…
マスター
店に入ると、渋い声の眼鏡をかけたマスターがこちらをちらっと見た。
レトルト
マスター
一番奥の席に案内される。
女性A
彼女がこそっと俺に耳打ちする。
女性A
レトルト
レトルト
少し得意げにそう言ってみせる。
それを見て、彼女はフッと笑って 正面に置かれた酒の瓶を眺めていた。
マスター
レトルト
女性A
女性A
レトルト
女性A
レトルト
俺は棚の隅にある丸い瓶を指した。
レトルト
レトルト
マスター
安牌かな…と思ったけれど 初手ならこのくらいでいいだろうな。
マスター
マスター
女性A
レトルト
カクテルを飲みながら他愛ない話をする。
俺がここでしたいこと、それは―
グラスが空になったのを確認し
マスターに次のカクテルを頼む。
レトルト
マスター
シェイカーを振る一定の動きを 何となく見ながら
俺は心の準備をしていた。
マスター
女性A
女性A
驚く彼女の顔を横目で見る。
さすが、バーテンダーだ、わかってる。
レトルト
レトルト
女性A
レトルト
レトルト
女性A
レトルト
レトルト
女性A
緊張で震える手を抑えながら 思い切って告白する。
レトルト
しばらく黙ったあと、 彼女は何も言わず俺に向かって微笑んだ。
これはOKってこと?
幸せ…幸せだ…
マスター
俺たちの雰囲気を察したのか
マスターも笑いながら軽く拍手をする。
俺たちの他にはあまり客がいなく
反対側の隅に一人、男性が座っているだけだった。
レトルト
ぼそっとそう呟き 俺は彼女の手を取って店を出た。
TO BE CONTINUED…