…わたしの彼氏は
変人だけど、顔はいいからモテるんだろう
モブ
神代先輩…
類
…?どうしたんだい?
寧々
(…あーあ、まただ)
モブ
放課後、校舎裏に来てくれませんか
類
あぁ、問題ないよ
類
それじゃあ、また後で
モブ
…はい!
しょっちゅうこれだ
しかも結構可愛い子ばかりから
だから
寧々
…類
類
寧々じゃないか
類
どうしたんだい?
寧々
…なんでもない
嫉妬してしまう
類
…寧々
類
我慢しなくていいんだよ
優しい声
さっきの子と話す時とは比べ物にならないくらいに
寧々
……ん
類
ほら、授業が始まってしまうよ
寧々
…類
寧々
今日…類の部屋行ってもいい?
類
…あぁ
類
勿論だよ
学校では付き合っていることを言っていない
「僕と付き合っているとバレたら、色々面倒なことになりそうだから」
類は問題児と付き合っているわたしの心配をしてくれたんだろう
でも、そのせいで類が色んな人から告白されるのが嫌だと言ったら
わがままになるのだろうか
寧々
(…結局付いてきちゃった…)
どうしても気になってしまう
断るってわかってるけど
どこか不安なんだ
わたしより可愛くて
頭が良くて
スタイルもよくて
捻くれてもない素直な子の方がいいんじゃないかって
モブ
…先輩!来てくれたんですね!
類
あぁ、それで、話というのは?
モブ
…実は…私、先輩が好きなんです!
モブ
付き合ってください!
類
……
…なんで?
なんでそんなに呆れたような顔をするの
悲しそうな顔をするの
類
…君は
類
僕の好きなところを10個以上言えるかい?
モブ
…え?
類
言えるかい?
モブ
…えっ、と
モブ
顔がかっこよくて、背が高くて、優しくて、頭が良くて
モブ
それ…から
類
…やっぱりか
類
その程度の気持ちの人と付き合うつもりはないよ
モブ
っ!先輩!
寧々
ちょっと類!
類
寧々?すまないね、待たせてしまって
寧々
…そうじゃなくて
寧々
流石に酷いんじゃない?
類
…なにがだい?
寧々
流石にあの振り方はないでしょ
類
…見てたのかい?
寧々
…うん、ごめん
類
…それはいいよ、不安だったのかな
寧々
…うん
類
…僕は告白を断る理由はいつもあれだよ
寧々
…え
類
僕に告白してくる人のほとんどは、僕の顔以外に興味がないんだ
類
贅沢な悩みだと思われてしまうかもしれないけれど
類
それが嫌なんだよ、凄く
寧々
…そっか
寧々
わたしはね、不安だったの
寧々
類がわたし以外の人を好きになるんじゃないかって
寧々
今日告白してた子も、わたしより可愛くて、スタイルもよくて、人気者で
寧々
類の隣が、わたしじゃないといけない理由が…わからなくて
類
…すまないね、寧々
類
心配させてしまって
類
寧々じゃないといけない理由はあるよ
類
寧々は僕のいいところを10個以上言えるだろう
類
それに
類
僕は寧々が好きだから
寧々
あ…
類
それ以上に、理由はいるのかな
寧々
…そう
やっぱりずるい
寧々
わたしも好きだよ、類のこと
そんなことを話している間に、もう家に着いてしまう
類
寧々、今日は部屋に来ると言っていたけど
類
来るかい?
寧々
…うん
類
不安にさせてしまって申し訳ないからね
類
今日はたくさん甘やかさせてもらうよ
寧々
…好きにすれば
わたしの彼氏はモテるし、不安にさせてくるくせに
わたしには誰よりも優しくてしてくれて
悔しいけど、大好きなんだ
類はああ言ってくれたけど
やっぱりまだ不安だから
いつか類の隣はわたし以外ありえないって思える日が
来るといいな