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アカリ
アカリ
ともしび
アカリ
ともしび
アカリ
ともしび
アカリ
Liz
ともしび
Liz
アカリ
ともしび
アカリ
俺は冷夜。生まれつき目が見えない。
冷夜
だから触ることでしか物の形を認識できない。それは人体だって例外ではなく、自分の体を触って鼻や爪、口内の形なども知った。
冷夜
朝起きてベッドから上がると、そのままリビングへ向かう。ちなみに、家の形は何回も歩いたりして覚えた。
大誤
大誤は俺の双子の弟だ。あまり似ていないらしい。以前触らせてもらったとき、大誤の髪は短かったが、対する俺は長髪である。髪の毛で印象は変わるらしいし、その影響があるのかもしれない。
家では俺と大誤の二人で生活している。父親はほとんど泊まり込みで、朝と夜に大誤を自分の職場へと送迎している。
ピンポーン
大誤
大誤が玄関の方向に走っていく音とドアの開く音がした。
太郎
大誤
親父は毎朝うちに来ると、絶対に大誤にこれを聞く。毎日のように繰り返されるこの会話も聞き慣れたものだ。
大誤
大誤
大誤
ドアが閉まる音と鍵がかかる音がして静寂が訪れた。
冷夜
父親は俺が嫌いだ。3つ上に腹違いの兄がいるが、そいつ…海留のことは、もっと嫌いらしい。
そのせいだろうか、父親が俺の飯にと週末に買ってくるおにぎりやらサンドイッチやらには絶対に俺の苦手な具が一つはあるし、海留は大して頭の良くない寮制の学園へと通わされている。羨ましい。俺も寮がいい。
冷夜
…外れだ。今日のサンドイッチの具は甘ったるいホイップフルーツ。甘いのはそこそこ好きなのだが、こうもねちっこい甘さは苦手である。 しかしいくら苦手でも、食わなければ一日が始まらない。人の体は食うことでエネルギーを得る。あと、フードロスは良くない。
冷夜
牛乳で口の中の甘ったるさを流し込み、食器を下げた。食器洗いは大誤の仕事のハズだが、あいつはいないし放っておくと飲み物が固まるらしく親父が文句を言うので、朝はいつも俺が洗う。
朝の準備をする。中でも、歯磨きと持ち物点検は必須だ。
俺は大誤とは違い学校へ行っているので、出かけるにも荷物がいる。 点字の教科書、タブレット端末、家のカードキー。家を出るときに点字の新聞を取る。いつも学校で読んでいる。ずっと使っている白杖は、海留が買ってくれたものだ。
冷夜
扉はオートロックなので、万、億、兆、いや、不可思議に一でも忘れると大変だ。無論、そんなに出かける予定があるわけでも、それが嫌で引き籠る予定があるわけでもないが、以前、一度忘れたことがあるのだ。 そのときは親父が帰ってくるまで家に入れなくて玄関の前で待ちぼうけしていたのを覚えている。
学校の前まで来ると、一人の友人の声がした。
一輝
すぐそこのめろんぱん学園に通う一輝だ。俺の家族と学校以外では、唯一の人間の知り合いである。
冷夜
一輝
一輝には毎日合うが、一週間に1,2回ほど、必ずこれを聞いてくる。本人曰く「表情のパターンが少なすぎて健康状態がものすごく分かりづらいんだよな」らしい。表情を作るなど俺個人としてはただ顔が疲れるだけなのだが。
冷夜
一輝
冷夜
一輝
冷夜
今日の会話もこれで終わった。
もぶさん
冷夜
学校は家より気分がましだ。時々誰とも話したくなくなるとつらいが、やっぱり複数の人と共に生活することには安堵感を覚える。
しかし平凡な時間はすぐ過ぎる。今日の晩飯は何にしよう、なんて考え始めたときには既に二時間目の授業が終わっていた。
学校では授業をしたりして過ごす。よく冗談とかを言う先生がいるのだが、その冗談がなかなかに面白い。
もぶさん
人を食う鬼など聞いたことが無い。せいぜい血を吸うくらいだろう。
もぶさん
もぶさん
鬼を食う人なら聞いたことがあるが。いや、今はもう熊も食料になるんだったな。
その先生は、言葉を発するたびに笑い声を起こす。言葉選びがうまいのを、本当にすごいと思う。
学校で仲のいい人は特にいない。というか、みんな同じくらい仲がいい。
もぶさん
もぶさん
冷夜
もぶさん
もぶさん
軽く雑談をしていると先生がやって来て、音楽の授業が始まる。音楽は好きだ。小さい頃、母親が歌ってくれた子守唄がある気がするから。もっと知りたいと思って、気づくとのめり込んでいた。
授業が終わってから、その歌を口ずさむ。
冷夜
一日が終わり、下校時間になってから、俺は、ある大事なことを思い出した。
今日は、「厘が来る日」だということを。
厘は鬼だ。背は俺よりも少し低いくらいで、髪が長い。髪の色は本人曰く、「上が黒で、下が白色のグラデーション」らしい。一人の髪に2つも色があったら、目が騒がしくなりはしないのだろうか。
そして案の定、学校を出た途端に声がした。聞き慣れた声だ。
厘
冷夜
耳壊れそう。いや、週三で聞かされ続けてたら結構慣れるけど。それでもうるさいものはうるさい。あとこいつは無駄に声がでかいので、周りの生徒の邪魔になってそうで少々怖い。いや、無言で歩いてこられるのも困るが。
厘
冷夜
そのまま厘と歩いて家に帰った。厘と喋るのは嫌いじゃない。素直になれる気がして、いつも不思議な安心感を俺に与えてくれる。
厘
冷夜
返事なんて返ってこない。それが普通。
厘
…こいつがいない限りは。
冷夜
厘
冷夜
呼び方は気に食わないが、確かに続きを思いついたところだ。自室に籠って曲を作ることにした。
感触を確かめながらコードをつなぐ。 押しながら音を確認する。 作曲を始めた。
冷夜
曲作りは楽しい。 誰かを思って作ると、一層。 今作っているのは大誤への曲だ。 大切な、たった一人の弟だから。 大誤のが終わったら厘へのを作ると決めてある。 ずっとお世話になっているから。
冷夜
フラット…いや、思い切って一音下げてみよう。
冷夜
いい感じだ。
音がした。忍び足…大誤の音だ。
冷夜
返事はなし。
冷夜
少しばかり声を大きくしたが、またも返事はなし。 仕方ないので音のした方向に行った。廊下だ。
冷夜
大誤
大誤
冷夜
大誤
大誤は責任転嫁の常習犯だ。特に、俺の声に、何かと文句を言ってくる。この間は「聞き取りにくい声をしているそっちが悪い」などと言われてしまった。 それを除けばかわいい弟なので、たいして気になるところでもないが。以前、この話を厘にしたところ、さんざんバカにされてしまった。おかげであいつに対して言い返すだけの度胸を身に着けた。
冷夜
大誤
冷夜
遠ざかっていく足音が聞こえた。
つづく
ともしび
Liz
ともしび
Liz
ともしび
アカリ
ともしび
Liz
アカリ
Liz
アカリ
アカリ
ともしび
アカリ
Liz
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ