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コメント
1件
ストックホルム症候群大好きなのでめっちゃ嬉しいです😆天才的でした!!!
信じてた
信じてたんだよ 、俺は
お前だけは 、そういうやつじゃないって
けど 、
冷たい鍵の音が 、俺の自由と 、彼への信頼を閉ざした
〝 カチャン 〟
静かに 、俺の世界は変わり始めた
【 1日目 】
白い壁
窓のない部屋
訳が分からない
叫んでも 、彼は微笑んだまま 、俺を見ていた
─── は ?
何言ってんだこいつ
そう思った 、けど 、心の何処かでゾクリとした
…… この目 、知ってる
ゲームの時 、敵を追い詰める時の
本気の目
【 3日目 】
水と 、食事はちゃんと出された
痛いこともされてない
けど 、それが逆に怖い
まっすぐな瞳が 、嘘をついてるようには見えなかった
でも 、まだ信じちゃいけない
俺は 、まだ怒ってる
逃げなきゃ
そう思ってたはずなのに ───
【 7日目 】
問いかけた声は 、震えていた
その瞬間 、彼が抱きしめてきた
強くもなく 、でも拒めないくらいに温かかった
その言葉を聞いて 、俺の中で何かが崩れた
俺が離れたから 、こうなったの ?
違う 、こいつが可笑しい
でも …… 違うのか ?
もう 、どっちが正しいのかわからなかった
【 10日目 】
気づけば 、俺は自分から彼のそばに座るようになっていた
そのほうが安心する
食事も 、彼の手から受け取るのが当たり前になった
名前を呼ぶだけで 、彼は嬉しそうに笑った
その顔を見て 、胸がズキンとした
怖いはずだった
でも今は
寂しくなる事のほうが怖かった
【 13日目 】
気づけば 、俺の方から求めるようになっていた
彼がそばにいないと 、落ち着かない
その言葉に安心する自分が怖かった
けど 、もっと怖かったのは
この世界から出たくないって 、思い始めてる自分だった
【 菴�日目 】
彼の腕の中は 、狂ってるくらいに心地よかった
外の世界は怖い
自由なんて 、俺にはもう要らない
〝 君がいればいい 〟
そう思った時 、俺は自分の鎖を 、もう外そうとは思ってなかった
〝 ストックホルム症候群 〟
誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において 、被害者が犯人との間に心理的なつながりを築くこと
発症すれば誘拐や監禁などの極限状況で被害者が加害者に対して好意 、共感 、信頼 、または結束の感情を抱くようになる
加害者の行動を正当化したり 、犯人を擁護したり 、自分自身の安全が犯人に依存していると感じたりする行動が見られることもある