アルストリア戦記　―ゲームに侵略されるセカイ―

アルストリア戦記

それはかつて、日本中のプレイヤーを熱狂させたＭＭＯゲームだった。

最大24人からなるレイドなども実装されており、また様々な難度が用意されていたため、ストーリーはさっさと終わらせ、高難度のレイドをメインに腰を据えるプレイヤーも多かった。

ストーリーも高く評価されていたが、しかし物語もクライマックスというところで、アナウンスもなしに突然サービスが終了してしまった。

もちろん、それを受けて日本各地のプレイヤーからは、元売りの会社に問い合わせが殺到。

しかし、元売りからの明確な返答もないまま、母体となった会社が倒産。

アルストリア戦記により、多大なる利益を出していたというのに、突然サービス終了。

そして、会社の倒産に、様々な憶測が飛び交った。

かの2025年の７月に起こったそれは、2035年の現在においても、ゲーム史に残る事件として、いまだに記憶に残っているプレイヤーも多い。

そして2035年の７月。

それは現実への侵食を始めた。

ミラはそのような言葉を残してルームを退室したのであった。