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百鬼夜行の華

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百鬼夜行の華

11 - 絡み合う思考、抱くのが怖い希望

♥

171

2023年09月20日

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妖魔の子供達の値段を跳ね上げる貴族達

その声が、次第にぼやけてきた

未門

……???

檻から、目が離せなかった

妖魔のオークションなんて初めて見たからなのか

何をどうすればいいのか

自分の感情がぐちゃぐちゃになって

次第に視界すらぼやけてきた時

沙樹

……展開術・炎の嵐

隣で発せられた低い声で現実に帰ってきた

未門

沙樹…!?

沙樹が展開術を発動するなんてそんなになかった

沙樹は理性的に物事を考えられる人間で

頼れる弟

……だと思っていたのに

そんなことを考えてる暇もなく

術は無慈悲に発動してしまう

未門

(無意識でも大切な者は燃やさないとはいえ…)

未門

流石にやりすぎだろ…っ!

咄嗟に無詠唱で檻の子供たちを守った

その瞬間、赤子の手をひねるより簡単な動作で死んでいく貴族達

これが、"神の使い"に許された術

かつて八大陸という場所に居たとされる

11人の神の使いにのみ許された術

沙樹

……

ふらふらと檻の方に近寄っていく沙樹

思わず子供達を守ろうと身構える

だが、殺意のない沙樹に少し戸惑う

未門

(さっきのは……一体……)

子供の檻を溶かし、最年長と思わしき人物を見つめる沙樹

どこか、虚無を見ているような目で

沙樹

……大丈夫?

そう少女に声をかけた

未門

……沙樹!

沙樹

……兄様…

未門

どうした?何があった!?

未門

お前が我を忘れて展開術を発動するなんておかしい!!

未門

ましてや、こんな虐殺なんてした事ないだろ!?

沙樹

……兄様

沙樹

この子達を結界の近くまで連れて行こう

沙樹

きっと、夜桜家の当主が助けてくれる

未門

……分かった

未門

連れて行くぞ

まるで、言及するなと言わんばかりに

沙樹は話をぶった切った

それが、未門には異様に見えた

子供達は森まで行くと何度も頭を下げてお礼を言ってきた

その子供達が森の奥まで逃げるのを見て

仄かに笑っている沙樹を、不思議と許してしまっていた

沙樹

……

未門

……

帰り道、お互いに何も言葉を発せなかった

微妙な空気が流れる

沙樹

……兄様

先に沈黙を破ったのは向こうだった

沙樹

……ごめん、勝手なことをした

未門

別に、特に問題はないだろ

未門

まぁ確かに大量虐殺で貴族達を消したのは真実だ

未門

だが、俺らは「岩永家」だ

未門

最高権力を使える

未門

まぁそんなことをしなくても

未門

あれば禁止されている行為だからな

未門

今後俺らを恐れてオークションの数が減れば良いが…

沙樹

兄様

未門

……どうした?

沙樹

……あの時、我を忘れたことなんだけど

未門

無理に言わなくてもいい

真実と思わしきことを話そうとする沙樹を止めた

沙樹の手が、僅かに震えていた

未門

お前に怪我が無くてよかった

沙樹

……何言ってるんですか?

沙樹

元々丈夫ですよ

未門

まぁそれが"火の神の使い"の特権だからな

未門

異常なまでに死ににくい

未門

だが、死ににくいだけで死ぬことを忘れるなよ

沙樹

……分かりました

未門

なら、良し

未門

ほら帰るぞ

沙樹

…はい

今はまだ、そんなに無理をしてはなさやくていいから

美愛

桃香〜

桃香

ん〜なに

桃香

今忙しいんだけど

美愛

あら、それは残念

美愛

今の私ならその悩みを解決できるのに

桃香

…どういうこと美愛

桃香

妖魔の子供達がオークションに売り出された

桃香

私のミスだよ

美愛

それなら朗報だよ

美愛

帰ってきた

美愛

その子供達全員、無傷で

桃香

……は?

美愛

話を聞いた感じ、岩永家の次男に助けられたっぽい

桃香

……沙樹が?

美愛

うん、でも未門も守ったらしい

桃香

…なんであの場所に?

美愛

さぁ?それまでは分からなかった

美愛

ただ……

桃香

ただ?

美愛

…私なら、こうするっていう理想論語ってもいい?

桃香

別にいいけど…

美愛

じゃあ、話すね

美愛

…あの子供達の中で最年長が、丁度12歳くらいの女の子だった

美愛

全てを諦め、死にたがってる子でね

美愛

昔の誰かさんに見た目が似てる

桃香

……どういうこと?

美愛

もちろん、髪の色とか瞳の色は違うよ?

美愛

でもね、似てるんだよ

美愛

あの時の桃香の雰囲気に

桃香

…つまり、何が言いたいの美愛

美愛

そうだね…

美愛

私なら、桃香に似た人物がオークションに出されて売り飛ばされそうになってたら

美愛

その貴族達全員殺すなんて容赦なく出来る自信があるって話

桃香

……美愛、それはもしかして

美愛

……うん、だと思ってる

桃香

…ははっ

乾いた笑いが自分の口から出てくる

同時に、止め方の分からない涙も

美愛

ちょ!?桃香!?

桃香

もう…

桃香

もう辞めてくれよ…

桃香

私に……

「私にこれ以上優しくしないでよ」

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

未門さんですら沙樹さんの行動に驚いてるんだもん……沙樹さん、相当怒ってたよね……😖😖 とりあえず妖魔の子達が全員無事で良かった……!! 桃香さんにとって今の未門さんと沙樹さんからの優しさは毒、だよね……読んでてほんとに辛い……😭💦 けど、美愛さんが桃香さんに言ったことと沙樹さんの行動が同じっていうのは昔からずっと一緒にいたから分かる、って感じなのかな……?

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