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夜は冷える。

人が多いこの場所も、その多さとは関係なく 寒さは厳しかった。

まるで人の心の冷たさを 反映しているようで。

俺には長い間お付き合いをしている女性がいる。

今日そんな彼女との大事な日 …にしたいと思った。

いろいろ調べて準備はぬかりなく。

レトルト

あそこだよ

女性A

あのちっちゃい看板?

レトルト

そう

ビルの間の小さな通路。

少し奥まったところに店を構える、こぢんまりとしたバーだ。

『BAR COW』

看板にはそう書かれている。

女性A

COW…牛…?

女性A

面白い店だね

レトルト

変わった名前だよね

レトルト

入ってみようよ

明かりこそついているものの、 薄暗くて地面はよく見えない。

俺は彼女の手を取って店に入る。

カラン…

マスター

いらっしゃいませ

店に入ると、渋い声の眼鏡をかけたマスターがこちらをちらっと見た。

レトルト

予約してましたレトルトですけど…

マスター

レトルト様ですね、あちらのお席へどうぞ

一番奥の席に案内される。

女性A

ねぇ…

彼女がこそっと俺に耳打ちする。

女性A

予約してたんだね、すごいじゃん

レトルト

えっ?ああ…

レトルト

まあね!

少し得意げにそう言ってみせる。

それを見て、彼女はフッと笑って 正面に置かれた酒の瓶を眺めていた。

マスター

お客様、何になさいますか?

レトルト

何がいいかな…Aちゃんは何にする?

女性A

私…バーってあんまり来なくて詳しくないの…

女性A

何が美味しいのかな…

レトルト

甘いもの好きだったよね?

女性A

うん

レトルト

じゃあ…

俺は棚の隅にある丸い瓶を指した。

レトルト

ゴディバでなにかお願いします

レトルト

あと、ナッツと生ハムとモスコミュールを

マスター

かしこまりました

安牌かな…と思ったけれど 初手ならこのくらいでいいだろうな。

マスター

こちら、ゴディバミルクです

マスター

そしてモスコミュール

女性A

わ…かわいい…

レトルト

チョコだから甘くて美味しいと思うよ

カクテルを飲みながら他愛ない話をする。

俺がここでしたいこと、それは―

グラスが空になったのを確認し

マスターに次のカクテルを頼む。

レトルト

サイドカーで

マスター

かしこまりました

シェイカーを振る一定の動きを 何となく見ながら

俺は心の準備をしていた。

マスター

こちら、サイドカーです

女性A

えっ?

女性A

私、頼んでないけど

驚く彼女の顔を横目で見る。

さすが、バーテンダーだ、わかってる。

レトルト

ごめん、俺が頼んだ

レトルト

どうぞ

女性A

でも…

レトルト

ねぇ知ってる?

レトルト

カクテルって、言葉を含むものがあるんだって

女性A

花言葉みたいな?

レトルト

そう

レトルト

このカクテル…ずっと一緒にって意味なんだよ

女性A

……

緊張で震える手を抑えながら 思い切って告白する。

レトルト

俺と…結婚してください…!

しばらく黙ったあと、 彼女は何も言わず俺に向かって微笑んだ。

これはOKってこと?

幸せ…幸せだ…

マスター

…おめでとうございます

俺たちの雰囲気を察したのか

マスターも笑いながら軽く拍手をする。

俺たちの他にはあまり客がいなく

反対側の隅に一人、男性が座っているだけだった。

レトルト

嬉しいよ…

ぼそっとそう呟き 俺は彼女の手を取って店を出た。

TO BE CONTINUED…

恋愛なんてしたくないのに。

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