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TTRJ

【無料モニター募集中】

初めまして。時間旅行会社のTTRJと申します。
ご自身の過去や未来への旅にご興味をお持ちの30歳を対象にご案内を送信しております。

本日、24時間の時間旅行無料モニター募集中!
皆さまのご応募をお待ちしております。

トシ

(何これ。詐欺かイタズラ?URL無しってことは返信しろってことか?はいはい、無視してブロック)

翌日

トシ

TTRJって会社知ってる?

ハス

聞いたことない

トシ

だよな
ググってもソレっぽいもん見つからなかったし

ハス

うちの会社の奴らに聞いてみる?

トシ

いや…

トシ

実はそこから無料モニター募集の案内が来てさ

ハス

どんな?

トシ

時間旅行

ハス

おいおいおい真に受けてんのかよw
そんなの詐欺かイタズラだから無視しとけよー

トシ

いや、最初はそう思ったんだけど興味なくもないし

ハス

ガキか

ハス

絶対に返信したりURL踏んだりするなよ?

トシ

だな、ハスは大人になったよ

ハス

イヤミ?ひがみ?

トシ

両方w

ハス

まー仕事に没頭するのも良いけど、彼女でも作ってもっと人生楽しめよ

トシ

(彼女ね…)

トシ

いきなり変な話して悪かった
返事くれてありがと

トシ

・・・

1時間後

TTRJ

ご返信頂き誠にありがとうございます。

TTRJ

早速ですが簡単にご説明申し上げます。
無料モニターは過去か未来のどちらか24時間の時間旅行へ1度だけ行っていただきます。
行き先の日時は自由設定ですが、出生前や死亡後へは行けません。エラーが発生します。
現在に戻れないなどの不具合の報告はございませんのでご安心ください。

ご不明な点はございませんか?

トシ

トシ

ノーリスクって本当ですか?

TTRJ

はい。報酬はございませんがノーリスクです。

トシ

今の記憶のまま行けるんですよね?

TTRJ

もちろんです。

トシ

時間旅行中の24時間、当時の自分はどうなるんですか?

TTRJ

あなたと差し替えという形になり一時的に消去いたします。

あなたの旅行終了とともに、あなたが体験した24時間の記憶を戻しますので、当時のあなたには記憶の欠落や周囲とのズレなどの問題は生じません。

トシ

帰宅後の自分の記憶は?

TTRJ

残ったままです。
記憶以外のお持ち帰りはできませんので、それが時間旅行の唯一のお土産となります。

1時間後

僕はTTRJとオンライン契約書を交わした。

TTRJ

ご契約ありがとうございました。
旅行先は過去17歳の11/2午前0時、場所は自室。
ご出発の日時は今すぐ。
以上でお間違えございませんか?

トシ

はい

トシ

今すぐお願いします

TTRJ

かしこまりました。
準備はまもなく完了いたします。

トシ

(もしもこれがイタズラや詐欺だとしても後悔はしない)

トシ

(あの日のように…行動に移せなくてずっと後悔するのはもう嫌だ)

トシ

(どうせならとにかくやってから後悔しよう。失って困る大そうなモンなんか今の僕には無いんだから)

TTRJ

準備が整いました。

トシ

はい。よろしくお願いします。

TTRJ

いってらっしゃいませ。
どうぞ良い旅を。

トシ

!!!

ユキ

今夜のライブもめっちゃ盛り上がったね!

ハス

トシのお陰だな〜

ユキ

ん?起きたんじゃない?

トシ

・・・実家?

ハス

寝ぼけてるしw

ユキ

爆睡してたね。大丈夫?

ハス

今夜ホントに泊まっていいのか?

トシ

あ。

トシ

(本当にあの日だ。
ライブ後盛り上がっちゃって、スタジオから近いオレんちに泊まっていけってこの2人連れ帰って…。)

トシ

(バンド仲間だったあの頃のハスと…いつもチケット売りを手伝ってくれたユキ。)

ユキ

トシ??

ユキ

眠かったら無理しないでね。

トシ

いやボーッとしてただけ…

トシ

あ、もちろん泊まってって!

トシ

3人で朝までゲームするって話しだったじゃん♫

トシ

(あれ?あの時と同じセリフ、流れ。これって…この日をやり直せるってことか!?)

ユキ

そういえばトシんち泊まるの初めて。

ハス

マジで?お前らめっちゃ仲いいのに意外ー

ユキ

何度か来たけど…
って、そう思われてんの!?

ハス

てかマジで付き合ってないの?

トシ

なんでそうなるんだよ。

ユキ

だよ〜

ハス

あ!!

ユキ

油断してたって遠慮しないからね〜

トシ

あー!お前らオレ抜きでゲームやってる!

トシ

(あ、この懐かしい口調。久し振りなのに案外すんなり戻れるもんなんだ。)

ハス

気付くの遅!

ユキ

帰宅早々ベッドで寝落ちした人が言う?笑

ハス

待ってて、もうコイツ瀕死だから倒したら3人で続きやろー

ユキ

だね。ベッドから出てきなよ〜

トシ

(ユキのこの笑顔がまたこうして見れるなんて。)

トシ

(この当時はこんなに幸せな時間を当たり前に思って過ごしてた…)

トシ

(この時点のオレたちって、相思相愛だったんだよ。)

カチャカチャ カチッ、カチャカチャ

トシ

いつ終わるんだよー

トシ

おせーなぁー

ユキ

よし今だ!

ハス

クッソ!また良いとこ取られた!

ユキ

私のおかげでサックサク進むね♫

ハス

はいはい。

トシ

・・・

トシ

(こんなに仲良かったけこいつら…)

ユキ

ハス下手すぎない?笑

ハス

今日のライブのせい!

ハス

腕も指も力使い果たしたから!

トシ

お前らの方がよっぽど仲良いじゃん…

ユキ

え、なに?またそういう話し?

トシ

(やべ、つい…)

ハス

て言うか起きてからトシ変じゃね?

トシ

・・・

トシ

そう?

トシ

(結局付き合えずに卒業して、後からお互いに好きだったことを知り…
こちとら伊達に30まで後悔引きずってないからな。)

トシ

(ヤバい。当時より気持ちが重くなってる…)

ハス

マジで大丈夫?

トシ

オレ寝起き悪くて、ごめん。

ユキ

私もこんな時にごめんなんだけど、

ユキ

トイレどこ?汗

トシ

知らなかったっけ。案内するよ。

トシ

ハスちょい待ってて。

バタン

トシ

お待たせ

ハス

トシさー

ハス

オレにやきもち妬いてね?

トシ

妬く…って。

ハス

言っとくけどオレはユキのこと単なる友達としてしか思ってないから。

トシ

知ってる。

ハス

トシがユキを好きなことも知ってるし。

トシ

それさー、何でみんなにバレてるんだよ!?

ハス

修学旅行んとき、オレらグループを何故かユキグループが行く方向にお前が先導してったり〜

ハス

コソコソ、ユキの写真撮りまくってたのバレてますよーw

トシ

!!!

ハス

ガキか。

バタン

ユキ

電気の場所分からなくて手探りだったから遅くなっちゃった。

トシ

ごめん、オレ電気消してた?

ハス

でさ、2人に悪いんだけどオレ一旦うち戻るわ。

トシ

は?

ユキ

え?

ハス

ユキにいいとこ取りされ続けてる身にもなれよ!w

ハス

うち近いし、気分転換に一人で練習してくるわ。

トシ

(そうか。今気づいた。ハスがここで帰って、そして結局戻って来なかった理由。)

ユキ

ヘソ曲げすぎ。じゃあ3人で別のやろうよ♫

ハス

いやいや、せっかくここまで進めたんだからトシと続けろよ。オレの苦労が勿体無いじゃんw

ユキ

確かに苦労はしてたね〜

トシ

勝手だなー、好きにしろ。

トシ

(気を使ってくれたんだ…)

ユキ

おし進めとく!トシ頑張ろう!

トシ

うん。

トシ

(今思うと白々しいけど、当時は全然気づかなかった。ありがとなハス。)

ハス

じゃあまた後でねー

トシ

じゃあなー

ユキ

うんまたね〜、待ってるよ〜

トシ

・・・

トシ

どこまで進んだ?

ユキ

!!

トシ

ん?

ユキ

急に横にいたからビックリした!

トシ

どんだけゲームに集中してんだよ。

ユキ

・・・

トシ

ユキ?

トシ

・・・

そうだ。

あの時僕は何となく感じてたんだ。

トシ

ああ次ココか。

ユキ

うん

2人きりになってから ユキが緊張していることに。

トシ

眠くない?

ユキ

うん大丈夫。

トシ

オレは眠いけど。

ユキ

え〜!?今まで寝てたくせに〜笑

トシ

少し休めば?

ユキ

確かにちょっと疲れたかも。

トシ

ハス戻ってくるまで話しない?

ユキ

うんっ♫

トシ

・・・

トシ

さみ。ベッド戻ろ。

ユキ

何それ〜。話するんじゃなかったの?

トシ

いや普通に寒いから。

トシ

コート脱いでユキもこっちおいで。

ユキ

・・・

トシ

ヒーター全力なんだけど家がボロくてこれからもっと寒くなるんだ。

トシ

こっちで話しよ。

ユキはコートだけを脱ぎ

僕のいるベッドへ近寄ってきた

トシ

寒いでしょ。

ユキ

ちょっとね。

僕がそっと掛け布団を上げると、

驚くほど素直に ユキは僕の横に入ってきたんだ。

身体が触れないように距離を開けて。

トシ

上着も脱いでもっと近寄れば温かいのに。

ユキ

…大丈夫。

トシ

(警戒されてるなぁ…)

トシ

オレさ、

ユキ

うん?

トシ

ユキに見せたい物がある。

ユキ

なに?

トシ

宝物。

トシ

はい、これ。

ユキ

生徒手帳…

トシ

最後のページ開いてみて。

ユキ

あ!

トシ

修学旅行で盗撮した写真。

ユキ

盗撮…うん汗

トシ

ユキの笑顔が好きで。

トシ

ずっとそこに入れて持ち歩いてる。

ユキ

ありがと。

ユキ

嬉しい…

トシ

ねえ

トシ

抱きしめていい?

ユキ

・・・

ユキは小さく頷くと

一度上体を起こし 僕に背を向け上着を脱いだ。

振り向いたユキは

可哀想なくらいに緊張した様子で 隣に戻ってきた。

ユキ

え?

トシ

ガチガチに緊張してるから、なんかしないと、って思って。

ユキ

で、頭なでなで?

ユキ

優しいよね、トシ

トシ

普通だよ。

ユキ

そか。

トシ

オレ、

トシ

別にこういう経験ないわけじゃないんだけどさ、

ユキ

うん、知ってる。

ユキ

モテるし、女の人に慣れてるんだろうなって思ってる。

トシ

でも、ユキは違う。

トシ

ユキにはまだ手を出せない。

ユキ

ハス戻ってくるしね。

トシ

そうじゃなくて…

トシ

ユキが大切すぎるから。

トシ

(先に伝えたいことがあるからなんだよ。)

僕はユキの頭を撫でていた手を 布団の中に戻し

ユキの手を握った

ユキ

…トシの手、冷たい。

トシ

ユキの手は、温かいね。

トシ

ハスは多分戻って来ないよ。

ユキ

なんで?

トシ

あいつオレの気持ち知ってるから。

トシ

そんな気がする。

  僕はゆっくりとユキを抱き寄せて そっと背中に腕を回した

人は誰かをこれ程までに愛おしく思えるものなのか

愛おしくて愛おしくて…

力いっぱい抱きしめたかったけど ユキの華奢な身体が壊れそうだ

僕の跳ねる鼓動は 彼女にバレているかもしれない

気付けば30歳の思考なんか とっくに消えていて

ユキへの想いや衝動は 17歳そのもので

両手でユキの肩を掴み 優しく彼女を仰向けにする

長いキス

ユキは慣れていないようだった

そして何故か僕は 理由も分からず驚くほど震えていた。

ユキ

・・・

ユキ

ごめん、こういうの慣れてなくて…

トシ

嫌だった?

ユキ

ううん、嫌じゃない。

ユキ

トシだから。

トシ

そか。

ユキに回していた腕を離し その片手を彼女の胸の上に置いた

ユキは何も言わずに ただ僕を見ていたその目を閉じる

僕は彼女の胸に直接触れたくて

ブラウスのボタンに手を掛けたが ユキは相変わらず抵抗しない

その瞬間 僕の理性がやっと目を覚ました

トシ

ごめん。

ユキ

どうしたの?

トシ

何でもないよ。

トシ

(言ってることとやってることが違う…)

ユキ

・・・

トシ

(落ち着けオレ。ユキを何よりも大切にしろ。)

僕は一度彼女から離れ 目を瞑って深呼吸してみた

すると今度は ユキから僕の手を握ってきたんだ

ユキ

私、家の人が起きる前に帰るね。

トシ

(そうだ。この後ユキは帰って、お互いに意識しすぎて…。気まずくなって…。)

トシ

(イヤだ。このまま元の時間に戻ったら同じ後悔をまたしてしまう。)

トシ

今日休みだし、ここで寝ていきなよ。

ユキ

家の人に顔を合わせるの恥ずかしいから。

トシ

(どうやって引き止める?これじゃあの日と同じままだ。オレは、オレは…)

ユキ

トシ、今日はありがとね。

トシ

ユキ、

トシ

(帰らないでほしいの一言が、出ない。)

ユキ

また、あさって学校でね〜

トシ

待って、鍵閉めるから玄関まで一緒に行く。

トシ

(時間はまだある。今しつこく引き留めたら嫌われる、かな。)

ユキ

じゃあね。

トシ

あ、後で電話する。

ユキ

うん。

トシ

じゃあ、気を付けてね。

僕たちは知らなかったんだ お互いの想いを

幼すぎて不器用だったけど 2人きりで過ごしたこの数時間が

生涯忘れることができない程 幸せに満ち溢れていたことを

TTRJ

お疲れ様でした。
お身体に異常などはございませんか?

トシ

はい。お世話になりました。

TTRJ

この度はご協力ありがとうございました。
お陰様で大変貴重なデータを取ることができました。

ところで時間旅行は楽しめましたか?

トシ

それなりには。

トシ

ただ同じ体験の繰り返しでしたが。

トシ

しかも辛いお土産付きの…

TTRJ

それはお気の毒です。
しかし、それはあなたが望まれたのでは?

トシ

確かに僕が希望した日程でした

トシ

でも過去を変えたかったという望みは叶わず残念に、いえ悔しく思ってます。

TTRJ

それは当社が「過去を変えてはいけない」というルールにのっとっているため当然です。
契約書と一緒に送付した規約にも記載されております。

過去を変えてしまうと大事になりますので。

トシ

規約なんて読まなかったよ。

トシ

自業自得ですね。

TTRJ

他にご質問やご感想などなければ、ここで失礼させていただきます。

トシ

(はあ……)

TTRJ

こちらはTTRJ時間旅行無料モニター完了者さまへの自動メッセージです。

今後はこちらのアフターサポートセンターへ引き継ぎいたします。
お困りのことがありましたらお気軽にご連絡下さい。

トシ

(もう一生関わりたくないや…)

トシ

こんな事なら過去になんか行かなきゃ良かった。

ハス

本当に行ってたとかまだ疑心暗鬼だけど、

トシ

はぁ〜…

ハス

取り敢えず飲みにいくぞ!

トシ

後悔を上塗りするなんてなぁ…

ハス

過去を変えると現在がどうなるかくらい、

ハス

少し考えれば分かるだろ。

ハス

でもさ、未来なら変えられるんじゃない?

トシ

未来を選択しておけば良かったってこと?

ハス

違ーう。

ハス

しかし、ユキの事そこまで引きずってたなんて正直ビックリしたよ。

トシ

言う必要もないと思って。

トシ

ハスに言ったところで、

トシ

ユキの現住所や連絡先が分かるわけでもないし。

ハス

それだよ、それ。

トシ

は?

ハス

ユキの居場所を探せ。

トシ

今更無理だよ。

ハス

やってもないくせに無理とか言うな!

ハス

行動しないと変わるもんも変わらないんだよ。

ハス

手伝うから一緒に探してみよう。

トシ

ハス…

トシ

おまえ本当にいい奴だよな。

ハス

まあなw

トシ

そう…かもね。

トシ

可能性がゼロではないんだよな。

ハス

まあ限りなく低いけど。

トシ

いや、未来を変えるよ。

トシ

ダメ元で行動してみる。

ハス

・・・

トシ

こんな自分を変えたいし。

ハス

ハス

おい、おまえんちの前に立ってる人…

トシ

ん?

ドクン

トシ

ユキ!?

タッタッタ!

ハス

ちょ、

ハス

マジかよ!

トシ

あの、

トシ

(ハアハア)

ユキ

トシ!!

トシ

ユキ?

ハス

えええええ!!?

ユキ

ハスー!?

ユキ

2人とも懐かしい〜!

トシ

(あ、この笑顔。全然変わってない)

トシ

何故ここが分かったの?

ユキ

トシの個人情報全部知ってるから♫

トシ

は?

ハス

え??

ハス

あー俺、この後用事あるからもう行くけどさ、

トシ

はあ?

ハス

この意味不明な状況あとで教えてw

ユキ

クス…

トシ

(何これ、時間旅行の後遺症か?)

トシ

何と言うか、

トシ

ビックリしたよ。

ユキ

お久し振り。

ユキ

ビックリさせてごめんなさい。

トシ

いや、謝らなくても。

ユキ

えーっと、

ユキ

ちゃんと話すから公園に行かない?

トシ

うん。

驚きと緊張とユキへの想いが混沌とした時間。

僕は17歳のあの日のようにドキドキしていた。

ゆっくり歩きながらユキは話しだす。

ユキ

実はね、

ユキ

私もこの前あのメッセージ受け取ったの。

トシ

(私も?)

トシ

まさか…

ユキ

時間旅行無料モニター募集。

トシ

私も、ということは僕が受け取ったことを知ってる、ということ?

トシ

(思考が追い付かない…)

ユキは僕を見てニコッと笑った。

ユキ

実はね、私ずっと後悔してることがあって。

ユキ

だからあの日に戻って、

ユキ

どうしてもその後悔をなんとかしたいと思ったの。

トシ

僕は無理だったけど…

ユキ

トシ、少し雰囲気変わったね。

トシ

そりゃあ13年も経てばね。

トシ

というか、あの日の後悔って…

ユキ

でね、

ユキ

日時を指定したら先約が入ってるから無理だって言われた。

トシ

まさか、それオレ!?

ユキ

今の感じ、昔のトシだった!笑

トシ

正直今めちゃくちゃ混乱状態で…

ユキ

大丈夫。分かってる。

ユキ

で、TTRJにあちら側の日付と時間を聞いた。

ユキ

思ってた程そんなに未来じゃなくてね、

ユキ

何事もなければ私も生きている年代だったから賭けてみようと思った。

トシ

未来を選択したの?

ユキ

うん。でも死亡後だったらキャンセルになると言われた。

トシ

うん、そんなこと言ってた。

ユキ

場所をTTRJに指定して、ひとつ条件をだしたの。

ユキ

私はどうしてもあの日に行きたかったから、

ユキ

その「先約」を担当させてくれたら契約しますって。

トシ

いや急に働ける訳ないでしょ。

ユキ

AIの監視だけという簡単な作業だからってOK貰ったよ?

トシ

すごい行動力。

トシ

言ってみるもんだね。

トシ

(ユキも変わったな。)

ユキ

条件は個人情報やデータの持ち出しは厳禁、無給。

ユキ

「先約」は予想どおりトシだった♫

トシ

やっぱりオレかよ!!!

トシ

全部見てたの?

ユキ

うん。

トシ

全く同じ夜だったでしょ。

ユキ

ううん。テクノロジーの進化って凄いよ〜

ユキ

だって脳内の処理情報が全部…

トシ

待て待て!!

トシ

脳内処理情報ってつまり…

ユキ

考えてることや感情や、ふふ、とにかく全部。笑

トシ

……

トシ

個人情報の持ち出し禁止なんじゃなかった?

ユキ

持ち出してないよ。

トシ

じゃあ何故ここが分かった?

ユキ

頑張って記憶してきた。

ユキ

これが大切な唯一のお土産♫

トシ

・・・

トシ

わざわざ、

トシ

…からかいに来たの?

ユキ

え!?

トシ

全部バレてるなら言うけど、

トシ

あの日、

トシ

早朝にユキを見送った後、

トシ

何度電話しても出ないし、

トシ

夕方からはバイト行くし…

トシ

旅行の残り時間、オレがどれだけ辛い思いをしたか…

トシ

死ぬほど辛い気持ちのまま帰ってきたんだ。

トシ

何もかも知ってて、なぜ今更…

トシ

さっきまで少し期待してた自分がバカだった。

ユキ

・・・

ユキ

トシ、やっぱり変わった。

ユキ

私が来た理由、

ユキ

そんな風に思ってる…の…?

トシ

!!

ユキ

あ…ごめ…

突如、ユキの両目から大粒の涙がぽろぽろ溢れ出した。

トシ

ごめん!

トシ

ユキの気持ちが全然分からなくて…

ユキは涙を堪えるように話し続ける。

ユキ

私はトシの気持ちが分かってめっちゃ嬉しかった。

ユキ

だから、、私の…

ユキ

私の気持ちも話す……ね。

ユキ

あの夜一緒にベッドに入ってた時、

ユキ

ハグもキスも…

ユキ

すごく嬉しかった。

ユキ

勇気を出して想いを伝えたいって…、思ってた。

ユキ

けど、途中でトシの手が止まって…

ユキ

震えてて……

ユキ

何もかも理由が分からなくて。

トシ

・・・

ユキ

理由は自分のカラダに魅力がないからだと思った。

ユキ

特にコンプレックスだった胸とか…

ユキ

「好きです」も「付き合ってください」も……伝える勇気が完全になくなって、

ユキ

急に恥ずかしくなって逃げるように家に帰った。

ユキ

電話…も、怖くて出れなかった。

トシ

そうだったんだ。

ユキ

…っっその、

ユキ

そのまま卒業して…

ユキ

進学の…ために遠くへ引っ越して…

ユキ

グスっ……

トシ

・・・

ユキ

けど、

ユキ

トシを忘れ…られな……っく、

ユキ

引っ越す前、ね…

ユキ

友達からトシが私のこと好きだって聞いた…

ユキ

うっく……ずっ…と

ユキ

…ずっと…っく…

ユキ

…ずっと辛かった・・・

ユキ

・・・ずっと好きだった。

そうか。

僕たちは同じだったんだね。

違う。 ユキの方が辛い思いをしていたんだ。

彼女はその後悔を抱えたまま、

見知らぬ土地で見知らぬ人に囲まれて ここまで歩み続けてきた。

 

トシ

ユキ、

 僕はゆっくりとユキを抱き寄せて そっと背中に腕を回した。

人は誰かをこれ程までに愛おしく思えるものなのか。

愛おしくて愛おしくて… 力いっぱい抱きしめた。

彼女の跳ねる鼓動が僕に伝わる。

気付けば30歳になった僕たちは やっと分かり合えたんだ。

ユキ

頭なでな……?

トシ

うん。

お互いの想いを。

トシ

よく頑張ったね。

幼すぎて不器用だったけど 2人きりで過ごしたあの数時間が

トシ

さっきは酷いこと言ってごめん。

ユキ

ん……

生涯忘れることができない程 幸せに満ち溢れていたことを

トシ

ありがとう、ユキ。

トシ

あなたが好きです。

トシ

僕と結婚してください。

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