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無能にしかできない仕事

無能にしかできない仕事

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1

無能にしかできない仕事 第1話

♥

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2021年06月04日

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ヘイジの母

アンタ、またゲームして…

ヘイジの母

いったいいつまで無職でいるつもりなの?

ヘイジ

(好きでニートなんじゃない)

ヘイジの母

黙ってたってわからないでしょ

ヘイジ

…………

ヘイジの母

はあ…

ヘイジの母

せめて就活くらいはしてちょうだいよ

ヘイジ

…うっせえ、ババア!

ヘイジ

とっとと出てけよ!!

ヘイジの母

なんなのよ、その言い方は!

ヘイジの母

出てけなんてのはねえ

ヘイジの母

就活サイトでも見てから言いな!

ヘイジ

…ほら、見てる!

ヘイジの母

見てるだけじゃダメだからね

ヘイジの母

ちゃんと応募しなさいよ

ヘイジ

わかってる、出てけよ!

ヘイジの母

はいはい…

ヘイジ

ったく、ほんとうるーせなぁ

ヘイジ

(俺がニートなのは俺のせいじゃない)

ヘイジ

(新卒の時)

ヘイジ

(俺は就活を他の奴より頑張ったんだ!)

ヘイジ

(でも全然内定貰えなくて…)

ヘイジ

(挙句に…)

面接官

うーん…君ねえ…

面接官

はぁ…

面接官

ここまでお話ししていて分かったけど

面接官

君、無能だね

ヘイジ

え…?

面接官

弊社には君みたいな人材は

面接官

要らないんですよ

ヘイジ

確かに俺は不器用だけど…

ヘイジ

一生懸命やってるのに

ヘイジ

あんなこと言われたのは生まれて初めてだったよ!!

ヘイジ

(…あれ以来、面接になると)

ヘイジ

(体がすくむようになって…)

ヘイジ

(面接を当日ドタキャンするようになった)

ヘイジ

全部、あの面接官のせいだ!

ヘイジ

…でもあれ、圧迫面接かも

ヘイジ

ほかの奴らは、もしかして耐えられたのか?

ヘイジ

みんなが出来て、俺にだけできないんだったら…

ヘイジ

やっぱりあの面接官の言うように

ヘイジ

俺は無能なんだ、ダメなんだ…

ヘイジ

今更就活しても無駄なんだよ…っ

ヘイジ

どうせどこも、俺なんか雇ってくれない

ヘイジ

こんな就活サイト見たって――

カチッ

ヘイジ

あれ?

ヘイジ

…なんだ、これ

『どんな方でも雇います!』

『1日実作業3時間』

『月収30万から』

『寮完備!』

ヘイジ

すげえ、好条件じゃん!

ヘイジ

どんな仕事なんだ…雑務?

ヘイジ

そんな美味しい話…

ヘイジ

(あったとして、また面接があるだろうし…)

ヘイジ

(でも、このままだとババアがうるさい…)

ヘイジ

どんな方でも、か…

ヘイジ

よくわからないけど

ヘイジ

無能でもいいってことだろ

ヘイジ

こんな好条件を逃すわけにはいかない!

ヘイジ

履歴書を送信してっと…

ヘイジ

どうか、書類だけでも通過しますように!

ヘイジ

えっ、昨日のとこ返事来てる

ヘイジ

…1次審査合格!?

ヘイジ

面接の希望日をくれって…

ヘイジ

(でもやっぱり面接か…)

ヘイジ

(あの時のトラウマが…)

ヘイジ

(…やめようかな)

ヘイジ

(俺は嫌だって言ったのに)

ヘイジ

(あのクソババア、面接行け行けって…)

ヘイジ

(うう、身体が震える)

ヘイジ

(やっぱりバックれればよかった)

山本

お待たせしました

山本

私がこの面接を担当します

山本

山本と申します

山本

どうぞよろしくお願いいたします

ヘイジ

う…うん…よろしく…

山本

はは

山本

緊張しないで大丈夫ですよ

山本

面接なんて思わず

山本

お喋りしに来たと思っていただけたら…

ヘイジ

あ、はい

山本の言葉通り、

特別なことは何も聞かれず、

世間話のような面接が続く

ヘイジ

あ、それ俺も好きです!

ヘイジ

あの番組、テンポがよくって

山本

はははっ、気が合いますねぇ

ヘイジ

(山本さん、優しいな)

ヘイジ

(俺がニートだからって馬鹿にしないし!)

ヘイジ

(最初は緊張したけど)

ヘイジ

(今はもう打ち解けてる!)

山本

それでは、職場見学へ行きましょうか

ヘイジ

うん!

山本

こちらが弊社の作業場になります

ヘイジ

ここが…?

山本

はい

ヘイジ

(工場みたいだけど…)

ヘイジ

(何だあのごちゃごちゃに積まれてる袋…)

ヘイジ

(真空パック?)

ヘイジ

(中身は見えないけど…)

ヘイジ

(デカいなあ)

ヘイジ

(人ひとりくらい入りそう…)

山本

この機械を動かしたり

山本

荷物がきちんと積まれているかの

山本

チェックを行ってもらうんですよ

ヘイジ

そうなんすね

ヘイジ

(こんな規模のを動かすとかすごいなぁ…)

ヘイジ

ん…?

ヘイジ

(あの袋だけ、なんかはみ出してる…)

ヘイジ

(あれって…)

ヘイジ

(人間の腕じゃ…)

ヘイジ

(…いやいや、マネキンとかそういうオチだろ)

ヘイジ

(でも…爪があるし…)

ヘイジ

(手の甲に痣がある…)

ヘイジ

(まさか本物…?)

ヘイジ

…………

山本

いかがですか?

ヘイジ

あ、えっと…

山本

他社に比べて

山本

工場設備には少々自信があるんですよ

山本

というのも

山本

機械の操作を簡略化し

山本

誰にでも扱えるよう独自開発をしていまして…

ヘイジ

(山本さん、笑顔だ)

ヘイジ

(面接の時と変わってない)

ヘイジ

(何もおかしなことがないってことだよな…?)

山本

明日から、ここが

山本

あなたの職場になります

ヘイジ

え?

山本

面接時点で決めていました

山本

あなたに是非

山本

うちで働いていただきたい

ヘイジ

(内定、もらえた…?)

無能にしかできない仕事

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コメント

3

ユーザー
ユーザー

完全に明日は死体ですありがとうございました😄

ユーザー
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