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〜彩莉 side〜
7月24日
彩莉
私とお母さんは、一緒に オリンピック会場まで来ていた
開会式は夜からだから、 まだ明るいうちに、会場の周りを見て 回ろうってことになったんだ
色んな屋台が出てて、 沢山の人で溢れかえっている
彩莉母
周りをキョロキョロ見回していると、 お母さんがそう聞いてきた
焼きそば、たこ焼き、お好み焼き…… どれも美味しそうで、迷ってしまう
彩莉
〜ユキ(真冬) side〜
ウィズ
空が少し暗くなり始めてる中、 会場について、いの一番に ウィズが声を上げる
リーフ
渉
元々配属されている警察も、 浦田先輩に動かしてもらった警察も、 一見しただけじゃただの一般客だ
日本の警察もあんまり侮れないな、 と少し見直してみたり
ユキ
不意に、見慣れた姿が視界に映って、 その方を向く
ユキ
そこには、彩莉がいた
それに、ボクらの叔母さんも一緒に
ユキ
ソラ
ソラを呼んで、 彩莉達の方に目を向ける
今からここでテロが起こるのに、 まさか彩莉達が来てたなんて……
ソラ
ユキ
ソラの言う通り、彩莉達に……誰にも 被害が及ばないうちに、 ボクらが止めればいいんだ
リーフ
渉
あっという間に夜が来て、 空には三日月が浮かんでいる
今の時刻は、19時半
あと30分もすれば、 開会式が始まる
リーフ
いつもの頭飾りの通信機から、 リーフの声が聞こえる
渉
ユキ
今は、ボクと優、浦田先輩とウィズ、 ソラとリーフがそれぞれ一緒にいる
ソラ
ユキ
優
ユキ
流石に本名で呼ばれるのはまずい から、ここは協力してもらう
優
そう言って、優がいつもの 笑顔を見せてくれる
ユキ
それに応えるように、ボクも隠して いない目元で笑みを作った
ボクら特攻組は、開会式の会場である 競技場の、人気のない所から侵入する
ファントムが何をしてくるかは 分からないから、各自対応できる ように、最初は散らばって待機
何か行動を起こしてきたら、 ボクらはソラの、ウィズ達はリーフの 指示に従って、すぐに動く
ユキ
優
〜彩莉 side〜
大勢の観客が集まった、夜の競技場
とうとう開会式が始まって、 各国の選手達が入場している所だった
その国ならではの衣装を着ていたり、 選手同士で仲良くしてるのを見ると、 こっちも楽しくなってくる
彩莉
真冬達も、家でテレビ中継を 見てるかな?
もしかしたら来てるかも、 なんてことも考えてみる
それぐらい、この楽しい気持ちを 誰かと共有したかった
彩莉
彩莉
彩莉
隣にいるお母さんの方を 振り向く途中、何だか見覚えのある 姿が視界に映る
よく目を凝らして、 もう一度その方を見た
彩莉
そこにいたのは……
探偵の坂田君と、
時雨桜の格好をした真冬だった
彩莉
怪盗と探偵、敵同士のはずの二人が、 どうして一緒にいるのか
ここにいることも不思議だったけど、 それが気になってしまった
彩莉母
彩莉
慌ててお母さんに返事をしてから、 もう一度二人のいる理由を考えてみる
あの様子だと、二人は開会式を見に 来たんじゃなくて、何かの目的の為に 協力してるように見える
真冬が時雨桜の姿だから、尚更だ
二人がいるなら、それぞれの 相方の一ノ瀬会長と浦田先輩も いるはずだよね
彩莉
敵同士の二組が協力をする程の、 緊急事態なのかもしれない
彩莉
真冬と一ノ瀬会長の連絡先は、 どちらも知ってる
でも、私が今何かしたところで、 きっと真冬達の邪魔になるだけだ
念の為と思って、いつの間にか 付けられていたGPSも、 カバンに入れてるけど……
何かが起こっていることに 気づけても、自分が何もできない ことに、もどかしさを感じる
彩莉
〜ユキ(真冬) side〜
客席の後ろ、ちょうど人の目の 影になっているところで、 優と二人で待機する
開会式序盤は、何もなく、 順調に進んでいた
来るとしたら、選手の入場が 終わった後、人が最大限集まっている プログラム後半の時間だ
ユキ
もうすぐ、選手の入場が終わる
ファントムはきっと、 ここから仕掛けてくる……!