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我々怪異研究部!!

第38話 - 逸らせない気付き。

750

2025年09月10日

#司類

#冬彰

#ホラー

#ほのぼの

#感動

あかまる🍓🐾໊

司

やはり、冬は日が落ちるのが早いな。

類

そうだね。まだ17時なのに。

司

寒さも随分と増してきたよな…お前、そろそろ袖下ろしたらどうだ？

類

いやぁ、下ろしても癖で捲っちゃうんだよね。

司

どんな癖だ…

司

仕方ない。これ貸してやるから使え。

類

おや、手袋かい？

司

あぁ。お前、いっつも手冷たいだろ。

類

そうだけど、僕はいいよ。司くんが寒くなっちゃうだろう。

司

オレは構わん！マフラーもあることだしな。

司

それに、むしろ防寒具なしのお前を見てる方が寒いんだ。せめて手袋だけでもしてくれ。

類

…ふふっ、じゃあ遠慮なく借りるね。ありがとう。

電車

ガタンゴトンガタンゴトン

司

今日は人が少ないな。

類

そうだねぇ。時間帯がいつもより早いからかな？

司

たしかに、いつもは18時くらいだな。

司

…なぁ、類。

類

なんだい？

司

その…色々、あるんだ。お前に、聞かなきゃいけないことが。

司

でも……何を聞けばいいのか、分からない。

司

何か、聞かなきゃいけないことがあるはずなのに…

類

…なら、分かるまで待つよ。

類

待てる間はね。

司

…？

司

それで、その時にクラスメイトが…

類

…司くん、もしかして眠い？

司

む、何故分かった。

類

声がちょっとふにゃふにゃしてるよ。

類

肩貸そうか？着いたら起こすよ。

司

む………

司

…なら、お言葉に甘えさせてもらうぞ。

類

ふふ、どうぞ。

遠くにいるのは…

＿＿？

何をして…

は、

なんで……誰だ？隣の、アイツは…

＿＿、どうしてソイツと

ズキッ

頭が痛い…

これは夢だ、分かってる

ズキッ

さっきのは一体…

ザッ…ザザッ

またノイズが…

ザザッ

司

ハッ

司

は…はぁ…っ、

司

(冷や汗が……今、とてつもなく嫌な夢を…)

司

…ん？

司

類？

司

(いない……？それに、類だけでなく、誰も…)

老人

あたんこげ所でなにしとるんや！！

司

？！

司

(し、しし、心臓止まるかと思った！！！人いたのか！！)

老人

はよう降りんしゃい！！！あたんにはまだはやかよ！！

司

え、えっ？！

老人

えぇから降りんしゃい！！！

司

は、はい！！分かりました！！

「発車いたします。」

プシューー

司

(い、行ってしまった……)

司

(あの人の勢いに押されて降りてしまったが…)

司

(ここはどこだ？というか、類はどこへ行ったんだ？)

司

(駅の名前は……)

司

(……書いてない、)

司

(時刻表もなし。周りに建物や人も見当たらない、無人駅か。)

司

(こんな駅、オレの乗った電車線にあるわけがない…)

司

(ここは異世界なのか、それとも夢を見ているのか…)

司

(むぅ……なんか、1人きりだとかえって冷静になるな。)

司

(さて、まずは連絡手段の確認か。)

司

(スマホはそもそも電源がつかない。誰かと連絡をとるのは不可能そうだ。)

司

(人もいないし、時刻表もないし…しばらく待っても電車が来なかったら、線路を歩いてみるか。)

司

(自分でも驚くほど冷静だ。)

司

(これまで色々あったし、慣れたのか…？)

あの、

司

え

司

は？

あの、もしかして貴方…

司

ギャアアアアアアアアア？！？！？！？！？！

？！

司

ど、どどどど、ドッペルゲンガー？！？！？！

司

オレ死ぬのか？！？！？

あ、安心してください。ドッペルゲンガーとかじゃないので。

司

け、けど！！どう見てもオレじゃないか！！！

これは貴方を怖がらせないように、貴方の姿を借りただけです。

司

は、はぁ？！？！

なので私のことは、貴方の姿を模した化け物だと思っておいてください。

司

オレの姿を模した化け物？！？！？！

司

い、言いたいことは山々なんだが…

司

そういえば最初、何を言おうとしていたんだ？

あぁ、「もしかして迷子ですか」と聞きたかったんです。

司

あ、あぁ！迷子…なんだと思う。

司

目が覚めたら誰もいない電車で…勢いでここに降りてしまった。

なるほど…降りて良かったですね。

ここは、終点の1駅前ですから。

司

終点の…？

えっと…見たところ、貴方は"ヒト"ですよね。

司

あ、あぁ。

分かりました。少し待っていてくださいね。

司

(な、なんなんだ一体…？)

司

(オレの姿を模した化け物……怖がらせないように、とか言ってたか)

司

(喋り方や声のトーンも柔らかいし、たしかに怖い感じはしなかったな)

司

(にしても、本当にここはどこなんだ…)

お待たせしました、

司

！

貴方に"帰るべき場所"があることを確認出来たので、ご案内します。

司

あ、案内って…どこへ？

"帰るべき場所"へ。

司

(帰るべき場所……)

着いてきてください。

司

(なんだここ……)

司

(何も無い……なんか、変な空間……)

司

ここは一体……どこなんだ？

どこ……と言われると、難しいのですが、

境目のようで、そうじゃない。1歩手前にあるような、かといって近くはない。

司

は、はぁ……？

言葉で表しがたいのです。

司

そ、そうか……

司

…さっき言ってた、"帰るべき場所"のことなんだが。

はい。

司

オレには、"帰るべき場所"があるんだよな？

えぇ。貴方の居場所も、貴方を必要としている人もいました。

司

なら、もしもそれが無かったら…どうなる？

……

いくつか、パターンが分かれます。

さっきの駅から線路を辿り、自力で"終点"まで行くか。

それにすらも抗い、醜く"帰ること"に固執し、彷徨い、そして…

長い年月を経て、化け物へと成り代わるか。

司

！

司

(化け物…って、)

他にもありますが、主にこの2つでしょう。

大抵は皆、自力で"終点"まで向かいます。

司

……なら、貴方は？

私は、貴方の姿を模した化け物ですよ。

司

…

貴方は今、幸せですか？

司

えっ

司

えっと……

司

(今は楽しい。楽しいはずなのに…"幸せ"なのかどうかは、分からない…)

貴方は帰れる。居場所があり、必要としてくれる人もいる。

けれど……だからと言って、幸せであるとは限らない。

貴方には居場所があって、必要とされていても…

貴方が必要としている人が、そばに居るとは限らない。

司

な、

司

なんの……話だ？

司

突然…

ただの案内中の雑談です。

特に深い意味はありませんので、聞き流していただいて結構。

司

そう、か…

私が案内できるのは、ここまでになります。

あとはもう、ずっと直進するだけです。

司

あ、あぁ！ありがとう！

最後に、もう少しだけ雑談を。

どれだけ目を背けても、変えられないものはある。

貴方が帰れる内は、それをどうか受け入れて。

もう、二度とこんな場所へ来ることがないように。

そう願っています。

司

……

司

(イマイチ、どういう意味かは分からない)

司

(でも…)

司

…ありがとうございます。

類

おーい、司くん。

司

！

類

そろそろ着くよ。

司

あっ、あぁ……

司

(人は……まばらだが、ちゃんといる、)

司

(駅も、いつもの表示だ。)

司

(…帰って来れたのか。)

類

途中うなされてたけど、大丈夫？

司

む、そうだったのか？

司

多分大丈夫だ。気にするな。

類

そう？ならいいんだけど、

プシューー

類

あっ、着いたね。

司

あぁ、降りよう。

週末

司

咲希、今日は友人の家へ泊まりに行くんだったよな？

咲希

うん！いっちゃん達とお泊まり勉強会なんだ〜！

司

おぉ！それは楽しそうだな！

咲希

今日はお母さんたちもいないし、お兄ちゃん1人だけど大丈夫？

司

あぁ、オレもお泊まり会だから大丈夫だ！

咲希

あれっ、そうなの？

司

む、咲希には言ってなかったか？

司

今日は類が泊まりに来るん
だ。

咲希

……類くんが、

司

そういえば、まだ咲希と会わせたことは無かったか。

司

去年の5月から知り合った、同じ部活の友人なんだが…

咲希

…うん、その人の話は聞いてたよ！

咲希

たしかに、会ったことは無いけど。

司

もうそろそろ着くようだし、折角だから顔合わせでもするか？

咲希

そ、そうしたいけど、私ももう出なきゃいけないんだよね〜！

咲希

ごめんね、お兄ちゃん！また今度でもいい？

司

もちろんだ！また類にも話しておこう！

司

気を付けて行ってくるんだぞ！一歌たちにもよろしくな！

咲希

うん！行ってきます！

司

(さて…)

司

(お菓子の準備よし、ジュースもよし！)

司

(布団もしっかり洗って干して、準備した！)

司

(カードゲームの用意も万端だ！)

司

(……楽しみだな。)

咲希

(勢いに任せて、約束より早く出ちゃった、)

咲希

(…お兄ちゃん、楽しそうだったな。)

咲希

(お兄ちゃんが楽しそうなら、私も嬉しいし、それでいいのかもしれないけど…)

咲希

(でも……)

咲希

(でも…本当に、いいのかな……)

咲希

(類くんのことも、お兄ちゃんのことも、)

咲希

(きっと……私のせいもあるよね、)

咲希

(…このままで、いいのかな、)

ピンポーン

類

お邪魔します。

司

類！いらっしゃい！

類

おぉ〜、相変わらず綺麗なお家だねぇ

類

ふふ、僕が来るから張り切ってお掃除したのかい？

司

なっ？！？！何故分かった？！

類

君、分かりやすいからねぇ

司

むむむ…そんなに分かりやすいか…

司

あぁ、荷物はそこに掛けるか置いてくれ。今飲み物を出そう。

類

ふふ、ありがとう。

司

お菓子もあるからな！自由に食べてくれ！

類

わぁ、ありがとう！

類

ふふ、僕の好きなお菓子ばっかりだね。

司

おぉ、そうか！良かった！

司

(知り合って約1年……今までやんわり断られ続けて、やっと取り付けられたお泊まり、)

司

(いかんいかん、つい浮かれてしまうな。)

類

ねぇ、司くん。

司

なんだっ？！？

類

これ、美味しいよ。あげる♪

司

あ、あぁ！いただこう！！

類

ふふ、今日は「おやすみ」まで一緒にいれるの、嬉しいね。

司

！！

司

お、オレも！嬉しいぞ！

類

両思いだねぇ

類

何かゲームするかい？君の家カードゲームあったよね。

司

あぁ！いくつか用意してあるぞ！

司

トランプにUN〇…あと、ボードゲームもある！

司

人生ゲーム、オセロ、それと将棋もあるな。

類

ふふ、全部楽しそうだ。

類

夜まで時間もあることだし、全部やろうか。

司

あぁ！どれからやる？

類

じゃあ〜、トランプからしようか。

類

神経衰弱、罰ゲーム付きね。

司

ふっ、望むところだ！！やってやろうじゃないか！

司

やっ、やめろ……っ！！！

類

フフフ…すまないが、残りは全ていただくよ。

司

クソっ……！！！なんで全部覚えてるんだよ…！！！

類

むしろ司くんはどうして毎回同じのばっかり捲るんだい？

司

それはオレが聞きたい…！！！

類

はいっ、僕の勝ちね。

司

くっ……！！もう1回！！もう1回やろう！！

類

ふふ、いいよ。

類

わぁ、司くんの人生すごいね。お金じゃんじゃん入ってきてる。

司

ふっ、オレだからな！

司

お前の人生はスピーディー過ぎじゃないか？お前のルーレットだけ10と9しか出てないんだが。

類

だいぶ駆け足だねぇ。早く上がっちゃいそうだ。

類

あっ、司くん！結婚マスだよ。

司

結婚マス？！

司

類…っ、結婚するのか……！！

類

ふふ、司くん僕の車乗る？

司

は？！

類

このまま一緒にゴールする？

司

げっ……ゲームの趣旨が違うだろ……っ！！

類

ふふ、そうだねぇ。冗談だよ。

類

というか、僕結婚より就職したい。

司

お前今フリーターだもんな

類

そう。10が出たせいで就職のマス全部通り過ぎちゃったからね。

司

スピーディー過ぎるが故に…

類

司くんお金いっぱい持ってるねぇ。

類

なんか分取るマスとか無かったっけ

司

物騒過ぎるだろ

類

あっ、おねだりマスとかある。ここ止まりたいね。

司

3万渡すマスだと？！絶対止まるなよ！！

類

ふふっ。こういうゲーム、彰人くんたちともやりたいね。

司

たしかに、人数が多い方が面白いだろうな。

司

また誘ってみるか。

類

いいねぇ

司

ふー……夢中で遊んでたら、もう17時か。

類

お腹も空いたし、そろそろ夕飯にする？

司

だな。適当に何か頼むか、外に食べに行くか？

類

お外出るの面倒くさいなぁ

司

じゃあ頼むか。何食べたい？

類

そうだねぇ……ラーメンかな。

司

おぉ、ラーメンか。分かった。

類

ねぇ、明日のお昼はどこか食べに行こうよ。

司

構わんぞ。どこか予約しておくか？

類

ん〜、そういうお店じゃなくて…

類

なんか普通の、ファストフード店とか。

類

あっ、ショッピングモールにお買い物行って、フードコートで食べるとか！

司

ほう、ファストフード…ショッピングモールか。いいじゃないか！

司

なら、明日は買い物だな。

類

ふふっ、うん♪

類

ふふ。リビングで寝るのって、なんだかお泊まりっぽくていいね。

司

まぁ、普段リビングでは寝ないからな。

司

明日も出かけるんだから、あんまり夜更かししたらダメだぞ。

類

えぇ〜？せっかくのお泊まりだよ。夜はこれからじゃないか。

類

それに、目が冴えちゃって中々寝付けそうにないし。

司

それは……正直オレもだが、

類

…僕もね、君に言いたかったことがたくさんあるんだ。

類

今なら言えることも、たくさんある。

司

…？

類

本当に…遅いのは分かってるけど、

類

僕は、君が思う以上に、君のことが好きだったよ。

司

…

司

…何故、過去形なんだ？

類

おや、すまないね。安心して、今も好きだよ。

司

…

司

そうか……

司

なら……やっぱり、あれは…オレの、

類

ちょっと。それ、怒るって言ったよ。

司

…すまん。

類

…やっぱりもう寝よう。明日起きれなくなっちゃう。

類

おやすみ、司くん。

司

あぁ…おやすみ。類。

まただ

また間違えた

どうして…せっかく、久しぶりに予定が合ったのに、

どうしてオレはいつもこう…

嫌われたくない

嫌われたくない…

本当に、すまなかった…

…

はぁ……

あ…

小さい…ため息、

嫌われた

呆れられた

どうしよう

嫌だ

嫌だ…

全部オレのせいだ

司

おーい、類！準備出来たか？

類

ちょっと待ってね。中々しぶとい寝癖が…

司

む、お前寝癖なんか気にするタイプだったのか？

司

割といつも寝癖な気がするが。

類

まぁ、いつもは面倒だし。サッと梳かすくらいしかしないけど、

類

今日はほら、君とのお出かけデートだから。

司

デッ？！？！

司

お前は本当に、すぐそういう言い回しを…！！

類

おっ、直った！もう出られるよ。

類

ふふ、待たせてごめんね。行こうか。

司

あっ、おい！お前首にタオル巻いたままだぞ！

類

おや、本当だ。危ない危ない。

司

全く…！

ショッピングモール

類

ふふっ、久しぶりに来るなぁ。

司

おぉ、そうなのか。

司

オレは割と最近来たぞ。バレンタインの時にな。

類

あぁ！ふふ、そうだったねぇ

類

勿体なかったけど、ちゃんと食べたよ。

類

とても美味しかった。ありがとう。

司

喜んでもらえたのなら良かった！

司

そういえば、ざっくり買い物に行くことしか決めてなかったが…

類

あっ、ゲームセンター行こう。大きめのあったよね？

司

あぁ、3階にあったな！行くか。

ゲームセンター

司

類と普通のゲームセンターに行くのは初めてか？

類

あ〜…プリクラ機の時に行っただけだもんねぇ

司

春休みもどこか行きたいな。それこそ、ちょっと旅行とか。

類

春休みか…

司

類はどこか行きたい所あるか？

類

うん、行きたい所なら山ほどあるよ。

類

でも…僕ね。君と一緒にいられるなら、本当に、どこだって構わないんだ。

類

もちろんどこかへ出かけるのもいいけど、近所の公園でも、どこでも良かった。

類

ふふっ、やっと言えたよ。

司

……

ズキッ

司

昨日から…時々、過去形なのは何故だ？

類

…

類

僕、過去形だった？すまない、言い間違えてたのかも。

司

そ、そうか。言い間違いか。

司

そう…だよな。

類

あっ、レースゲームとかあるよ。あれやろう！

司

あ、あぁ！今日こそは負けんぞ！

知らない

類は去年知り合った友人だ

その前の類のことなんて、知るはずがない

なのに

また忘れ物してたね。

あの夢も

司くん見て見て！てんとう虫だよ！

あの夢も

…

はぁ……

この夢も

全部

類

また忘れ物してたね。

全部

類

司くん見て見て！てんとう虫だよ！

全部…

類

…

類

はぁ……

全部、

中学生の類との夢だった。

我々怪異研究部!!

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お泊り当日の類はずっと中学生の類だなあ。類自身が囚われているのか、司自身が中学生の類の記憶で囚われているのか…… それと、途中のノイズ、胴体か首が切断されてるようにみえる………。あれが類なのか司なのか、はたまた別の人なのかはわからないけど、もし類だったら……👻みたいな想像をしていた

はあ、やばい、なんかもう涙出てきちゃったよ完結してほしくないくらいめちゃくちゃ良い物語…😭これからの4人がどうなるのか楽しみすぎて眠れんです🧍

はぁぁ…！！今回もめっちゃ続きが気になりますねえええ🫣

あかまる🍓🐾໊

プロフィール

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