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【炎上系】なぜ配信者たちは“彼女”に呪われたのか?

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【炎上系】なぜ配信者たちは“彼女”に呪われたのか?

1 - 【炎上系】なぜ配信者たちは“彼女”に呪われたのか? 第1話

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128

2021年06月20日

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【現在】

七隈英太

まだ痒いですか、首藤さん?

七隈英太

掻くのはもう我慢しましょう

七隈英太

ほら、全身血だらけになってる

七隈英太

その瘦せ方も普通じゃないですよ

七隈英太

きっと、呪いのせいです

首藤昴

大丈夫、心配ねえよ

首藤昴

むしろ、悪霊に呪われてる配信者なんてバズる要素しかない

首藤昴

それに、相手は夏樹清海ちゃんの霊だぜ?

首藤昴

再生数を稼ぐ絶好のチャンスだろ

七隈英太

(首藤さんの言う通りだ)

七隈英太

(再生数を伸ばさないと生活は立て直せない)

七隈英太

(そもそも、俺は“あいつ”に弱みを握られている…)

七隈英太

…じゃあ始めますよ

七隈英太

準備はいいですか?

首藤昴

もちろん!

首藤さんは笑顔を作り、カメラの前にどっしりと座った。

現時点で、視聴者数は3000人を越えている。

生放送の開始まで、あと5秒──。

首藤昴

どーもー、呪われ系DeTuber・スバっちです!

首藤昴

今回は生配信ということで

首藤昴

たくさんの方にお越しいただいてるみたいですね

首藤昴

てか、うおっ!3600人かよ!?

首藤昴

いま目の前にカメラを回してくれてる友達がいるんですけど

首藤昴

彼もめちゃくちゃ驚いてます笑

昨日まで寝たきりだったとは思えないほど、元気な声。

その不自然さを、指摘する勇気はない。

首藤昴

じゃあ早速、これまでの流れをおさらいしますか

首藤昴

4日前の配信で、都内某所の廃墟に潜入してみたんですが

首藤昴

それから異変がありまして…

首藤昴

原因不明のかゆみで全身が真っ赤になったり

首藤昴

悪夢のせいで全然眠れなくなったり

首藤昴

ずっと誰かから見られてる感覚がしたり

首藤昴

あっ、クマちゃんもヤバいんだよね?

俺は指向性マイクでも拾えるように大きな声で答える。

七隈英太

はい。寒気とか高熱とか

七隈英太

あと俺も、誰かから見られてる感覚が…

首藤昴

うーわー、もう絶対呪われてるじゃん俺ら!

首藤昴

元アイドルの霊だからってナメてたわ!

首藤昴

…はい、ということで今回は降霊企画です!

首藤昴

視聴者さんにね、降霊術とかに詳しい人がいまして

首藤昴

その人が教えてくれた儀式を試してみようかなと

首藤昴

あの廃墟で自殺した清海ちゃんの霊を呼び出して、

首藤昴

なんで俺たちを呪ってんのか

首藤昴

直接聞いてみようと思いますっ!

首藤昴

いやー、我ながらイカレてんなこの企画笑

打ち合わせ通りに、手持ちカメラを床下へと向ける。

アルミ製の大皿の上に、枯れかけた花束が置かれていた。

その傍らにはライターと着火剤。

首藤昴

えー、いま映ってるのは

首藤昴

自殺現場に供えられてた花束です

首藤昴

いやいや、不謹慎じゃないって!

首藤昴

今からやるのは神聖な降霊術なんだから笑

首藤昴

…じゃあ、儀式の手順を読み上げますかね

首藤昴

えーっと、まずは霊の残留思念が染みついているもの

首藤昴

今回は花束を、部屋の中央で燃やします

首藤昴

窓を少し開け、炎に向かって霊の名前を呼びかけます

首藤昴

そしたら電気を消して、押し入れに隠れます

首藤昴

すると窓から霊がゆっくりと入ってきて

首藤昴

対話が可能になると…

首藤昴

どうしよう、めちゃくちゃ怖くなってきたんだけど笑

コメント欄には、すでに地獄が溢れかえっている。

『不謹慎にもほどがあんだろ。そうまでして再生数稼ぎたいのかね』

『清海ちゃんのファンは全員怒ってます。今すぐやめてください』

『そろそろ夏樹の事務所から訴えられるんじゃね?』

『早く呪い殺されればいいのにw』

『お前ら、本当に生きてる価値ないよ。死ねばいいのに』

『さっさと死ね』

画面の中の地獄など見えてもいないように、

首藤さんは高らかに宣言した。

首藤昴

じゃあ皆さん、いよいよ儀式開始です!

燃え始めた花束に、

何度も「夏樹清海」と呼び掛ける。

それから俺たちは電気を消して、

慌てて押し入れへと逃げ込んだ。

どれくらいの時間、息をひそめていたのだろう。

新調した暗視カメラに向かって、首藤さんが小声で呟いた。

首藤昴

…何か、聴こえない?

首藤昴

窓が叩かれてる、よな…

七隈英太

まさか、ここは2階ですよ

首藤昴

いや、でもどんどん音が大きく…

言い終わらないうちに、

窓ガラスが粉々に砕け散る音が響き渡った。

“何か”が、室内に侵入してきたのだ…。

ひたっ、ひたっ。

『は?足音聴こえるんだけど』

ひたっ、ひたっ。

『自作自演なのがバレバレ』

ひたっ、ひたっ。

『もう1人協力者がいるに決まってんだろ』

???

…………ない

女が近付いてくる。

それにつれて、言葉も少しずつ明瞭になってくる。

???

…………さ、ない

???

…ゆるさない

???

ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない

???

ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない

カメラを取り落としそうになった。

全身から汗が噴き出す。

呼吸も満足にできない。

七隈英太

し、首藤さん!

七隈英太

早く逃げ…

肩をゆすっても、反応がない。

暗視カメラ越しの緑色の世界で、

目の前の男が口の端を吊り上げた。

首藤昴

…………あはっ

無防備に開いた口許からよだれを垂れ流し、

両目からどろどろとした液体を溢れさせ、

「女の声」で壊れたように笑うその男を、

自分の先輩だとは認めたくはなかった。

首藤昴

あはっ、あははははははっ!

首藤昴

成功した!成功した!成功した!

何かに憑りつかれてしまった首藤さんが、

こちらに手を伸ばしてくる。

七隈英太

うわあああああああっ!

七隈英太

来るなっ!来るなああああっ!

必死に抵抗する俺を面白がって、コメント欄は加速する。

その中に、見覚えのある名前があった。

オリガミ

『残念でした。あなたはもう逃げられません』

オリガミ

『最後まで楽しみましょうね』

七隈英太

(そうだ、こいつだっ!)

七隈英太

(こいつと関わったせいで、俺たちは…)

ここ数日間の記憶が、脳裏に蘇ってくる。

【炎上系】なぜ配信者たちは“彼女”に呪われたのか?

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コメント

6

ユーザー

不謹慎だけど面白い笑

ユーザー
ユーザー

オリガミ……折り紙???w

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